11月号
健康と科学に奉仕する専門商社|ネットワークの ちから
昭和21年に創業し、今や日本でもトップレベルの医療機器・理化学機器の専門商社に成長した宮野医療器。創業者・宮野尚氏の孫でもある副社長の宮野哲さんに会社の今、そして今後について伺った。
―医療機器、理化学機器を病院などの施設や研究機関、大学などに提供する商社ということですね。オリジナル機器もあるのですか。
宮野 商社として扱っているもののほぼ9割が医療機器です。ごく一部ですが、マスク、カテーテルなど外部メーカーさんに依頼して製造しているオリジナル製品もあります。
―独特のマトリックス販売も有名ですね。
宮野 お得意さまにはそれぞれ特徴があり、病院の中でも診療科によって特徴があります。従って専門的知識が要求されます。従来はエリア別に配置した営業マンが担当するというのが一般的でしたが、より専門性の高いサービスを提供するため、エリアの営業マンに加え専門の知識を持った営業マンがダブルで担当するという体制を取っています。これをマトリックス販売と名づけています。お互い情報交換しながらお客さまが何を求めておられるのかを的確に把握することができます。
これが効果を発揮するには社内のコミュニケーションが必要ですが、幸い、十分に取れており、うまく機能していると思っています。
―平成21年には、ポートアイランドにも物流センターを開設していますが、その経緯は。
宮野 平成9年に開設した西神の物流センターが手狭になり、新たな候補地を探していました。ちょうどその頃、神戸市が医療産業都市構想を進めていましたので、医療機関や研究機関の集積が進みつつあったポートアイランドでの新築開設に至りました。
―物流ネットワークのSPDシステムとは。
宮野 必要な物を必要なときに必要な数だけ必要な所へ届けるためのシステムですが、より細かく対応するものです。例えば病院で、各現場の看護師さんは大量の医療材料を管理し、在庫を把握して発注しなくてはいけません。非常に手間がかかります。そこで、病院等の施設に、宮野SPD(宮野業務支援トータルシステムの一つ)を導入していただいています。従来の1箱単位ではなく、必要な数量だけを納入して、納入単位毎にバーコードが付いたカードを添付し、カードリーダーで読み取った使用情報が当社に送られてきます。その都度、必要な物を必要な数だけ補充していこうというシステムです。看護師さんの手間が省け、在庫ロスも減ります。また、病院全体としても、いつ、どこで、どれだけのものが消費されているかを管理できるようになり、採用施設から高い評価をいただいています。
―健康ショップ・モイヤンもありますね。
宮野 介護・介助用品の紹介、レンタル、販売、またケアプランの作成を行っています。神戸、姫路、阪神(尼崎)の3店舗あり、専門スタッフによる在宅医療の相談窓口も設けています。
―病院の開業支援はどういった業務ですか。
宮野 大病院の新築移転から、個人の医院開業までサポートさせていただきます。設計を請け負うわけではありませんが、その段階で機械、機器のレイアウトなどアドバイスさせていただきます。また医療圏の調査や資金についてのご相談を受ける場合もあります。
―セミナーや講演会も開催されていますね。
宮野 テーマ毎に1年に数回開催しています。最も大規模なセミナーは毎年3月頃開催の看護師さん対象のものです。近年は関心が高い感染管理をテーマに取り上げています。
―医療機器商社は、競合する企業も多いと思いますが、そんな中でも、近畿ではトップという位置まで発展してきた理由は。
宮野 飛び込み営業で新規獲得というよりは、祖父の代からコツコツと積み重ねてきたお客様との信頼関係が理由だと思います。
―創業者から学ぶことは多かったのですね。
宮野 祖父とは一緒に仕事をすることはなかったのですが、おじいちゃんと孫という関係で言えば、威厳のあるおじいちゃんでちょっと怖くて、近寄りがたいオーラがありましたね。
―現社長のお父さんは気さくな印象ですが…。
宮野 そうですか?社内ではなかなか厳しいですよ。今、隣の席で仕事をしていますが、日々、叱責を受けています(笑)。
―近畿では既に大きなシェアを占めていますが、今後はどの方面に出て行こうとお考えですか。
宮野 まずは西方面に広げたいですね。現在、グループ会社も含めると東京、名古屋を始め、近畿、中国、四国、九州北部に拠点がありますが、西方面でのシェアはまだまだ低く、開拓の余地があると考えています。
―宮野医療器の将来が肩にズシっとかかってきますね。
宮野 荷が重いですが頑張ります。
―何かリフレッシュできる趣味などはお持ちですか。
宮野 最近は週末にランニングしています。10キロマラソンには何度か出場しました。神戸マラソンにも応募したのですが、残念ながら抽選に漏れました。うちの社員も何人か走っていますので、フルマラソン未経験の私も、一度は走ってみたいと思っています。
―それはいいですね、是非、挑戦してください!
ありがとうございました。
宮野 哲(みやの さとし)
宮野医療器株式会社 取締役副社長
1973年兵庫県西宮市生まれ。1996年慶應義塾大学経済学部卒業後、中央監査法人(当時)入所。公認会計士として会計監査業務に従事。2001年宮野医療器株式会社に入社。2011年4月取締役副社長兼医療機器本部本部長に就任。