6月号
輝く女性Ⅱ Vol.1 歌手・女優 西田ひかるさん
インタビュアー・三好 万記子
キラキラと輝いている神戸・阪神間在住の女性にお話を伺うシリーズ。
前シリーズの神戸商工会議所副会頭・伊藤紀美子さんに代わってホスト役としてご登場いただくのは、人気料理サロン「ターブルドール」代表の三好万記子さん。
おもてなし上手な三好さんとの対談から、どんなオイシイお話が飛び出すことでしょう。
歌手・女優 西田ひかるさん
色々な柄のゴーフルの缶が自宅にゴロゴロ(笑)
神戸のお菓子が思い出を楽しく彩ってくれます。
記念すべき第一回は、歌手・女優の西田ひかるさんです。
2002年にご結婚されて、アメリカで出産された後、2006年から西宮在住。
お二人の出会いは5年前、西田さんが三好さん主宰の料理サロン「Table d’or(ターブルドール)」に参加されたことがきっかけでした。
全国区人気のスイーツは実は神戸生まれだった!
─西宮に住まわれるようになって11年。神戸、阪神間の暮らしはいかがでしょうか。
山が近く、海が目の前に広がり、山から海まで、歩いてでも行けるようなコンパクトな場所に、たくさんの魅力がつまっていますよね。洋菓子で評判の神戸ですが、馴染みのスイーツが実は神戸発祥だったとわかり驚きました。
例えば、ユーハイムの「アッフェルバウム」もその一つです。シロップ漬けリンゴをまるまる1個、バウムクーヘンで包み込んだお菓子で、元町にあるユーハイム本店でいただくと味わいも格別です。
─ユーハイムのバウムクーヘンは「本場ドイツの製法を受け継いだバウムクーヘンの正統派」として知られていますからね。
私は13歳までロサンゼルスで暮らしていたのですが、帰国のたびに母が成田空港内のユーハイムで生ケーキを買ってアメリカまで持ち帰っていました。神戸生まれのケーキの美味しさを知ってしまうと、大味のアメリカのケーキは食べられたものではないと。CAさんにお願いして機内の冷蔵庫に保管してもらう母のケーキにかける執念…いえ情熱(笑)に、当時小学生だった私は圧倒されたことを覚えています。
─執念(笑)のケーキを地元・神戸の本店で味わえるようになるとは、小学生のときの西田さんは想像もされなかったでしょうね。
今ではすっかり神戸っ子です。“兵庫県に住んでいる人間のあるある”もしっかり実施していますよ。どなたの家にも必ず存在する、神戸凮月堂の「ゴーフル」の缶(笑)。我が家にも至るところにミニゴーフルの缶があり、クリップや消しゴム入れとして活用中です。阪神ファンの息子達に祖父母がプレゼントしてくれたタイガース缶をはじめ、兜と鯉のぼりがあしらわれた缶、バレンタインのチョコのお返しにはハローキティちゃん缶、宝塚歌劇を観劇したときには宝塚デザインなど、全て大切に残しています。
─大切な思い出がゴーフルの缶につまっているのですね。
子供が最初に食べる、ちょっとよそいきのお菓子としてゴーフルは最適ですよね。ほかにも初めて食べたときの衝撃が忘れられない観音屋の「デンマークチーズケーキ」や、トミーズの「あん食」とか。神戸には、こんなに美味しいものがあるんだ!と感動しきりでした。
予約購入?するパンなど独自の風習に驚くばかり
─西田さんはスイーツはもちろんパンも大好物とか。
神戸の皆さんのパンへのこだわりには負けます(笑)。予約しなければ買えなかったり、早く行かないとお目当ての物がなくなってしまったり。お客様の名前の書かれた紙が食パンに貼られているのを見て驚きました。東京では工場で大量に作られていてお店に商品がなくなるなんてことはなかったのに、こちらでは新鮮なその日のうちに売り切る。その意図がわかり、改めてフレッシュな美味しさに納得しました。レストランでオーナーシェフ、洋食店や中華店でご主人が腕を振るわれていたり、お店で社長さんが接客されていたり。商品やメニューを作っておられる方とお客様の距離感が近いのも素敵ですね。
─距離が近いほど、作り手の想いも伝わりやすいですよね。
全国区の有名老舗でありながら家族経営を貫き通している会社が多いのが神戸の素晴らしいところだと思います。家族の歴史が会社を支えている、これからも守ってほしい伝統ですね。また距離感の近さということでは、出会った方から知りあいを探しだすのも神戸っ子の特技(!)ではないでしょうか。出身校の確認から始まって、同級生か先輩か後輩、クラブ関係や勤め先の関係とか。直接存じ上げていなくても、一人介すると共通の知り合いが見つかりますね。
─確かに(笑)。うちの料理教室でも西田さんのお友達のお友達という方が数名いらっしゃいましたものね。
三好先生はパーティ料理のケータリングもされているので、お店のオープニングレセプションで知人と出会い、驚くことも。三好先生のお料理教室は、特別な食材や調理法でなくても皆が喜ぶおもてなしができる料理教室。鶏肉の丸焼きなど普段、挑戦しにくいお料理を私でも出来る!と思わせてくれるレシピが人気ですね。お話も面白くて引き込まれます。
─ありがとうございます。ご家族やお友達のために美味しいものを作る楽しみを感じて頂けるように、簡単に出来て、かっこいい、ちょっとお洒落な料理をご提案出来たらと思っています。
カジュアルでもお洒落に自分スタイルが神戸スタイル
─おしゃれや美容でこだわっておられることはありますか。
