2015年
2月号

~船ならではの景色、贅沢な時間~ 神戸から行く、大分さんふらわ‘あ~と’旅

カテゴリ:観光

ライター/安田祥子(写真も)

多島美のしまなみを航く 面舵いっぱい・感動いっぱい
しゅるっしゅるしゅる……、船のデッキから舞い踊る色とりどりの紙テープ。こんな華やかな風景はキャンディーズの解散コンサート以来(!?)、今から始まる旅に胸が高鳴る。
快晴の11月、神戸港から大分港へ向かうフェリー「さんふらわあ」に乗船した。
 通常、神戸と大分を結ぶ船は夜行便のみだが、今回は年に4度の「昼の瀬戸内感動クルーズ」を利用。瀬戸の多島美や青空の下、瀬戸三大大橋「明石海峡大橋」「瀬戸大橋」「来島海峡大橋」の通過を体感できるのも昼便ならではの楽しみだ。甲板は巨大な橋を狙ったカメラ小僧ならぬカメラおじさん達であふれている。夕刻ともなると波穏やかな瀬戸の海がゆっくりオレンジ色に染まっていく。日常では決して見ることのない自然美。「瀬戸は日暮れて~♪」、有名なフレーズが実際に目前に広がる感動の一瞬だ。大人の感受性に響く凛とした時間。素敵な船旅、一度体験するとやみつきになる!

(左・中)出航の汽笛とともに生演奏が響き、船上デッキは華やかな雰囲気に (右)真下から見る「瀬戸大橋」は迫力満点


神戸&大分の味(魅)力を航海中、存分に堪能する
もちろんお楽しみは眺望だけにあらず。約半日の船旅を飽きることなく過ごせるよう船内では、落語にライブ、写真講座やルーレット、船長との記念撮影…、賑やかな催しが次々実施される。なかでも飲んべえ客に人気は、今回のスペシャルイベント、神戸と大分のお酒の試飲会。神戸陣が神戸ワインや灘の酒・桜正宗の新酒で攻めると、大分陣は大分県南部に位置する臼杵市(うすきし)の「Usuki Bowl(ウスキーボール)」で迎え撃つ。ウイスキーではなくウスキ(笑)自慢のお酒は、カボスを浮かべた樽に麦焼酎「常蔵(つねぞう)」を注いだ、すっきり爽やかな味わい。醤油漬けの刺身におからをまぶした郷土料理「きらすまめし」とも相性抜群。神戸&大分の味力を堪能する至福の時間だ♪

レアな船長服を着て、本物の船長と記念撮影


また夕食のバイキングにも大分の名物が続々と。カボスを餌に育った「かぼすブリ」の刺身は香りがよく、赤身部分が鮮やか。さっぱりとした上質な脂ゆえ、ご飯によし、お酒(有料)にもよし。他にも柚子胡椒で味わう鶏天、ラードでモヤシや豚肉をいためる日田風焼きそば、安納芋のスイートポテトまで、たまらん、ごっつぉがいっぱい。
朝10時半すぎに出航した船は、約12時間の航海を経て、夜の10時頃、大分港に到着。そのまま船で宿泊し(※もちろん下船してもいい)、翌朝一番から大分旅に出かけられる。船内には海の見える展望風呂やお土産ショップも完備され、船の旅は快適そのものだ。

(左・中)「かぼすブリ」は濃厚な旨味が口の中に広がる感動のおいしさ!青魚独特の生臭みゼロ。目の前で調理してくれる「日田風焼きそば」も人気 (右)飯ではなく、きらす(おから)をまめす(まぶす)「きらすまめし(写真右下)」は臼杵の酒のアテに最高


温泉だけでなくアートもアツイ!!大分・別府はアートな街に変貌中


今回の旅のテーマは「別府のアート」。世界有数の温泉地として知られる大分県の別府市は近年、アートに注力。そこで別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』や、アート月間『ベップ・アート・マンス』、アート宿泊施設『浜脇の長屋』など、別府の街とアートのつなぎ手となっているアートNPO【BEPPU PROJECT】の広報担当、利光友紀さんに話を聞いた。

