5月号
神戸のカクシボタン 第四十一回 駅前のスペインバルで逢いましょう
写真/文 岡 力
夕暮れ時になると異国情緒あふれる一軒の飲食店が灯りをともす。「三宮より東、大阪より西の立地で探した結果、この場所に決めました」そう語るのは、JR甲子園口駅前で「SPAIN BAR ujiya」(スペインバル ウジヤ)を営む奥谷知也さん。今月で開業して1周年を迎える。洋風の店構えとは異なる和の店名は、先祖代々京都で営んできた旅館に由来する。カジュアルな雰囲気の店内。カウンターには、タパスがずらりと並んでいる。
物心ついた頃から料理の世界に憧れイタリア料理店で修業。その後、パティシエとして経験も積んだ。やがてスペイン料理の持つ空気感に魅了され現地に出向き研究をした。
そんな様々な経験が集積した逸品を頂く事にした。まずは、本場のワインをボトルで卸し乾杯。最初に出てきたのは一番人気である「エビのアヒージョ」。香ばしい海老の旨味が凝縮されたオイルにパンをディップしながらガブガブとワインを飲む。続いて彩り豊かな「魚介のパエリア」で小腹を満たす。そしてメインである「イベリコ豚の1ポンドステーキ」が登場。「1ポンドってこんなに人を幸せな気分にしてくれる単位なんだね」と自問自答しながらジューシーなお肉と喜びを噛みしめる。
これからのシーズン、軒先にある立ち飲みスペースもおすすめである。今日も幅広い層のお客がワイワイと賑やかな音を立てながら美味しい料理とお酒を楽しんでいる。これぞ理想的な地域コミュニティといえる。
■「SPAIN BAR ujiya」
西宮市甲子園口3-3-25-101 TEL.0798-64-1799
営業時間 ランチ11:30〜14:00/ディナー18:00〜24:00 不定休
■岡力(おか りき)コラムニスト
ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「のぞき見 雑記帳」(大阪日日新聞)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)