7月号
創業75周年の歴史から「創新」で次のステージへ 橋本 覚 <株式会社神戸マツダ 代表取締役社長>
今年、神戸マツダは創業75周年を迎えた。例年にも増して大きな盛り上がりを見せた「神戸マツダファンフェスタ2016」開催の意図について、神戸マツダ・橋本覚社長にお話を伺った。
─今年のファンフェスタは例年以上に盛り上がっていますね。
橋本 そうですね。今年は特に力を入れています。昨年に増してブランドを発信したいという気持ちが強いです。マツダのデザインラボで「ご神体」とよばれている、マツダデザインの根源となるオブジェも展示しましたが、あれはマツダの本社にあり広島を出ることがほとんどないのですよ。過去にロサンゼルスモーターショーに1度出展したことがあるくらいです。なかなか見られるものではありません。デザイン本部も「そこまでやるなら」と協力してくれました。LM55と787Bの2台が並ぶことも珍しく、そんな機会はイギリスのレーシングカーのイベント、グッドウッドフェスティバルくらいしかないでしょうね。マツダの公式フェイスブックページで告知していただいたのですが、「いいね!」が9千以上ありました。
─今回のフェスタでどんなことを実感していただきたいですか。
橋本 マツダのデザイン性や、ものづくりに対する思いが伝わればいいなと思います。マツダは乗って退屈な車はつくりません。あくまでも人間中心の車づくりにこだわっているんですよ。
─ファンフェスタは今後も続けていきますか。
橋本 創業70周年にスタートして今回で5回目となりますが、今後も今年と同じように開催してブランドの発信をおこないたいと思います。ただ、今年は75周年で少し規模を拡大しましたが、来年は例年通りの規模に戻す予定です。ファミリーに楽しんでいただくだけでなく、いま若者はクルマ離れと言われていますが、「マツダの車ってかっこいいな」と思って乗っていただけるように継続してファンを育成していきたいですね。
─今回はイベントの前日に社員の方にも会場をご覧いただいたそうですね。
橋本 昨年、休みを取ってファンフェスタに来てくれたサービスエンジニアがいたのですが、彼が「こんなことできるんですか?うちの会社ってすごいですね!」と大変感動したのです。その一言が嬉しくて。お客様がご存じでも社員が知らないということなんだろうなと。今回、神戸マツダ創業75周年ですし、70周年の時に立ち上げた「創新実行の取り組み」で10年後の姿を描いたのですが、その中間点でもあります。社員をこの会場に集めて創新ビジョンミーティングをおこない、スタッフにも登壇してもらい将来の姿を語り合いました。「創新実行の取り組み」の現在の達成度は、数字的には60%、理念的には40%くらいでしょうか。
─経営者として、どんなことを心がけていますか。
橋本 経営者は覚悟を決めてそこに行くことが大切です。時には「会社が潰れる」という声が上がるような決断も必要ですが、会社が潰れると言うことは社会的にその会社の存在が不要ということなんですよ。現会長からは「森を見て木を見ず」になるなと教えを受けました。全体を見つめることはもちろん、一つひとつの木を細やかに見ることも大切です。店舗もそれぞれの店の状況を考え、各店長の考えを尊重するようにしています。
─これからの神戸マツダはどのようになっていきますか。
橋本 まずは当たり前のことが当たり前にできる「普通の会社」になろうということです。昨今、自動車業界では燃費データの不正などのニュースが世間を騒がせていますが、自動車業界の常識が世間と少しずれている面があるのかもしれません。コンプライアンスを遵守しつつ、改善していきたいですね。そして数字ありきで質が後回しにならぬよう、質を重視していきます。接遇品質、商談品質、アフターフォロー品質がきちんとすれば、数字は自ずとついてきます。今後は本店や宝塚店のリニューアルも計画しています。ご後援の程、よろしくお願いします。
橋本 覚(はしもと さとる)
㈱神戸マツダ 代表取締役社長
1961年生まれ。1985年一橋大学法学部卒業、同年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ボストン大学にて国際銀行法学修士取得・ニューヨーク勤務等を経て1996年退職。2000年㈱神戸マツダ代表取締役社長就任。2002年ジャガー・ランドローバー・ディーラー協会理事就任