【BEPPU PROJECT】広報 利光 友紀さん


アートに泊るという発想!?旅時間を心豊かに過ごす
「別府には路地奥の古い長屋や商店街の空き店舗などの空間にアートをしのばせ、それがピタッとはまる空気感があります。美術館ではなく、街にアートを置くことで、アートだけでも街だけでもない、各々の魅力を両方セットにして発信できる。街作りのためにアートを利用するのではなく、街におけるアートの新しい価値を紹介したいのです。アートは難しいと身構える人も少なくありませんが、別府の “場のチカラ”を活用して、誰もが気軽に楽しめるアートを発信していきたいと考えています」。
 インタビューで印象的だったのは、“アートとは自由なものの見方を促す媒介であり、人それぞれで価値や意味が変化する”ということ。アートはもちろん、まさに旅にも同じことが言える。温泉もいいけれど、街に溶け込み、街で頑張る人と語らい、様々に感じる時に浸る。旅は自由なものの見方を発見する媒介となり、新しい発見から始まる旅は飽きることがない。
 時短で安価な格安航空が人気だが、旅は非日常的な空間や時を楽しむのが醍醐味。目的地に着くまでもしっかり思い出深い船旅、大分への感動の旅はぜひ「さんふらわあ」で!
次の昼便、4月26日㈰と6月7日㈰の予約受付中、ぜひこの素晴らしさを体感してみてはいかが。

宿泊できるアート施設『浜脇の長屋』


別府温泉発祥の地・浜脇地区の築100年以上経つ長屋をアーティスト廣瀬智央さんが作品化。床一面に広がる青い光の空間が幻想的な「天空の庭(上)」は吹き抜け部分にガラスがはられ、そこに布団を敷いて寝る。「カボスの家(下)」は天窓からの柔らかな光がカボスの影を映しだす心和む空間。
料金:1泊 大人1名6,000円、2名10,000円(税別)
問い:【BEPPU PROJECT】TEL.0977-22-3560
同施設は(株)ひたのきより委託を受け、NPO法人BEPPU PROJECTが管理運営を行っています。

ベップ・アート・マンス2014

取材時の11月、別府市では毎年秋に開催される「ベップ・アート・マンス」を開催中。市内で開催される、文化・芸術に関わるたくさんのイベントを集めた市民文化祭で、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」実行委員会事務局が主催。

■的野丸+井村 隆 動く造形「カラクリンの夢・体験展」
会場:platform02

(左)的野丸さんと井村隆さん (右)造形作家・井村隆の作る、羽やプロペラを持つ、動く魚「カラクリン」の不思議な世界。「platform02」は、元菓子店を改修してアートギャラリー等に活用している空間


…子供の頃、ラジオや時計の中には小人がいて彼らがモノを動かしていると思っていました。大人になっても、例えば、腹の虫がおさまらないなど、人との折り合いに目に見えない何かの存在を感じるときがある。その何かへの思いをカタチにし続けています。今回の展覧会は、関西から九州に移り住んだ古くからの友人の誘いがあって実現。人の縁、引きあうもの、アートにはそんな力があると信じています。

■トビイ ルツ Traveling Mind展 絵本「しまうまシリーズ」原画展
会場:冨士屋ギャラリー一也百(はなやもも)

別府出身イラストレーター・絵本作家のトビイルツがウィーンの旅をテーマにした銅版画の個展を開催。百余年経た明治の旅館を再生したギャラリーの建築美も素晴らしい。


…温泉と、アートに開かれた空気に魅力を感じ、県外からの移住者も多い別府の街。そんな人達のアツイ想いに刺激を受けて、生まれ育った私達も、改めて街の魅力を再認識するという良い輪が出来ているように思います。「冨士屋」さんのように街の素敵な空間で行うアートイベントを通し、作家や建物のオーナー、そして別府に暮らす人も、観光でいらした方も、アートをきっかけに街全体が元気になればいいなと思います。

さんふらわあ

神戸~大分・大阪~別府
海の上を移動しながら食事をし、大浴場でゆったり、ベッドでぐっすり。目覚めれば目的地に到着するフェリーの旅をぜひ!
フェリーさんふらわあ TEL06-6614-1013
http://www.ferry-sunflower.co.jp/

混浴温泉世界

3年に一回開催される、別府現代芸術フェスティバル。年齢・性別・国籍問わず、たくさんの人とアートを共有できる「混浴温泉」のようなアートのお祭りを7/18(土)〜9/27(日)に実施。第3弾の今回は”世界は不思議に満ちている”がテーマ。 http://www.mixedbathingworld.com/
※お食事・イベント内容は運航日により変更となる可能性があります。予めご了承下さい。

月刊 神戸っ子は当サイト内またはAmazonでお求めいただけます。

  • 電気で駆けぬける、クーペ・スタイルのSUW|Kobe BMW
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〈2015年2月号〉
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