6月号
音楽のあるまち♬9 旧居留地の一角で、世界最高峰のピアノと上質な音楽を
ミューズウエスト株式会社
代表取締役社長
三木 俊彦 さん
日々の喧騒を忘れさせてくれるような旧居留地の一角にある「スタインウェイ&サンズ神戸」。ゆったりしたショールームにコンサートホールも併設し、世界最高峰のピアノと上質な音楽を提供している。
―オープンに至った経緯は?
ミューズウエスト株式会社の親会社である三木楽器は1825年に創業しました。創業して190年以上の実績をもち、1921年から戦前までスタインウェイの日本での総代理店を引き受けていました。戦後から昨年に至るまで離れていたのですが、縁あってこの度、両社の古くからのお付き合いを再開することになりました。昨年2月、スタインウェイジャパンと正規ディーラー契約を交わし、7月に「スタインウェイ&サンズ神戸」をオープンしました。
―神戸のこの場所を選んだのは何故ですか。
開港150年を迎えた神戸は日本における西洋文化の発祥の地です。この街には西洋の音楽がとてもマッチします。またこの旧居留地界隈には、いい音楽を聴き、ゆったりした気分になるのにふさわしい雰囲気があります。コンサートホールを併設し、スタインウェイのピアノの音の響きを楽しんでいただける環境で、ご覧頂きたいという想いにぴったり合うと考えました。
―スタインウェイのピアノの特徴は?
最高の素材と最高の技術を使い、最高のピアノをつくるのがスタインウェイの基本的なスタンスです。マニュアルが存在するわけではなく、約170年に及ぶ歴史の中でクラフトマンから次の世代のクラフトマンへと受け継がれてきた技術で、音に関わる部分についてはほぼ全てをハンドメイドしています。ですから、素材やクラフトマンによって一台、一台に個性があり、音色やタッチ感が違います。
―その音の特徴は?
スタインウェイは130以上の特許を取りながら、現代のようなピアノの形を作り上げてきました。大きな特徴が音量です。200年ほど前、誕生した当時のピアノの音量には限界がありましたが、オーケストラの音にも負けない音量を実現したのがスタインウェイです。ピアニッシモからフォルテッシモまでどんな音を出してもその輪郭が崩れず、きちんと聞こえるのも一つの特徴です。また、音を単純に響かせるのではなく、一つの音は倍音といわれるたくさんの成分で構成されていますが、その音を豊かな響きで再現できることが艶のある音色の理由です。
―コンサート会場ではピアニストにスタインウェイのピアノが選ばれていますね。
神戸、阪神間のホールや会館にもそれぞれ何台かピアノが用意されていますが、その中からスタインウェイを選ぶ演奏家が圧倒的に多いのは事実です。優しく弾いた時の音は優しく、激しく弾いた時の音は激しく、演奏家が表現しようとする感情に応えてくれるという点で特に秀でているのだと思います。
―コンサートホールはどのように利用されているのですか。
自主企画のコンサートをはじめ、貸し会場として発表会やリサイタルの開催などにご利用いただいています。セレーノミュージックオフィスとの共催で「マンスリーリサイタルシリーズ」も4月から始まりました。代表の静間佳佑さんを通じて紹介いただく若い演奏家たちのコンサートです。キャパ60人の会場ですが、スタンウェイD-274を常時最高のコンディションで用意しています。本格的な発表の場を提供して高い志をもつ演奏家たちをサポートしていきたいと思っています。お陰さまで年内の週末はほぼ予約で埋まっている状態です。こういった場所を求めている演奏家がたくさんおられるということなのでしょうね。
―神戸に来られて1年。このまちの印象は?
神戸はジャズが根付いているというイメージがありますが、いろいろな音楽をやっていますね。私共も、幅広いジャンルの音楽が溢れるまちになるための一助になれればいいなと思っています。スタインウェイのピアノもクラシックに限らず、ジャズやポピュラーのミュージシャンに使っていただこうと、昨年10月には朝日ビルで開催された「神戸開港150年 旧居留地Jazzプロムナード」に貸し出しをしました。こういったイベントには積極的に参加していこうと考えています。
―これからぜひ、音楽のあるまちづくりにお力添えください。よろしくお願いします。
スタインウェイ&サンズ神戸
神戸市中央区加納町6-3-1-1F
078-392-0274