2月号
五色の神戸カラーが織りなす「神戸タータン」
石田原 弘(いしだはら ひろし)
スコットランド政府に登録
―「神戸タータン」のデザインにはどのような特色が?
神戸港をイメージしたブルー、ポートタワーや神戸大橋のレッド、白亜の建物とパールをイメージしたホワイト、都市部のアスファルトを思わせるグレー、そして六甲山のグリーン、この五色の組み合わせが「神戸タータン」で、タータンの発祥地であるスコットランド政府に登録されています。スコットランドでは、それぞれの家のタータンが政府に登録されていて、色の組み合わせはもっと複雑なものもあります。もともと地域ごとに存在していたタータンが、19世紀に氏族ごとのクラン・タータンとして確立しました。スコットランド政府に登録されていないものは、「タータン」とは呼べません。私は大学卒業後にイギリスに留学しており、タータンチェックはとても好きで、ぜひ神戸のタータンを作りたいと思っていました。
神戸開港150年の際、元町六丁目商店街の片山喜市郎さんらと何かしたいなと話をしていて、一過性のイベントより何か後に残るものを作りたいということになり、この「神戸タータン」を提案しました。商品開発とともに、商店街などと組んでプロモーションを行いたかったので、元町の片山さん、三宮センター街の植村一仁さんらと協議会を立ち上げました。神戸市の経済観光局や大学とも連携し、産官学で組んで良い形で発足できたと思います。
神戸タータン協議会の立ち上げから一年以上がたちましたが、予想外の反響をいただき、会員も企業や商店街、百貨店など現在では約100団体が加盟しています。
神戸の人に気に入っていただけるものを
―たくさんのアイテムが作られていますね。
カシミア神戸タータンマフラーや、ネクタイなど、会員の40~50社がそれぞれ独自のアイテムを作っています。神戸マラソンのフィニッシュテープやメダルのリボンに採用していただくなど、行政の皆さんにも多く利用いただいていて、嬉しいことです。
「神戸タータン」のデザインは、落ち着いたブルーがベースなので男性らしく、かといって女性にも使いやすい色合いです。私はこの「神戸タータン」によっておみやげものを作るつもりはなく、神戸の方、地元の方にアピールし、気に入っていただけるものをと思ってデザインしました。会員がつくり出した「神戸タータン」のアイテムが神戸市内のさまざまな場所で紹介され、販売されて、それを目当てに神戸市民の皆さんがいろいろな場所へショッピングに出かけるきっかけとなり、「神戸タータン」がその共通の言語になって広まっていけば良いなと考えています。神戸の方は洗練されたものを好み、見る目が厳しいので、自然に良いものだけが残っていくでしょう。
石田原 弘(いしだはら ひろし)
神戸タータン協議会会長・有限会社石田洋服店
1955年生まれ。1974年慶応義塾高等学校卒業。1978年慶応義塾大学経済学部卒業。3年間のヨーロッパ留学後、商社、服地・服飾輸入卸商勤務を経て2000年石田洋服店を開業。現在、石田洋服店代表取締役、神戸松蔭女子学院大学非常勤講師、神戸タータン協議会会長