7月号
ティーンエージャーたちが奇跡を起こす! vol.2|佐渡裕さんインタビュー
指揮者
佐渡 裕 さん
子どもたちとの活動をお話しされるとき、とても楽しそうで、優しい笑顔になる佐渡裕さん。
Vo・2では、大きなパワーと愛情を注ぐ「スーパーキッズ・オーケストラ」のこと、そしてティーンエージャーたちが起こす奇跡への期待をお話しいただきました。
残念ながら活動は休止でも、初のCDができました
―スーパーキッズ・オーケストラも休止状態ですね。
4月には、スーパーキッズが2011年以来続けてきた東日本大震災復興祈念演奏活動の一つ「こころのビタミンプロジェクト」を仙台で開催予定でしたが、延期せざるを得なくなりました。復興を目指す街の人たちに楽しみにしていただき、私自身も楽しみにしていました。子どもたちもその日に向けてモチベーションを高め準備していましたのでとても残念です。そんな中でも嬉しいこともあり、17年続けてきたスーパーキッズ・オーケストラ初のCD「TEENAGERS」ができました。いつも合宿場にしている淡路島洲本のホールをお借りして、私がヨーロッパで作るCDを手掛けてくれている録音技師が初めてドイツから日本へ来るというタイミングもあり実現したものです。
―たくさんの演奏家たちが巣立っていきましたね。
音楽家を育てることを目的としているわけではないのですが、9割以上が音楽大学に進んでいます。子どもたちの成長を見ていると本当に面白いですよ。どこで、どんなふうに突然変わってグッと伸びるか分かりません。ビオラの男の子が、さだまさしさんの「風に立つライオン」に感動して医学の道に進んだかと思えば、「料理研究家になる」と言って、可愛いお弁当を作ってくれていた女の子が、今は、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のアカデミーにいるんですからね。
佐渡 裕(さど ゆたか)
1961年京都市生まれ。
京都市立芸術大学卒業。故レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。2015年9月より、100年以上の歴史を持つトーンキュンストラー管弦楽団(オーストリア)音楽監督に就任。欧州の拠点をウィーンに置き、パリ管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団など、欧州の一流オーケストラに多数客演を重ねている。国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者を兼務。著書「僕はいかにして指揮者になったのか」(新潮文庫)、「僕が大人になったら」(PHP文庫)、「棒を振る人生~指揮者は時間を彫刻する~」(PHP新書)など