2015年
12月号

神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第72回

カテゴリ:文化人


剪画・文
とみさわかよの

フリーアナウンサー
阿部 京子(あべ きょうこ)さん

 
神戸のまちでは日々、式典や会合、結婚式や各種の祝賀会、そして芸術文化関係のイベントなどが開催されています。その会場で、的確な進行で場を盛り上げる阿部京子さん。「司会としていろんな所に行くことができて、それがとても楽しくて」とおっしゃる阿部さんですが、そのお仕事は細かな下調べやうちあわせに裏打ちされています。学生時代からマスコミ業界入りしたという阿部さんに、お話をうかがいました。

―大学では社会学専攻とか、業界に入られたのは何故ですか?
 大学1年生の時から、アナウンサーを目指して養成所に1年間通いました。月曜日から金曜日までの毎日、夜の授業です。兄がマスコミ志望で作詞の道に進みましたので、憧れがあったのかもしれません。オーデションの結果、「ABCヤングリクエスト」のDJに。あの頃は深夜放送真っ盛りで、他局にはラジオ大阪の「サタディ・バチョン」、毎日放送の「ヤングタウン」などがありました。

―ラジオ全盛期時代ですね。深夜放送でリクエストハガキが読まれたら、次の日はクラスで話題になったりしたものです。
 私は週1回でしたが局アナウンサーと一緒に番組進行を担当し、仕事を通じて育てていただきました。当時はCDもウォークマンも無くて、みんなラジオ番組の音楽をテープ録音していましたよね。ファッションの情報源はアンアンとノンノ。私はそんな時代に学生生活を送りながら、少しずつ仕事を広げていきました。

―卒業後もアナウンサー一筋で?
 と言うよりも、お声を掛けていただいたことはひとまず何でも、司会であれナレーションであれ、とにかく引き受けてきただけなんです。能楽の先生のお手伝いをしたことで、学校公演やホールでの能狂言入門解説なども手掛けるようになり、さらには書道とジャズのコラボレーションなどを企画したり…様々な方との出会いがあって、今日まで続いてきたのでしょうね。

―神戸というまちを、どのようにご覧になりますか?
 もともと西宮育ちなので、神戸は身近なまちでした。上質な文化があって、人の気質はサラッとしていてあまり干渉しない、ある意味「大人」ですね。兵庫・神戸CSの会とのご縁で、神戸でがんばっておられる様々なジャンルの皆さん、特に芸術家の方とお会いできたことは、仕事の上で大きなプラスになりました。

―司会をなさる時の、心構えを教えてください。
 司会というのは表舞台に立ちますが、実は裏方。絵画にたとえて言うなら額縁のような存在なんです。決して絵より主張してはならないし、かといって安っぽくては絵の品格を下げてしまう。ですから、一流の絵をさらに引き立てる額縁でありたいですね。司会をする時は客観的に全体を見て、自分は何をしなくてはならないかを常に考えています。

―今後、チャレンジしたいことなどは?
 今、興味関心があるのが日本文化。若い頃は形式的なものに反発していましたが、今は「かたち」に隠された意味や様式美に魅かれています。古典芸能もただ見せるだけでなく、わかりやすく解説すれば、子どもたちも興味を持ちます。伝統文化の担い手の方と一緒に、普及のための仕事ができたら嬉しいですね。私は伝えるのが仕事ですから、すばらしさを話し伝えることで、お役に立てればと思います。
           (2015年10月22日取材)
 
芸術家の方々にも、信頼厚い阿部さん。これからも神戸の文化活動の場に立ち会い、伝える役目を果たしてください。

とみさわ かよの

神戸のまちとそこに生きる人々を剪画(切り絵)で描き続けている。平成25年度神戸市文化奨励賞、平成25年度半どんの会及川記念芸術文化奨励賞受賞。神戸市出身・在住。日本剪画協会会員・認定講師、神戸芸術文化会議会員、神戸新聞文化センター講師。