私は根がアメリカンなところがあって、普段はTシャツとテロンとした生地のパンツというカジュアルスタイルばかり(笑)。それに比べ、神戸の人は常におしゃれで、カジュアルスタイルでも手を抜かず、尊敬します。
─お気にいりのショップがあれば、教えてください。
三宮の本通り商店街にある靴屋さんの「らくだ洋靴店」は、自社ブランド製品と、職人によるセミオーダー製品が人気の靴屋さんです。自宅から近い住吉にも店舗があり、よく利用させてもらっています。7つの木型と約40種類の素材を組み合わせるセミオーダーパンプスを展開されていて、生地や色、トウのデザイン、ヒールの高さを選べるんです。左右の足のサイズが異なる母もファンです。カルテを作成してもらって、ぴったりの靴の履きやすさにイチコロになっています(笑)。
─オーダーメイドって高そう…というイメージがありますが、セミオーダーならば、手軽な価格で安心ですね。神戸の街は「履き倒れの街」と呼ばれていたこともあるんですよ。靴にお金をかけ過ぎて貧乏になるほど、靴屋が多いということを意味しています(笑)。靴の街、神戸の技を西田さん母娘で体感されているんですね。
大阪と神戸のミックス 阪神間で明るく子育て
─西宮は子育てしやすい街としても有名です。二人の息子さんを持つ西田さんはどのようにお感じですか。
素晴らしい環境だと思います。特に阪神間はママさん達の仲間意識が強く、役に立つ情報を惜しみなく教えてもらえて本当に助かりました。習い事教室の種類が豊富で、子育ての方針や目的に合わせて選べることも魅力ですね。学ぶ場所のほか、山や海から、アスレチックにスキー場、有馬温泉など遊ぶ場所まで、全てが近距離内に凝縮されています。特に西宮市は神戸にも大阪にも、そして京都にもアクセスしやすいうえ、伊丹空港も近く、出張にも便利。交通の利便性が抜群で、とても暮らしやすいですね。
─西宮には教育熱心な親御さんも多いですね。
うちはどちらかと言うと、のびのびと子育てを楽しんでいますが、教育熱心な方でも堅苦しくなく、子育ての失敗も関西的なお笑いに変えて、深刻な悩みにしてしまわない。困っている人がいれば、子供も親も「どうしたの?」とすぐ声をかける自然体の人が多くて、気持ちいいですね。関西特有の温かいところと、お洒落な神戸っぽさも持ち合わせている。文字通り、大阪と神戸のミックス、阪神間という土地柄で、すくすく良い子に育ちそうです(笑)。
デビュー30周年を迎えて 1日、1年を大切に…
─1988年、15歳でデビューされて、今年はデビュー30周年を迎える記念の年ですね。
あっという間の30年、最初の15年間は仕事一色、あとの15年は結婚生活と子育てという感じですね。実は「NHKみんなのうた」で放映された「君のいる惑星」という曲を人前で初めて歌ったのが神戸なんですよ。「海のある惑星の海の見える街に誰よりも大切な人がいる~」という歌詞にちなみ、海に近い三宮の駅前広場でお披露目しました。
─西田さんと神戸との強い縁を感じますね。今後のお仕事はどのようにお考えですか。
現在、息子2人が小学生で、子育てに手がかかるということもあり、また手をかけさせてくれる最後の時期という想いがありますから、今は子育てを主に考えたいと。目が届く範囲での仕事をやらせてもらいながら、1日、1年を大切に過ごしていきたいですね。機会があれば、いずれ舞台などのお仕事にも挑戦したいと思うものの、今の生活を大事に、楽しんでやっていければと思います。
─母として女優として、ご自身の思いをしっかり持って進んでおられることが輝きのエネルギーになっているのですね。阪神間の希望の星として、これからも頑張ってください。
三好さんからの質問コーナー
Q.ハマっているメニューや気になるお料理は?
A.チキパ(チキンパスタ)です。
鶏肉と野菜のペペロンチーノ風パスタで、息子達のお気に入りです。野球の練習のあとは必ず、チキパをリクエスト。最近、ようやくニンニクや唐辛子のおいしさがわかるようになり、食べることができる食材の幅も増えてきたので、大人の料理も少しずつ家庭で楽しんでいきたいですね。
西田 ひかる(にしだ ひかる)
’73年~’85年、アメリカ・ロサンゼルスで暮らす。’88年「フィフティーン」(ポニーキャニオン)でレコードデビュー。同時にミュージカル「小公子セディ」に主演。同テレビアニメのテーマソングを歌うなど恵まれた芸能界スタートを果たす。以来、持ち前の健康的な明るさと、何事にも前向きに努力する姿勢が評価され、歌手活動と合わせて、多くのテレビドラマ・ミュージカル・舞台などに出演し、その演技力は活動分野の広さと共に高い評価を得ている。アメリカ時代に体験したボランティア活動にも熱心で、年2回行っていたチャリティーバザー他、’98年2月に行われた長野冬季オリンピックでは、ピースアピールの長野オリンピックアンバサダーにも選ばれている。2002年5月に結婚。公私共に充実して、ますますその存在は輝きを増している。
三好 万記子(みよし まきこ)
株式会社ターブルドール 代表取締役
神戸女学院大学卒。パリに3年間滞在中、フランス料理を学ぶ。ル・コルドン・ブルーにて料理ディプロマ、リッツ・エスコフィエにてお菓子ディプロマを修得。帰国後、西宮市・夙川にて料理サロン「Table d’or」主催。また出張料理人としてケータリングも展開、料理はもちろんディスプレイを含むトータルコーディネートに定評あり。企業へのメニュー開発、レシピ提供など、「食」を幅広くプロデュース。二児の母。