2月号
連載 輝く女性 ⑫ ホールケーキを持ち帰り、喜びをシェア 北野発、パリスタイルの洋菓子教室
インタビュアー・伊藤 紀美子
輝く女性シリーズの最終回は、北野町の坂の上の陽だまりに佇む洋館で洋菓子教室を開かれている岡本典子さんです。パリスタイルの講習は本場フランスのエスプリがたっぷり。一人一台のケーキを作り、完成したケーキはお持ち帰り。講習後はサロンでティータイムという優雅なひとときを過ごせます。
─岡本さんは大学生のときからお菓子教室を開催されていたとか。お菓子づくりに興味を持つようになったきっかけは?
私が生まれ育った北野町は洋館が多く、暮らしが息づいていました。幼い頃、洋館の路地を歩くとバターや甘い香りが漂い、お庭でアフタヌーンティーを楽しむ光景をよく目にしました。メイドさんから綺麗な紙ナプキンに包まれたクッキーを頂くこともしばしば。お菓子への憧れの始まりでした。
─マジックシェフのガス台、業務用オーブン、フランス製の器具など、プロ仕様の厨房でケーキレッスン、緑豊かなお庭を望むサロンでティータイム。教室で作ったケーキを丸ままお持ち帰りできるとか。
ホールケーキにナイフを入れるときってワクワクしますよね。お子様やご主人、お友達とシェアする喜びも楽しんでほしいと思いまして。季節の美味しさはもちろん、共に味わう人との会話をはずませる、ケーキにはそんな役割があると考えています。
─教室開始以来40年、毎回新しいレシピを披露されていることに驚きます。百貨店やケーキ売り場では決して手に入らない唯一無二のケーキを作れることは嬉しいですね。
毎月フレッシュなケーキが提供出来るように あらゆるエッセンスを効かせます。私とお仕事を共にしてくれている仲間の意見も大きな助けです。ここ北野の教室以外に須磨区民センターでも開講しています。フランス菓子でありながら、簡易な設備でも楽しめるケーキをお教えしています。皆さんの笑顔がご褒美です。
─岡本さんは日本のフランス菓子業界に多大な影響を与えたジャン・ミエのドゥニ・リュッフェル氏のお菓子講習会を受けられたり、生徒さんと共にパリへ出向き、オテル・ド・パリのキッチンでプライベートスクールを開かれたり。お菓子づくりに興味のある人からすると、夢のような経験を積んでおられます。
あくまでもフランス菓子の基本を大切に、手に入る素材で、いかにお洒落なバランスのとれたケーキに仕上がるかにこだわります。日本文化を取り入れ、ブレイクスルーすることもポイントです。柚子や甘酒、お干菓子を飾りに使ったり、とことんケーキと付き合いベストを尽くします。生徒さんが持ち帰って自慢できる!ケーキに仕上げるのが私のモットーです。
─洋菓子の街・神戸ではお菓子を食べ慣れた人が多い。そんな価値のわかる人たちからも圧倒的な支持を受けている岡本さんの洋菓子教室。女性ファッション誌『25ans』にも関西を代表する人気サロンとして頻繁に登場されていました。「フランス菓子ってこんなに美味しいものだったのね」ということを、神戸に知らしめた一人者だと思います。
岡本 典子(おかもと つねこ)
1958年神戸生まれ。高校2年から北野町でお菓子教室を開かれていた信岡弘子先生に師事。大学2年の時アンテノール北野店がオープン。山川良広シェフによるお菓子の美しさに魅せられて無給で厨房に通う。大学在学中に自宅でフランス菓子を教え始める。1988年自宅の敷地にアトリエを建て教室を本格的にスタート。イル・プルーの師範。母校甲南女子大学の特任教員を務めた
岡本典子の洋菓子教室
神戸市中央区北野町3-13-21
https://www.tsunekocake.com/
伊藤 紀美子(いとう きみこ)
田嶋株式会社 代表取締役社長
神戸生まれ。95年より同社社長に就任。02~06年神商議女性会会長、07年から国際ビジネス委員長。16年、女性初で神戸商工会議所の副会頭に就任。
田嶋株式会社/1899年、繊維を主体とした貿易商社としてスタート。会社創業110周年の2009年に美容&健康分野を新設。オリジナルブランドのスキンケア「PLUSUI(プラスイ)」を開発販売。同ブランドでナチュラルミネラルウオーターも販売