2012年
12月号
目の前でフランベされ出来上がるクレープ・シュゼット

ぶらり私のKOBE散歩 Vol.7

カテゴリ:KOBE散歩, おすすめスポット, 神戸

原点の芦屋から、西宮、神戸家族のストーリー

芦屋で創業した人気洋菓子店「アンリ・シャルパンティエ」等のブランドを手がける(株)アッシュ・セー・クレアシオンの社長・蟻田剛毅さん。創業者であるお父様との思い出深い芦屋本店、お父様が通っていた店、そして息子さんと一緒に訪れる店。蟻田家ご家族のエピソードがそこかしこにありました。

芦屋本店で出会うアンリの原点「クレープ・シュゼット」

洋菓子店「アンリ・シャルパンティエ」は、1969年、芦屋で誕生した。現在の芦屋本店である。創業者である父・蟻田尚邦さんに連れられて、剛毅さんも小さな子どものころからよく訪れていたという。
父・尚邦さんが、料理人を目指し修業していたレストランで出会って感動したデザート「クレープ・シュゼット」。人を幸せにするデザートを提供するお店を作りたい、というのがアンリ・シャルパンティエ創業のきっかけだった。芦屋本店では、そんな物語とともにクレープ・シュゼット(1050円)はワゴン実演によって運ばれてくる。薄いクレープをオレンジ果汁で煮て、リキュールでフランベ、青い炎があがり、温かいデザートができあがる。他にも、店内には必ず生花を飾るなど、父の思いが引き継がれる本店。一度はまったく別の業界でサラリーマンをしていたが、スイーツに関わる仕事を手がけたときに、自分もやはりお菓子が大好きなのだと気づいた蟻田さん。
「好きなお菓子を扱う仕事をして、お客様にも喜んでいただける、恵まれていると思います」。
本店は芦屋から移すつもりはないという。「芦屋だからこそ成立すると思うような、小さく光るお店があるのが芦屋なんですね」と。

目の前でフランベされ出来上がるクレープ・シュゼット


温かいデザート「クレープ・シュゼット」にはアンリの物語がたくさんつまっている



HENRI CHARPENTIER 芦屋本店

TEL.0797-31-2753
芦屋市公光町7-10-101
8:30~20:00 無休

バーニャカウダがお気に入り

蟻田さんが家族で食事に出かけるのは、旧居留地のORIENTAL HOTEL「メインダイニング・バイ・ザ・ハウス・オブ・パシフィック」。神戸の街並みをのぞむ眺望が最高で、お料理は素材がおいしいイタリアンやグリル料理。子ども向けのセットメニューもあるので家族みんなが楽しく食事できるのが魅力。蟻田さんのお気に入りメニューは、有機野菜をアンチョビのソースにからめて食べる「バーニャカウダ」だとか。

シンプルながらひと手間加えたイタリアン、グリル料理が楽しめるオリエンタルホテル・メインダイニング


有機野菜のバーニャカウダ



ORIENTAL HOTEL MAIN DINING by THE HOUSE OF PACIFIC

TEL.078-326-1577(直通)
神戸市中央区京町25
Breakfast 6:30~10:15(L.O.)
Lunch 11:30~17:00(15:30L.O.)
Dinner 17:30~23:00(22:00L.O.)

子どもが遊べるおもちゃ、あげていますか?

岡本の「B. B. SHOP」はスイス、ドイツはじめヨーロッパや日本の木のおもちゃを扱う。息子のおもちゃを探そうと何気なくこのお店に入った蟻田さん、その場にいたオーナーに、早速、年齢によって与えるおもちゃが変わってくること、子どもとおもちゃへの思いなど真剣なアドバイスを受け、感動したという。オーナーの柏木さんは大学卒業後にこの場所でおもちゃ店をオープンし、今年で39年。いわゆるキャラクターグッズやロボットのようなおもちゃではなく、「子どもが遊べるおもちゃ」を揃えている。例えば3歳なりの遊び、7歳なりの遊びができる「つみき」、子どもの発想がどんどん広がる木の車、自分で動かして楽しい木製の汽車。クリスマスに楽しいオーナメントも多数登場。アトリエでは子どものための造形・絵画・料理教室を開催している。

クリスマスオーナメントも多数


自分で動かして遊べる木製の汽車



おもちゃと子どもを愛するオーナー・柏木良一さん


木のおもちゃB.B.SHOP

TEL.078-452-5558
神戸市東灘区岡本1-4-17オギタビル1階
10:00~19:00 
水曜定休(祝日の場合営業)

清らかな店内で味わう鮨

父・尚邦さんが逝去後、「父が何を考えていたかが知りたかった」と、父が通っていたレストランを巡るようになった蟻田さん。その中でも特に気に入り、自身でも何度も通うようになったお店に、苦楽園の「鮨 まつ本」がある。
大将・松本純さんが毎朝、福島の市場で直接買いつける新鮮なネタを握る。一枚板のカウンター、まな板、そしてネタとシャリ、シンプルな店内で旨さに出会う。素材の旨さにプラスして、「自分の鮨を握りたい」と模索する松本さんが創作する鮨も、蟻田さんのお気に入り。たとえばコースの流れにのってふと出される、鱈の白子を使った蒸し鮨、季節の握りなど。メニューはコースのみで、お昼5千円、夜はおまかせ1万2千円~。
食事に出かけるときは、たいていは奥様やご家族と一緒だという蟻田さん。「お菓子作り」という、人々に幸福を与えるお仕事にたずさわり、会社内でもスタッフみんなで、お家でも家族みんなで、という温かい視線をお持ちだった。

旬の味をもっとも引き立てる、ひと手間をかけて握られる鮨



白木のカウンターごしにご主人・松本純さんと対話。
松本さんの若い感性に財界人のファンも多い。


鮨 まつ本

TEL.0798-74-5499
西宮市樋之池町2-33 セルシェール苦楽園1階
昼11:30~14:00(L.O.13:00) 夜17:00~22:00(L.O.21:00)
月曜定休(祝日の場合は翌日)

蟻田 剛毅

株式会社アッシュ・セー・クレアシオン
代表取締役社長
1974年生まれ。関西学院大学卒業後、(株)電通入社。2004年早稲田大学大学院修了。
2007年(株)アンリ・シャルパンティエ(現社名(株)アッシュ・セー・クレアシオン)入社、2011年より(株)アッシュ・セー・クレアシオン代表取締役社長。

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