2012年
11月号

横尾忠則に会いに行こう!|ネットワークのちから

カテゴリ:現代美術, 神戸


Y+T MOCA 横尾忠則現代美術館 11月3日オープン
「開館記念展Ⅰ 横尾忠則展」
2013年2月17日まで開催

原田の森ギャラリーに新たな美術館が

兵庫県西脇市出身、神戸新聞社勤務の経験を持ち、神戸にゆかりのある世界的美術家・横尾忠則が兵庫県にほぼ全ての作品を寄贈・寄託する。横尾忠則現代美術館学芸課長の山本淳夫さんにお聞きした。「絵画約500点を始め、版画、ポスター、ブックデザインなど、最終的に3千点を超える作品を寄贈・寄託していただくことになります」と話す。
モダニズム建築で知られる村野藤吾のデザインによる原田の森ギャラリー西館を、そのテイストを生かして改修し、2階と3階に展示室を備える同美術館。4階にはアーカイブルームを置き、作品と共に寄贈された膨大な数の資料を順次整理して所蔵・公開するという。
1階オープンスタジオはガラス張りの明るい空間で、多目的スペースと位置づけ、講演会やコンサート、ワークショップなどに利用予定だ。また1階外向に有名シェフのカフェもオープンした。

繰り返しだが同じものではない横尾忠則流「反復」

常設展・企画展というくくりは取り払い、年間4回程度のペースで全館を使ったユニークな企画を打ち出す。開館記念展Ⅰのテーマは「反反復復反復」。「ピンクガールズ」や「Y字路」などに代表されるように、特定のモチーフを繰り返し何度も描くことで知られている横尾忠則。
一般的な「反復」は順序良く展開して絵を深めていき、アーティスト自身も成長していくというものだ。しかし、予定調和的なものを嫌う横尾忠則流「反復」は、それとは違う。繰り返しだが同じものではない。「自分の作品は未完成の連続。一度描いても、また描いてみたくなると横尾さんはいつも話しておられます」と山本さん。同記念展でも、同じモチーフの絵や、一つのモチーフがあちらこちらに登場する絵、同じ場所に何度も立って描いた絵のほか、今回のために以前のモチーフを新たに描き変えた作品も並ぶ。同じ絵でありながらその時にしか描けない絵だ。
「横尾さんは自分の絵を壊すことを恐れません。独特であり、ひねくれてもいて、ふざけているようでも真剣にあそんでいる…そんな横尾さんの世界を感じていただけたらおもしろいと思います」

横尾忠則ワールドの基本はコラージュと模写

グラフィックデザインからスタートし、80年代初め画家宣言をした横尾忠則。横尾ワールドの変遷について、山本さんはこう語る。「初期の作品は壮大な世界観をもっており、元気に暴れている印象です。90年代ころから、西脇で過ごした子供のころの印象が頻繁に登場します。岡之山美術館がオープンして足を運ぶ機会が増えたことが影響しているのでしょうか。外に向けたエネルギーを感じさせる絵から、自分の中の宇宙と向き合う絵に変わってきて、それが今まで続いていると思います」。ただしグラフィックデザインから絵画に至るまで一貫して言えるのは、「ゼロから作品が生まれるというよりは、色々なところで見たイメージを張り付けていき作品が完成する、いわゆるコラージュ。そして模写によって作品が次々と生まれています。自分の作品すら模写の対象にしてしまいます。美術作品にはオリジナルが大事という常識に挑戦しているかのようです」。

横尾忠則ネットワークが驚きと感動を提供してくれそう!

今、戦後日本の美術が世界から注目されている。その代表といえる横尾忠則。その作品が時代を創ってきたと言っても過言ではないだろう。ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館の館長は、横尾作品に非常に興味を持ち、兵庫県まで調査に来た。「今後、日本だけでなく、世界の美術館と連携できればいいなと希望しています」と話す。
これからの企画展について山本さんは、「横尾さんの世界は多様ですから、テーマは際限なく見つかるでしょうね。音楽家、文学者、映画人、ダンサー等々、幅広い交友関係やネットワークを持っておられるので、違ったジャンルとのコラボでおもしろい企画もできるのでは」と楽しみにしている。
11月25日には、オープンスタジオで、神戸の街が大好きという細野晴臣のミニライブが開催される。「実は横尾さんは、Y.M.O結成時にビジュアル担当で4人目のメンバーになるはずだったのが、仕事が忙しくて記者会見に参加できなかったそうです」。山本さん曰く、テクノカットで準備万端、記者会見に備えていたとか。横尾忠則の知られざる一面を披露してくれた。
広大な〝横尾忠則ネットワーク〟が私たちに驚きと感動を提供してくれそうな予感。神戸観光の一つの名所として、兵庫県立美術館を南の拠点にする「ミュージアムロード」の、北の拠点として大いに期待できそうだ。

学芸課長 山本淳夫さん



《お堀》1966年 
徳島県立近代美術館蔵


《人生にはゴールがない》
2005年 国立国際美術館蔵


《暗夜光路 N市-II》
2000年 個人蔵


《暗夜光路 N市-II 四度(よたび)》
2003年 作家蔵

Y+T MOCA 横尾忠則現代美術館


3F 展示室B


4F アーカイブルーム


2F 展示室A


1F オープンスタジオ・ミュージアムショップ・インフォメーション


1F カフェ



〒657-10837
兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
TEL.078-855-5602
FAX.078-806-3888
〈アクセス〉
電車 ・阪急電車 王子公園駅 徒歩約6分
・JR灘駅 徒歩約10分
・阪神電車 岩屋駅(兵庫県立美術館前)徒歩約20分
バス  神戸市営バス(90系統・92系統)
「王子動物園前」下車 徒歩約3分

横尾 忠則(よこお ただのり)

1936年兵庫県生まれ。美術家。72年にニューヨーク近代美術館で個展を開催。その後もパリ、ヴェネチア、サンパウロなど世界各国のビエンナーレに招待出品。パリのカルティエ現代美術財団など国内外の美術館で相継いで個展を開催し、国際的に高い評価を得ている。

〈2012年11月号〉
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