6月号
小学生の英語力向上のために「外大訪問」
神戸市立東町小学校 校長
稲岡 健 さん
神戸市立東町小学校 英語活動支援事業担当
土井 邦夫 さん
神戸市外国語大学では地域貢献・連携活動のひとつとして、同じ町内の市立東町小学校で児童たちが英語を楽しく体験できる機会を提供している。その様子や子どもたちの反応などを、校長の稲岡先生、担当の土井先生にお話しいただいた。
英語でのコミュニケーションと大学キャンパスを体験
稲岡 小学校に英語活動が取り入れられる以前の2004年から、子どもたちにとって非常に貴重な機会を提供いただいています。毎週火曜日、横田玲子先生と一緒にやって来る神戸市外国語大学の学生さんたちが、3~4人で1クラスを担当してくれる楽しい英語の時間です。小学生の指導を希望する学生さんたちですからとても前向き、熱心に取り組んでいただいています。子どもたちにとっては年齢が近いお兄さん、お姉さんのような存在で、親近感と憧れをもって見ているようです。これをきっかけに英語やコミュニケーションに興味をもち、中には外大に進学した卒業生もいるのではないでしょうか。この英語への取り組みは5年生の秋から始まり、6年生の秋の外大訪問は、一連の流れの中での集大成という位置づけです。
土井 子どもたちにとって、大学のキャンパスに行くことがまず、新鮮で楽しい体験です。先生方をはじめ、キャンパス内の日本人だけでなく外国人の学生さんに、いろいろな場所で「レッツインタビュー!」。外国人の方には「好きな日本食は何ですか」「どんな所へ行きましたか」、学生さんには「将来の夢は何ですか」など、質問内容は事前にまとめてから訪問します。こちらから「積極的に話しかけていきましょう!」と言うまでもなく、子どもたちは喋りたくて仕方ない様子です。答えが分からなくても、英語での会話を楽しんでいるようです。
稲岡 大学では「この日は小学生が来ます」というお知らせはしていただいているのですが、大学内のどこで、どんなインタビューを受けるのかは分かりません。先生方、学生さん方ともに、とてもウェルカムな対応をいただいています。
神戸市外国語大学の地元で連携があるからできること
稲岡 今は各小学校それぞれに英語活動が当たり前のようになっていますが、外へ出て英語に接する機会はなかなかないと思いますね。基本になる机上の学習ももちろん必要ですが、一生懸命自分の思いを伝えようと努力し、相手が話していることを聞き取ろうとする、人と人とのつながりの中で学んでいくことは、小学生の段階では特に大事なことではないでしょうか。外大訪問をはじめ、普段から週に1回、学生さんたちが来て、教えていただいていることが今後の英語学習のベースになるものだと思っています。この一連の取り組みは、神戸市内でも本校だけです。外大さんの「一緒にやっていきましょう」というご厚意で成り立っていることです。感謝しています。
土井 横田先生にも各クラスを順次指導していただいています。とても熱い授業で、今後、小学校で英語教育が導入された場合には必要になるだろうアルファベットの学習や、コミュニケーションを取る上での具体的なアドバイスもいただいています。英語を使うコミュニケーション能力は、これからの子どもたちにとって大切なことです。最高の環境を提供いただいていると思います。
稲岡 国際都市・神戸の中で神戸市外大の果たしてきた役割、これから果たしていくべき役割は非常に大きなものがあると思います。今後は小学校にも英語教育が導入される予定です。外大卒業生の皆さんに大きな力になっていただけるものと期待しています。