8月号
兵庫のロータリーを率いて
国際ロータリー第2680地区ガバナー神戸中央法律事務所所長
石丸 鐵太郎さん
よく耳にする「ロータリークラブ」ですが、どんな人たちが、どんな活動をしているのでしょう。7月1日、兵庫県内のまとめ役「ガバナー」に就任した石丸鐵太郎さんにお伺いした。
―ガバナー候補は随分前に決まるそうですね。
石丸 24カ月以上前に地区で指名され候補者となる「ガバナーノミニー」、そして国際大会で選挙された後に「ガバナーエレクト」になり、そして1年後「ガバナー」に就任します。
―ガバナー研修期間があるということですね。厳しいですね。
石丸 「2年間、見習いをしなさい」ということですから、勉強は大変ですよ(笑)。2年間は地区の各クラブの行事に出かけ、現在の活動状況などを勉強します。公式の勉強としては、「ガバナーエレクトトレーニングセミナー(GETS)」を2回受けます。エレクトの段階の1月にアメリカサンディエゴで研修が必須です。5日間、朝から晩まで研修づけでした。
―大変な見習い期間を経て、7月1日から就任されたのですね。
石丸 そうです。私は、就任年度の国際ロータリー(RI)会長が歴代3人目の日本人という幸運にも恵まれました。埼玉県にある八潮ロータリークラブの田中作次さんです。田中さんは新潟の貧しい農家の4番目として生まれ、苦労しながらも常に上を見て、より良い人生を目指してこられました。本年度のRIテーマ「奉仕を通じて平和を」にふさわしい方で、誇りに思っています。
親睦を深め、社会に奉仕する
―一般にはわかりにくいのですが、ロータリークラブとは。
石丸 歴史的に見ても、ロータリーとは職業倫理を重んずる実業人、専門職業人の集まりなのです。その組織が地球の隅々にまで拡大するにつれて、ロータリーは世界に眼を開いて、幅広い奉仕活動を求められるようになり、現在は多方面にわたって多大の貢献をしています。
今では200以上の国と地域に広がり、クラブ数34,335、会員総数1,228,690人(2012年4月30日RI公式発表)に達しています。
―会員制ですが、その条件は?
石丸 日本語に訳してみますと、「良い人で、立派な仕事に就き、社会的に高い評価を受けている人」とでも言いましょうか…。
―そもそもRI発足の経緯は。
石丸 弁護士だったポール・ハリスがシカゴで1業種につき1人の会員が集まり、何か仕事をする時には助け合おうという互助組織として始めたものです。次第に仲間内の親睦や自己研鑽だけでは物足りなくなり、「世のため、人のために何かをしなくていけない」という「奉仕派」が加わり、2つの柱を持って発展してきました。
―石丸先生所属の「神戸南ロータリークラブ」はどちら派ですか。
石丸 もちろん親睦派です(笑)。これは冗談ですが、まずは皆が仲良く楽しくしなければ、奉仕もうまくいかないと思っています。毎週の例会が楽しければ、困っている地域や困っている人がいれば、何ができるかを考える雰囲気にもなります。
―県下一斉に活動することもあるのですか。
石丸 ロータリーはクラブ単位の活動が基本です。昨年、ポリオ募金を目的にチャリティーコンサートを県公館で開催しましたが、これなどは珍しい例です。留学生の募集や派遣は地区がコーディネートして各クラブが実際に動いています。昨年の東日本大震災では、各クラブ単位とは別に、県全体でも募金を集めました。
日本で3番目に創立「神戸ロータリークラブ」
―就任前に地区内74クラブ全てを回られたのですか。
石丸 就任前にはとてもできません。しかし、ガバナーになって半年以内に全クラブを公式訪問しなくてはいけません。夏から始め、秋にはほぼ毎日回る予定です。
―地区内で最も伝統あるのは「神戸ロータリークラブ」ですね。
石丸 1924年、東京、大阪に続き、日本で3番目に創立されたのが「神戸ロータリークラブ」です。これは、〝都市の力〟だったと思います。当時、神戸は日本で3番目に力があったのでしょうね。ですから、神戸ロータリークラブの設立は自然の流れだったのでしょう。もちろん、海外に門戸を広げ、外国のものを取り入れようとする神戸の街の気風もあったと思います。
―地区の誇りですね。
石丸 そうですね。RI創始者のポール・ハリスとも交流があり、1935年の来日の際に撮影した記念写真や、彼の生家の絵、例会で常に使用していた襟章が、神戸ロータリークラブには代々引き継がれ、保管されています。また、1925年のRIから受けた認証状は戦災で焼失しましたが、戦後の再認証の際には、元の認証番号1986番が引き継がれています。
若い人、女性も!是非、メンバーに
―石丸先生は神戸中央法律事務所の所長としてもご活躍ですが、なぜ弁護士を選んだのですか。
石丸 代々、法曹の家系だったこと、その中でも弁護士は自由で良さそうだなと思ったからでしょうか…、堅苦しいのはあまり好きじゃないですからね。
―お仕事とガバナーの両立はなかなか大変でしょうね。
石丸 公式訪問の時期はかなり大変かも知れません。ただし私は、本業に差し支えるロータリー活動は本来の形ではないと思っています。自分の仕事をこなしながら、務めるつもりです。公式訪問以外はほとんど週末中心ですから、そのほかのことは控えて…、ゴルフにも行けませんね(笑)。
―今年の大きな行事と言えば。
石丸 今年度はGSE(研究グループ交換)プログラムで、マレーシアから社会人を受け入れ、こちらからも派遣します。これは25歳から40歳の、まだ経験が浅い社会人たちに、文化や職業交流の場を提供するプログラムです。既に現地へ行って合意しております。
―最後に、ガバナーとしての今後の抱負をお聞かせください。
石丸 ロータリーのメンバーは皆、良い人ばかりですが私を含めてちょっと積極性が足りないような気がします。「一歩踏み出して奉仕をしましょう!」と背中を押す役目を1年間務めようと思っています。悩みはメンバーの減少と高齢化。これは日本の社会現象でもあるので仕方がないとはいえ、地区では毎年80人ほど減少しています。このままだと30年たったら絶滅してしまいます(笑)。そこで、若い人、特に女性にメンバーになってもらいましょうと呼びかけています。
―ぜひ女性や若いメンバーを増やしてください。ありがとうございました。
いしまる てつたろう
神戸中央法律事務所 所長
1943年生まれ。1967年中央大学卒業。1971年より神戸で弁護士事務所開設。現在奥村孝弁護士が主宰する神戸中央法律事務所所長。1992年神戸弁護士会副会長、2006年同会監事。1984年神戸南ロータリークラブへ入会(創立メンバー)。同クラブ会長、ガバナー補佐、ポリオプラス委員長等を歴任。世界のポリオ撲滅に力を注ぐ。現在、国際ロータリー第2680地区ガバナー