6月号
田辺眞人の まっこと!ラジオ人物事典 「神戸っ子出張版」⑥
ゲスト 栃尾泰治郎さん(橿原神宮宮司)
パーソナリティ 田辺眞人さん(園田学園女子大名誉教授) 天宮 遥さん(ピアニスト)
ラジオ関西・日曜朝の番組「田辺眞人のまっこと!ラジオ」の中の「まっこと! ラジオ人物事典」は、各界で活躍されているゲストを迎えたコーナーです。出張版では、その中でも特におもろいお話を抜粋してご紹介。
天宮 この春、奈良県の橿原神宮宮司に着任されました、栃尾泰治郎さんは尼崎のご出身で、1994年12月より湊川神社の権宮司、96年から宮司としておつとめになりました。
栃尾 阪神・淡路大震災の23日前に神戸に来たのです。震災直後、湊川神社は、山口県からの柴田病院による医療活動に場所を提供させていただき、同時に救援物資をお配りする場所にもなりました。境内は、鳥居や灯篭などの石造りのものがほとんど倒壊。鳥居を再建する際は、石は再び倒れる危険があるのでやめようということになり、結果、新しい鳥居はステンレス製。中が空洞になっていまして、笠木部分に100年後の子孫に伝えるメッセージを入れて「タイムカプセル」にし、100年後の1月17日に開封される予定です。
田辺 震災後、「楠公武者行列」が17年振りに復活しましたね。
栃尾 神社本庁より湊川神社へ行く命を受けたとき、神社役員から「地元とのつながりを深めてほしい」と言われましてね。武者行列自体は明治7年頃から行われていたのですが、昭和10年に学者を動員して歴史を調べ、甲冑や小物などを時代考証し、しっかりした南北朝時代の武者行列を復元したのです。
田辺 昭和10年は湊川の戦い(1336年)から600年の年で、大きなお祭りが開かれたんです。背後の山には楠木正成公の家紋・菊水の形に木が植えられ、それから「菊水山」と呼ばれるようになったんですよ。
栃尾 長く中絶していた行列を復元するのは非常に大変でした。けれども行列当日、「武者行列が戻ってきた」と、地域のお年寄りなどが沿道で拍手をしてくださったりして、とても嬉しかったですね。神社のお祭りは、市民の皆さんが参加してこその「お祭り」ですから。
田辺 栃尾宮司さんは、神戸の文化人が大変頼りにしていて、よく文化活動をサポートしていただきましたよ。奈良といえば、今年は「古事記編纂1300年」。
栃尾 奈良県・市をあげて盛り上げています。将来的には、神戸と奈良の文化交流の橋渡しのようなことができればとも思います。
(5月6日放送分より抜粋)