1月号
連載コラム 「続・第二のプレイボール」 |Vol.1
「日本プロ野球界を沸かせたスイッチピッチャー近田豊年さん」
文・写真/岡力<コラムニスト>
引退後にさまざまな世界で活躍する元プロ野球選手の「今」をご紹介します。
大阪市内のゴルフ練習場。駅前という立地の良さから帰宅途中のサラリーマンやOLが練習に励む。同施設で熱心に指導を行う近田豊年さんは、南海、阪神に在籍した元プロ野球選手である。
高知県沖の島出身。小学5年で野球を始め、中学に進学するも全校生徒は11人。野球にうちこめる環境はなく陸上競技と卓球に励んだ。そんなある日、転機が訪れる。
砲丸投げ選手だった河野博文選手(日本ハム)の育成に成功した名門・明徳高校(現・明徳義塾)から身体能力が評価され声がかかる。2年の春には甲子園の土を踏み、卒業後は本田技研鈴鹿で活躍。4年目にはプロ注目の存在となった。だが、熱心に誘いを受けたヤクルトからの指名はなかった(※その年の1位指名は、長嶋一茂選手)。しかし南海ホークスよりドラフト当日にテストの話があり翌日には大阪球場へ向かった。球界のレジェンド杉浦忠監督を前にあることが頭をよぎる。子供の頃から練習するも、これまで封印してきた左右両手投げをアピールした。「これは、面白い…」。球界初の選手誕生に日本中が沸いた。残念ながら国内で左右両手投げを披露する機会には恵まれなかった。しかし留学先だった米国(1A)では、6本指の特製グラブを使用し実戦で披露。スピードの違いが打者には変化球となり実績を残す。引退後は、ゴルフ練習所で働きながら独自メソッドを開発しインストラクターとして人気を博す。「正直、野球生活は辛くてしんどかったです。しかし、そのキャリアがなかったら今の自分はありません。楽しく、すぐに上達できるので初心者の方でもお気軽にお越しください」。現在、大阪で系列5店舗と宝塚でもスクールを展開。野球人生で培った英知は、ゴルフの世界で活かされている。
■ 西中島駅前ゴルフスクール1号店
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