9月号
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塩屋の邸宅文化を伝える旧ジェームス邸
風光明媚な塩屋の地に外国人向け住宅地、ジェームス山を開発したアーネスト・W・ジェームス氏は、その一角に自らの邸宅を築いた。それが旧ジェームス邸だ。
ジェームス山の一番海寄りのエリアに佇む旧ジェームス邸は、1934年に完成。竹中工務店の設計、施工で、モダニズムの中に装飾性のエッセンスを採り入れ、「竹中調」とよばれるデザインの基礎を編み出した早良俊夫が設計を担当した。早良は国の登録有形文化財「雲仙観光ホテル」を手がけたことでも知られている。
戦前はジェームス氏の私邸として使用されていたが、やがて戦争により彼もこの邸宅を離れて出国を余儀なくされた。戦後帰国したときには進駐軍に接収されていたが再びジェームス氏の手に戻った。彼の没後も大手企業の迎賓館に使用されるなど大切に保存され、2012年に神戸市指定有形文化財となり、現在はレストランとして活用されている。
旧ジェームス邸の主屋は地上2階、地下1階、オレンジ色の丸瓦とクリーム色の土壁をベースに、アーチ状の玄関ポーチや円筒状の塔などのアクセントが彩るスパニッシュスタイル。竜山石の石積や陶製の「泰山タイル」など日本的なエッセンスも散りばめられ、ジェームス氏の日本文化に対する理解と愛情が滲み出ているようだ。
屋内は英国伝統のジャコビアン様式を踏襲。琥珀色のガラスから温かな光が差し込み、マントルピースやステンドグラスなどの装飾も美しい。ドアや家具、照明など調度品も統一されたイメージでデザインされている。1階のダイニングや2階のバルコニーからは碧い海を望む。螺旋階段で上る塔屋は展望台となっており、淡路島も近く感じる。
地階にはビリヤードルームやバーラウンジが配され、庭にはかつて海水を引いたプールやテニスコートがあったとか。社交場としても重要だったのだろう。
80年の時を経て、ここには今も静かな時が流れている。
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昭和9年(1934)にジェームスの自邸として完成。円筒形の塔屋を設けた当時流行した典型的なスパニッシュ・スタイルを踏襲している
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玄関の扉には蔓草の文様を施し、自然光をとり入れる
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海の守り神「海獣」を模した噴水口
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階上につながるステンドグラスから琥珀色の陽光が差し込む
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地下に設けられたバーラウンジ。社交場に欠かせなかった
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地下には広々としたビリヤード場が設けられている
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緑が眩い庭園の向こうには、穏やかな海が広がる
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塔の床に敷き詰められた泰山タイル。多彩な文様がひときわ目を引く
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最上階にある展望台。眼下に広がる海や行き交う船を眺めた
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戦前の外国人が暮らした邸宅文化を今に伝える応接室。直線的で重厚な英国のジャコビアン様式を取り入れている
レストランのご予約・お問い合わせ
TEL.078-752-2266
【営 業】ランチ 11時30分~15時(L.O.14時)
ディナー 17時30分~21時30分(L.O.20時)
【定休日】第二水曜日・婚礼のある土日祝日
※日程により宴会は可
restaurant.novarese.co.jp/jmt