2月号
Power of music(音楽の力) 第26回
音楽の様々なアプローチ法
『ワーグナーのように?』
上松 明代
お陰さまで、昨年12月に開催したコンサートが満員御礼の中、終了しました。本当にありがとうございました。
このコンサートでは、現代美術館のように会場内に「特設ブース」を設け、初の試みである、私の制作した【映像と音楽】4作品をループで上演しました。作曲家である以上、音楽制作は理解できるが、何故わざわざ音楽に映像を付けるのかと言うと、『音楽にも様々なアプローチ方法がある』ということを知って貰いたかったからです。
私の作る音楽には歌詞がない。現段階ではインストルメント音楽のみを作曲している。歌詞があれば感情が伝わりやすい。勿論、私だけに限らず、インストルメント曲を書く全ての作曲家は音で景色や、喜怒哀楽を表現しているのだが、感情に直結する歌詞を持つ音楽には敵わない。しかし言葉がなくとも視覚情報を音楽に乗せることにより、たちまち頭の中で情景が広がる。言うなれば、作曲家が頭に描いている映像をリアルに表現した世界。
普通、映像と音楽の制作は分業体制で行われる。例えば、CM、映画等々。しかし、作曲だけではなく、脚本や演出も手がけ、自分の理想芸術を表現した、リヒャルト・ワーグナーのように、私も音楽家を突き抜け、芸術家として細部までこだわった自分の世界、独創性を爆発させたいので、分業体制で制作していない。こちらも現段階では。残念ながらワーグナーとはスケールが違いすぎますけどね・・。
私はこれらを制作するにあたり、DTM(デスクトップミュージック)を学んだ。音楽を表現するための武器(ツール)は一つでも多く持っていた方が表現の幅が広がり、広がることにより、さらに観客を楽しませることができるはず。ここでワーグナーに習い、こんな音楽アプローチはどうだろう?コンサートの余興の一つとして、物語を音楽に乗せて朗読する。脚本・演出・演奏、(できれば作曲も)あなた。めちゃくちゃオリジナリティーがあっていいのではないか。人と同じことをやっていてもつまらない。あなたの世界観を爆発させて下さい!
上松明代(フルート奏者・作曲家)
武蔵野音楽大学卒業。ハンガリー国立リスト音楽院で2年間学ぶ。「時代を読み」「社会を知り」「テクノロジーを取り入れること」を念頭に、作曲・編曲を始め、ショートムービー制作も実験的に行う。六甲在住。趣味は読書、銭湯、現代アート。YouTubeにてオリジナル曲など公開中。オフィス Tempo.F 代表。
オフィシャルサイト http://akiyouematsu.com