2017年
2月号
ミツバチの巣板から採取した無駄巣

連載 ミツバチの話 ⑦

カテゴリ:医療関係, 神戸

ミツバチからの贈り物“蜜蝋”

藤井内科クリニック 藤井 芳夫

教会は蜜蝋を採るためにミツバチを飼った

今まではハチミツのことばかり書いてきたが、蜜蝋(ミツロウ)もミツバチからの貴重な贈り物である。8月号の写真で私が持っている沢山のミツバチが付いた巣板の下にくっ付いている物が蜜蝋で出来た自然の巣で、養蜂管理上、無駄巣と言われるものである。もちろん巣板そのものも蜜蓋も、蜜蝋でできている。ミツバチはハチミツ6gから1gの蜜蝋を作る。この蜜蝋はヨーロッパでは教会のロウソクの原料となっていた。ヨーロッパに行かれた方は、古い教会に入ったら中が真っ暗でロウソクが未だに明かりとして使われているのを経験したと思う。教会はハチミツを採るのではなく、蜜蝋を採るためにミツバチを飼っていたほどである。そのためキリスト教社会では身近にミツバチと接している文化がある。
蜜蝋を採るのは比較的容易である。適当な大きさの鍋でお湯を沸かし無駄巣や蜜蓋を入れるだけである。お湯が沸騰しかかるころ蜜蝋は溶ける。火を消して放置しておくと蜜蝋は水の上に固まる。固まった蜜蝋を取り出し、再び過熱すると蜜蝋は溶け、何度かフィルターで濾して不純物を除いてから約10gずつに分けて保存し、必要な時に使う。例えば、再び溶かして適当な容器に流し込み、ロウソクの芯として凧ひもを入れると、淡黄色のきれいな蜜蝋のロウソクの出来上がりである。火をともすとほんのり蜜の香りが漂う。このように書くと簡単そうに見える。確かに簡単ではあるが、蜜蝋を溶かす鍋はワックスでテカテカになってこれ以外の用途には使えなくなる。またコンロ或いはIHコンロ付近がワックスでテカテカになるので家内にえらく叱られた。蜜蝋を作る鍋は専用にすることをお勧めだ。

化粧品、医療品の原料になる蜜蝋

さて家内の友人の市橋さんが、その蜜蝋を使って孫の夏休みの自由研究の手伝いをしたいとのことで少し差し上げたら、きれいなケースに入った自家製の化粧品になって返ってきた。添え書として「蜜蝋、ホホバ油(有機、未精製)、シアバターで作りました。朝用アロマオイルクリーム(ローズマリーとレモン)、夜用アロマオイルクリーム(ラベンダーとオレンジ)一度お試しください」とあった。そのクリーム状のアロマオイルの香りと出来栄えに驚いた。玉川大学の松香光夫先生によると、蜜蝋は化粧品あるいは医薬品として軟膏、クリーム、ローションの原料として使われているそうだ。特に蜜蝋入りのクリームはあかぎれ、皮膚炎、かゆみ、特定の湿疹に効果があるとのことである。また蜜蝋は口紅用にもっとも利用されており、口紅中に20-25%含まれているそうだ。融点が比較的高いため口紅に適しているとのこと。高価な口紅は蜜蝋が使われ、安価なものはより融点が低いパラフィンが使用されるとのことで、蜜蝋を加えることにより品質が向上するそうだ。
今までロウソク位しか利用価値がないと思っていたが、蜜蝋が保湿にも良いと分かって早速試したくなった。踵のひび割れなど縁がないものと思っていたが、最近は我が踵も皮脂欠乏症となり、保湿クリームのお世話になっていた。頂いたアロマオイルを使ってみるとなかなか調子が良いので、市橋さんに頼んでレシピを送っていただいた。作り方は簡単であるが問題は配合の割合である。蜜蝋クリームの作り方はインターネットで色々紹介されているが、市橋さんは色々配合を試してみたそうだ。これがノウハウであるが、お許しを頂いたので公表する。先ほどのアロマオイルクリームは、蜜蝋4.8g、ホホバ油またはココナッツオイル18g、シアバター4gを湯煎にて溶かし、火をとめてから好みのアロマオイルを4滴入れてかき混ぜる。ケースに入れて冷蔵庫で冷やす。ハンドクリーム、フェイスケアに使えるとのこと。とても良い香りのするクリームだ。ガサガサの踵に塗るのにはもったいないが、保湿がよく逸品の出来だ。
次がリップクリーム。これは少し硬めに作る。口紅と同様で蜜蝋は融点がパラフィンよりも高いため品質が良くなるとのこと。作り方は蜜蝋とホホバ油または好みの植物オイルを1対3の割合で湯煎にかけ、かき混ぜ蜜蝋が溶ければ出来上がる。リップクリームの容器(市販されている)またはクリームケースに流し込み冷蔵庫に入れて冷やし固める。蜜蝋10gとホホバ油30gでリップクリームケース8から9本分ができる。どうですか?簡単でしょう?やってみますか?ただし蜜蝋、ホホバ油やココナッツオイル、シアバター等にアレルギーのある方は止めてください。個人で楽しむもので医薬品ではありません。

シャンプー、トリートメントにも…

さて私は市橋さんの作られたクリームがとても好きだが、なくなったら仕方ないのでハチミツを直接使う。ヒントはNHKの「晴れときどきファーム」という番組だ。卵白を泡立てフォイップにし、ハチミツを混ぜて顔にパックすると数分で顔がツルツルになるという。私はそんな面倒くさいことはしない。掌にハチミツを1、2滴落とし、その上にその5倍くらいの水滴を落として掌でよく延ばす。それを掌から手背に伸ばす。意外とベトつかない。手がつるつるになる。顔にも塗る。当院の看護師さんに勧めたら、手の方は賛同してくれたが、顔は化粧の関係上難しいし面倒とのこと。また、なめたら甘いしアリが来たら大変とのことだった。
一方、ミツバチ師匠の春井さんは、最近洗髪でシャンプーした後、トリートメントとして蜂蜜を使うようになったそうだ。シャンプーの後、10gほど手に取り(シャンプーと同量ぐらい)、髪の毛と頭をマッサージするようにして馴染ませる。そのぐらいの量なら、べとつかないし、少し甘い程度だ。ついでに顔にも付け、5分ほどして洗い流す。5回ほどすると、市販のトリートメントよりも髪の毛が艶々してくるようになって来たとのこと。蜂蜜の効能として、①頭皮と同じ酸性、②保湿効果がある、③栄養分・ミネラルが経口よりも皮膚、頭髪に直接浸透する。理屈は合っている。
蜜蝋とハチミツの一寸変わった使い方、皆様も良かったらお試しください。

ヨーロッパでは教会で使われていた、蜜蝋で作ったロウソク

市橋さんからいただいたアロマオイルクリーム

蜜蝋からできたリップクリーム

ミツバチの巣板から採取した無駄巣



藤井 芳夫
藤井内科クリニック
〈2017年2月号〉
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