9月号
今も昔も変わらぬ、落ち着いた塩屋の駅と街
塩屋駅は明治29年に当時の山陽鉄道の仮停車場として開業した、100年以上の歴史がある駅です。明治39年に国有化されて国鉄塩屋駅となり、その後JR西日本が引き継いで今に至っています。現在の乗降人員は1日約1万4千人と、駅の規模にしては多い方だと思います。
私は塩屋・垂水・舞子の3駅を管轄していますが、それぞれの駅には個性があります。観光のお客様や淡路島へののりかえのお客様が多い舞子駅とは対照的に、塩屋駅は地元のお客様が多い駅です。
塩屋駅周辺にはジェームス山があり、旧ジェームス邸など古い洋館も多いところです。駅の近くにも旧グッゲンハイム邸や旧後藤邸が佇み、ホームからも見えますよ。
塩屋駅周辺の車窓は、海が広がり素晴らしいですね。船が行き交い、明石海峡大橋や淡路島も望め、夕焼けもきれいです。須磨から朝霧にかけてのように、都市圏でありながら風光明媚な海辺を走る路線は、全国でも珍しいのではないでしょうか。
私事で恐縮ですけれど、実は昭和51年、当時の国鉄に採用されたのですが、最初に配属され3年間勤務したのが塩屋駅でした。そして、平成24年に縁あって再びこの地で勤務することになり、個人的に大変思い入れのある駅です。
最初に勤務していた当時と、街もあまり変わっていないような印象を受けますね。商店街の雰囲気も昔のままです。駅自体も、エレベータ設置などのバリアフリー化がおこなわれたりトイレが改善されたりした以外は、あまり変わっていない感じです。ご利用いただくお客様も、変わらずマナーが良いですね。昔は外国人のお客様にも多くご利用いただいておりました。
朝のラッシュ時こそ5分間隔で電車が発着しますが、塩屋駅は今も昔も落ち着いた感じがあるノスタルジックな駅だと思います。これからも地元の皆さまに愛されて、いつまでも変わらず昔ながらの雰囲気であり続けてほしいですね。
志水 計哉 さん
JR西日本 垂水駅長