2016年
6月号

私の神戸市外大 青春時代

カテゴリ:, 教育・スポーツ

敬称略:順不同

言葉は絶対に必要不可欠なもの

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フェニックスグループホールディングス 会長
1965年 ロシア学科卒業
荻野 正明

 1960年ロシア学科に入学。ちょうどその前に、当時のソビエト連邦が人類初となる人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功、ぼくの高校の担任などは合格の報告を聞いて「これからはソ連の時代だぞ!」と言って肩をたたいてくれました。しかし、ぼくはロシア語になかなかなじめず、苦労した記憶が残っています。ただ、男声合唱の「グリークラブ」に入部していたので、当時ロシア民謡が日本の多くの若者たちに親しまれていたこともあって、ずいぶん多くの曲を練習し、リサイタルでもそれらを唄ったものです。
 大学卒業後しばらくして、貿易会社の香港駐在員事務所所長として香港に赴任。以来、5年後の独立を経て香港滞在は半世紀近くになっています。
 これからの日本は、これから生まれてくる子どもたちに対して、自分たちがどのように向き合い、どのように自分たちの時代のことを次世代に伝えていくのか?といったことを常に意識していることが必要になって来ると思います。その上で、アジアの国々の人々を視野に入れ、同様の考えを広げていく。そういう時代になりますが、その場合、言葉は絶対に必要不可欠なものだと考えています。

進取の街・神戸での学生時代

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株式会社文藝春秋 前代表取締役社長
神戸市外国語大学 客員教授
1970年 英米学科卒業
平尾 隆弘

 神戸は、日本における映画興行発祥の地である。明治29(1896)年――外大創設の半世紀前になる。映画だけではない。水族館、ゴルフ、パーマネント、花時計等々が神戸から生まれた。ラムネもパン屋もジャズバンドも神戸発。進取の気性に富んだ街なのだ。
 誰の心にも懐かしい土地があるに違いない。神戸はわが懐かしき街。学生時代ワンダーフォーゲル部だったから、六甲は文字通りホームグランドであった。上京後、横浜を訪れたとき、「山が見えない、山が!」と落ち着かない気持になったものだ。雑誌編集者の頃出来した震災は、とても他人事ではなかった。司馬遼太郎、山崎豊子、田辺聖子、陳舜臣、藤本義一、宮本輝……関西在住の作家たちは、一様に衝撃を受けておられた。
 人も街も、懐かしさだけでは生きられない。神戸が、進取の気性を忘れずに、強くアピールできる存在になればと切に願っている。

勉強でも何でも楽しんだ者が勝ち

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外務省 情報分析官
神戸市外国語大学 客員教授
1990年 中国学科卒業
岡田 勝

 神戸市外大には、今も感謝の気持ちでいっぱいです。専攻の中国語については、入学直後の厳しい発音指導から始まり、日常会話から古典文学まで様々な中国語を学ぶことができました。神戸市外大の中国語は、社会の各分野で高い評価を受けています。また、語学以外の授業も非常に充実しています。私は、3年生からは、法経商コースを選択し、憲法、国際法、民法、経済学、金融学などの授業を受けましたが、そのレベルは非常に高く、国家公務員試験だけではなく、外務省に入ってからの実務にも大いに役立っています。
 神戸市外大は、大規模な総合大学とは異なりアットホームな雰囲気があります。私は中国研究会に所属しましたが、年に一度の語劇などを通じ、非常に充実した大学生活を送ることができました。なお、私の妻は、私が3年生になったときに新入生として入ってきた中国学科の後輩であり、神戸市外大は「仲人」でもあります。
 私は1990年に神戸市外大を卒業して外務省に入ってから既に26年あまりになりますが、2年間の北京大学での在外研修及びこれまで3回で合計約10年になる北京の大使館勤務を含め、ほとんどが中国関係の仕事に従事してきました。1997年以降は、天皇陛下、総理大臣の中国語通訳を務め、多くの歴史的な場面に立ち会うことができました。もちろん、重要な通訳はかなりの準備を必要としますし、本番は、文字どおり寿命が縮まる思いです。特に総理大臣の発言は日本政府を代表する発言であり、総理大臣通訳はその一言一言を正確に訳さなければなりません。このため、言葉のみならず、常に内外の様々なことを勉強しなければなりません。
 「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」これは孔子の言葉です。勉強でも何でも楽しんだ者が勝ちです。外国語のレベルが上がること、知識が増えることは本来楽しいことなのです。私はいつも楽しみながら勉強をしています。

私の中でずっと続いている、アットホームな大学時代

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学校法人育成学園
神戸国際調理製菓専門学校
理事長・学校長
1983年 英米学科卒業
植木 砂織

 私は六甲の高台にある旧校舎で学びました。思い出すのはあの油引きの床の教室や桜の木が綺麗だったグランド、校舎の窓から眺める神戸の海。入学してすぐのオリエンテーションの神戸市内一日観光では、バスで六甲山牧場や港巡りまで連れて行ってもらい、とてもいい大学だなあと思いました。しかし授業が始まると、どれもこれも難しくてちんぷんかんぷん、教授も天然記念物みたいな方が多かったです(失言お許しください)。おまけに一コマの授業時間が長く、朝から夕方までみっちり勉強でした。秋の大学祭は最高に楽しく、テニス部の模擬店でわらびもちを作ったり、夜は講堂の一番前の席で、当時はジーンズのサロペットを着てアフロの髪型の笑福亭鶴瓶さんの話に大笑いしました。オール阪神巨人さんを招いた年もあったと思います。私にとっての大学での思い出は、やはりクラスメートや先輩、後輩、学科を越えて親しくなった友達。大学全体の学生数が少なくて、ほとんど全員が顔見知りなのです。
 今、神戸で仕事をさせていただいていると、同窓生や大学にゆかりのある方々に出会うことがとても多く、それがすごく嬉しい。あのアットホームな大学時代の青春は、私の中でずっと続いているような気がするのです。

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