2015年
2月号
職人たちが帽子づくりを手がけているマキシンの工房

震災と職人、そして会社[神戸とモノづくり(7)]

カテゴリ:お洒落・ファッション, 経済人

ファッション都市神戸を代表する、婦人帽子の「マキシン」。
洗練された婦人帽子は国内はじめ海外でも愛されているほか、皇族のお帽子や、鉄道や航空会社の制帽、オリンピック日本選手団や博覧会の制帽などを手がけてきた。
トアロード本社3階にある工房では、今も職人たちが手作業でひとつひとつの帽子を制作している。
震災20年を迎え、渡邊百合社長に、震災時の職人とものづくりについてお話しいただいた。

 1995年1月17日、それまで49年生きてきた人生、天変地異とはこのことをさすという体験でした。
 会社経営にあたっては、何事も早く行動することが先決です。当日の朝9時すぎ、建物の被災の状況を確認してから2次被害がでないよう、割れていた全面ガラス窓の下の歩道を通行止にしました。数日後、電気、ガス、電話、ファックスの復旧手続き、簡易トイレの手配を行いました。震災4日後の21日に、東京から来た緊急物資輸送の、トラックの「帰り便」で東京支社へ商品をまず送り、各地へと発送。納入先の百貨店へ穴をあけるのを防ぐことができました。
 当時、ひとつ大きな発注がありまして、全日空の新入社員を含む客室乗務員の制帽4000個のご注文でした。3月の入社式に間に合わせるために、2月末までの納品でした。ガスと水道がまだ復旧する前に、全社員総力を挙げて、なんとか納期に間に合わせました。
 日々対処すべき問題を書き記し、順次解決しては消し込み、帽子納入先には取引が継続できるという状態を説明していきました。このとき、一部しか機能できない神戸本社の肩代わりとして、東京支社が大きく寄与しましたから、リスク分散の重要性を認識したものです。
 優先順位を考えての行動、信頼ある取引関係、お客様からの励ましにどれほど支えられているか、心の繋がりの重みも感じました。
 こちらは異常状態で頭も麻痺していましたが、震災は神戸の地域的なことで、他では通常に動いていますので、甘えていては取り残されてしまいます。加工先の手も空けてはいけない、と、営業部、製作部、一致団結しました。25日の給与支払も概算で送りました。お見舞いの手紙、電話の返事は、相手が聴きにくいであろうこちらの状態や、見通しを伝えることを旨としました。
 震災20年を迎えるにあたり、改めて当時のことを思い出します。

職人たちが帽子づくりを手がけているマキシンの工房

職人たちが帽子づくりを手がけているマキシンの工房


トアロードにあるマキシン本店

トアロードにあるマキシン本店


震災直後の2月、4千個を納品した全日空の制帽

震災直後の2月、4千個を納品した全日空の制帽


昭和30年代頃のマキシンの工房

昭和30年代頃のマキシンの工房


20150204104

マキシン トアロード本店

神戸市中央区北長狭通2-6-13
TEL.078-331-6711
営業:10:00〜18:00
定休:水曜休
20150204002

株式会社マキシン
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〈2015年2月号〉
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