6月号
Report KOBE
中東ドバイのアートフェスティバル 巨匠を魅了した、村上美穂の「赤い林檎」
珠玉がほとばしるような林檎を描く、神戸の洋画家、村上美穂さん。2009年以降、フランスを中心に世界で活躍している。2016年には、一般社団法人ジャパンプロモーション(芸術や伝統産業の海外進出を支援)の依頼を受け、中東ドバイで開催されたアートフェスティバル「ワールド・アート・ドバイ」に出展した。村上さんの作品《村上美穂の赤:上昇する林檎たち》は、鮮やかな赤が情熱や躍動を感じさせる作風で、写実と抽象の構成に浮世絵へのイメージも込める。
フェスティバルには、地元ドバイをはじめ、世界のトップアーティストたちが結集。アラブの王族で、アラブで女性初の博士号を取得したナジャット・マッキーさんは、現在はダウン症の子どもたちのための協会をアートを通じて支援している。また、ドバイ現代美術の巨匠といわれるアブドゥル・カデルさんは、その作品がパリのルーブル美術館などに収蔵されており、ドバイの国民的アーティストでもある。村上さんは、自身の作品を購入した男性から「あなたの絵は、つけている値段以上の価値がある」と言われ、後日その男性がアブドゥルさんだと知るというサプライズもあったとか。村上さんの作品は、特に海外で高く評価される。「海外での出会いや経験は、創作活動に大きな刺激になる」と話す。
現在、日本とドバイの国際交流への貢献のため、兵庫県への働きかけも行っている。村上さんの今後の活躍に、期待が高まる。
村上 美穂(むらかみ みほ)
油彩画家。10歳より油彩の初歩を学び、美大卒業後は既存の画派に属することなく独自の活動を展開。1995年の阪神・淡路大震災を体験して後は「心」をテーマに描いている。2009年から2016年にかけて、ル・サロン展、サロン・ドートンヌ展(フランス)個展(フランス・パリ2回)、ストラスブール・ヨーロッパ現代アートフェア(フランス3回)、リールグランパレ現代アートフェア(フランス3回)などに出展