2017年
5月号
5月号
ぶらり私のKOBE散歩|住吉川・清流の道と文化財散歩
和田 孫博
<灘中学・高等学校 校長>
灘中・高が面する住吉川は六甲山頂付近から大阪湾に流れ下る急流で、大昔から氾濫を繰り返してきた。治水の一環として、高い堤防を下りた川の両岸に清流の道という遊歩道が整備されている。
清流の道の最上流落合橋のたもとに白鶴美術館がある。昭和6年、白鶴酒造七代目当主嘉納治兵衛が創建。中国の青銅器・磁器などを展示している。
2号線から数百メートル下流西岸に、谷崎潤一郎の旧居、倚松庵が静かな佇まいを見せる。代表作『細雪』には、昭和13年の住吉川大氾濫の様子が描かれている。
最下流の島崎橋のたもとには菊正宗酒造記念館がある。阪神大震災で崩壊したが平成21年に復興オープン。伝統的酒造りがよくわかる施設だ。
なお、住吉川ではないが、石屋川沿いの御影公会堂がこの4月に再オープン。本校創立時の顧問・嘉納治五郎の資料室(正式名「御影郷土資料室と嘉納治五郎記念コーナー」)が設置された。
和田 孫博(わだ まごひろ)
1952年、大阪市生まれ。1976年に京都大学文学部卒業後、すぐ母校に英語科教諭として就職。2007年に同校校長および学校法人灘育英会理事に就任。現在に至る。校是である「精力善用・自他共栄」が座右の銘でもある