2018年
2月号
神戸市立相楽園の西隣りに隣接する神戸山手大学3号館

多彩な暮らしが、すぐそばに:神戸“山の手”の暮らしを語る ③

カテゴリ:住環境, 神戸

今も受け継がれる「コミュニティ立」の精神

地域住民の手で設立された学校法人神戸山手学園は2024年に100周年を迎える。恵まれた環境と、「コミュニティ立」として地域と連携した教育について井内善臣学長にお聞きした。

自然に恵まれ、街中からも近い

―「コミュニティ立」とは。

 学校は個人が教育の将来を見据えて設立するというケースが多いのですが、神戸山手学園は女子教育の向上のために地域住民が協力し資金を出し合って設立したもので、国公立でも、宗教法人でも、一個人のものでもなく、まさに「コミュニティ立」といえます。以来、地域の皆さんとの関わりを大切にしながら今に至っています。

―現在の相楽園、旧小寺邸をはじめ、地域には財界人も多く居を構えておられたのでしょうね。

 設立当初の「山手学習院」という名前にも込められているように、教育に熱心なハイクラスの方が住まわれていたと思いますね。発起人の尋常小学校校長の考えに地域住民が賛同し、初代校長には神戸市長が就かれたそうです。

―井内学長は神戸山手大学に来られて約2年ということですが、この学校の環境はいがかですか。

 自然に恵まれていながら、街の中心から非常に近いというロケーションです。歴史のある建物は頑丈に造られ、重厚感がありレトロな感じが私は個人的にとても好きです。ただしユニバーサルデザインという観点からは、今後改善の余地はあると思っています。

―学生さんにとっての環境は。

 街中の大学ですので、郊外型大学のように広いキャンパスというわけにはいきませんが、すぐ南に地下鉄の駅があり、JR、阪神の駅からもそれほど遠くなく、例えば西は姫路、東は大阪方面からも通いやすい環境です。

フィールドワークに最適なロケーション

―この環境での教育の特徴は。

 大学は現代社会学部のみの単科大学です。教員1人に対して一学年の学生がほぼ5人という体制ですので、きめ細やかに目が行き届くというのがメリットだと思います。学部の中には総合社会学科と観光文化学科があり、どちらも座学だけでなくフィールドワーク型の授業を義務付け、多く取り入れているのが大きな特徴です。地域社会はもちろん、地域の産業や観光と連携しながら学習しています。ここでもロケーションの良さが役立ち、授業時間内で出かけていくことが可能です。

―観光文化学科は神戸ならではの分野ですね。

 ロケーションの良さを利用して観光の繁忙期に短期から1カ月間の長期までのインターンシップ教育を、ホテルやクルーズ船などの企業さんに協力いただき実施しています。学生にとっては実地勉強になり、アルバイトにもなり、単位ももらえて一石三鳥です。そこから就職の道が開けることもあります。また留学生たちのインバウンド対応では企業さんにも喜んでいただいています。今後はラグビーワールドカップや大型コンベンションMICEにもフィールドを広げていけると期待しているところです。  また、国際社会では宗教を理解することがとても大切です。神戸には世界のさまざまな宗教施設があり、授業ひとコマを使って実地で学べるのも大きな強みです。インドの方を講師にハラールの料理教室を開く授業など、神戸のこの地だからできることでしょうね。インバウンドでは大阪、京都に大きく水をあけられているのが神戸の現状ですが、国際都市神戸はロングステイを想定すると最適な環境です。本学の卒業生が将来は貢献してくれる可能性は高いと思っています。

―地域住民との直接的な触れ合いもありますか。

 キャンパス内を宇治川が流れています。背後は六甲山に向けての坂ですから水質が優れているのでしょうね。総合社会学科の中に動物学を専門とする教員がおり、学生と一緒に1年かけて蛍を飼育し、シーズンが来たらこの川に放流しています。2002年から観察場所として地域住民の皆さんに解放し、それに合わせてイベントなども開催しています。経済経営の先生方は地元商店街の活性化や街のにぎわいづくり、建築の先生方は建物のデザインなどに関わっています。春節祭や神戸マラソンなど多くのイベントにも参加しています。

―100周年に向けての抱負は。

 その頃には4年制大学のみの運営となりますが、高度専門人の養成を目指す大学として観光をはじめさまざまな職業に従事する人材育成に力を入れていきたいと考えています。

―神戸の活性化に貢献してくれる人材に期待しています。本日はありがとうございました。

創設された大正13年に諏訪山から神戸の街並みを望む

地元の女子教育をめざして創設された。
昭和21年頃

キャンパス内を流れる川に蛍が飛び交う

1年をかけて蛍を飼育する

神戸で開催されるイベントにも積極的に参加する

実践的なフィールドワーク型の授業を行う

キャンパスから山手を登ると、ヴィーナスブリッジが現れる

神戸市立相楽園の西隣りに隣接する神戸山手大学3号館

井内 善臣(いのうち よしみ)

神戸山手大学 学長
1975年、徳島大学大学院工学研究科修了。1975年から2016年まで、神戸商科大学(講師)、兵庫県立大学経営学部(教授)。この間、学部長、経済経営研究所長、学術総合情報センター副センター長を歴任。2016年より兵庫県立大学(名誉教授)、神戸山手大学現代社会学部(教授)。同年10月より、神戸山手大学学長に就任。専門は「情報科学」、「経営情報」。モットーは「なにごとも『楽しく』」

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