6月号
日本で初めて神戸で開催 「模擬国連世界大会」
神戸市外国語大学国際関係学科4年
模擬国連世界大会事務総長
谷 幸穂 さん
神戸市外国語大学をホスト大学として、模擬国連世界大会が神戸で11月に開催される。入学以来6回目の参加で事務総長の役目を担う谷幸穂さん。今までの経験を踏まえた上での神戸大会への思いをお話しいただいた。
乗り越えてきた大きな壁
入学してすぐローリー・ゼネック西出先生から、模擬国連という「自分の英語力やコミュニケーション力を試せる場がある」と聞き、「チャレンジします!」と手を挙げました。ところが初めて参加したニューヨーク本大会では、準備段階からつまずきました。いくつかの会議に分かれ、それぞれに三つのトピックが用意されています。事前に入念な準備をして、現地ではトピックの優先順位について議論し、議題を決定します。私が入った会議はUNFPA(国連人口基金)でしたが、まず知識不足、そして自分の考えを表現できないという言語の壁にぶつかりました。悔しくて…、「自分はまだまだできるはず」と2回目のイタリア大会、3回目のNY本大会参加で知識不足はかなり乗り越えました。でも、「相手の話をよく聞く」という日本人の美徳を前面に出してしまうと、自分の話は全然聞いてもらえません。この壁を乗り越えない限り、日本人は国際社会では通用しないというリアルな経験をしました。そして昨年の4回目チェコ大会、続いて今年3月のNY本大会参加では、二つの壁をかなり乗り越えて、「ここまできたんだ」と自分なりに納得のできる結果を出せたと思っています。11月神戸開催の世界大会では「事務総長をやってみないか」とお話をいただきました。プロジェクトに参加した当初はこんなことになるとは思ってもいませんでした。でも「はい!やります」と…。私、いつもポジティブ、上昇志向なんです(笑)。
事務総長として迎える神戸大会
事務総長の役割は世界大会の運営全体を把握し適切な意思決定を行うことや、会議で扱う議題の提案などがあります。私は、模擬国連を通して日本人としてのアイデンティティーを自覚するようになり、政治や法律という観点から世界での日本の立場を勉強してきました。日本が存在感を強める意味や必要性を理解し、一種の危機感ももちました。一方、私が2歳のとき、阪神・淡路大震災が起き、とても怖かったことをおぼろげに覚えています。東日本大震災で被災した福島県の子どもたちを招待するキャンプの運営にもボランティアとして関わり、日本で今、何が起きているのかを目の当たりにしました。神戸大会でのコミティーを提案するにあたっては、あちこちにアンテナを張り巡らせていたところ、昨年3月に仙台で国連の防災会議が開かれました。いろいろ調べて勉強するうちに、日本の存在感と「防災」がつながり、日本が世界でリーダーシップを取れる分野「防災」を会議のひとつとして提案しました。外大主催のフォーラムでもテーマとして扱いたいと考えています。防災・減災に対する意識をあまりもっていない国外の人たちに、街づくりの基本から関わってくることと周知し、日本の経験と技術を自国のコミュニティーにもち帰ってほしい、「防災はおじさんたちがやること」という漠然とした認識をもっている国内の若い人たちには、世界をリードできる分野として興味をもってほしいと思っています。
世界中から神戸に、約350人の学生をはじめ若い人たちが集まります。神戸のいいところも存分に楽しんでもらいたいですね。約200人の外大生もボランティアで参加します。〝おもてなし〟の気持ちも込めて迎えたいと思っています。