8月号
信頼と安心の介護サービス
須磨ニュータウンで介護付有料老人ホーム「ゼフィール白川」や「グループホームそよかぜ」などを運営している(株)ケー・エス・メディカル。高齢化社会を迎えたいま、地域に密着した介護の現場や未来について、迫田代表取締役にお話を伺った。
老後も慣れ親しんだ地域で
─介護付有料老人ホーム、ゼフィール白川Ⅰ・Ⅱの特徴は何ですか。
迫田 須磨ニュータウンができて40年経ちますから、30歳の時にここに来た方は70歳になります。そこで、地域の中間層が老後を見据えて入れる施設を目指して設立しました。入居保証金も150万円と安価なことも特徴です。地域密着型ですのでこれまで慣れ親しんだ生活圏内で、ご家族も面会に来るのが容易です。1号棟2号棟あわせて99室すべて個室で相部屋はありません。
─グループホームそよかぜはどのような施設ですか。
迫田 認知症が進んでくると、スタッフとともに集団生活をおこなうグループホームで対応します。ゼフィール白川には9室ほどありますが、不足してきましたので新たに名谷駅の近くに15室の「グループホームそよかぜ」を設立しました。もちろん、経験と実績を生かした介護サービスを心がけ、入居者やその家族のみなさんにご満足いただけるような環境を整えています。
─利用者はこの界隈の方が多いのですか。
迫田 須磨ニュータウンの方が多いですね。ほかにも垂水・西・長田・北の各区からも来られています。
─なぜ老人介護施設をはじめようと思ったのですか。
迫田 両親の介護を家庭でしました。年齢を重ねると認知症やいろいろな障害がでてきますから、家族だけでは対処に限界があると感じました。ですから、専門の集団で対応する施設を設立したのです。設立の際は兵庫県の新産業創造キャピタルの第1号に認定され、公益財団法人ひょうご産業活性化センターと伊藤忠商事(株)から出資を受けて株主になっていただいています。
─入居者のみなさんはいきいきしておられますが、いろいろな楽しみがありそうですね。
迫田 クラブ活動は充実しています。合唱、フラダンス、書道、大正琴、陶芸、俳句など、みなさんどれかに参加されています。イベントも毎月、ボランティアによる太鼓、コーラス、人形劇などがおこなわれています。春にはお花見、夏は夏祭りといった季節の行事のほか、今月は城崎へ家族やスタッフと一緒に1泊で出かけましたが、小旅行も人気があります。食事やおやつも大きな楽しみです。専門の栄養士が監修し、冷凍物でなく新鮮な食材を使ってこちらでつくっています。私も毎日食べていますが、なかなかの味です。
大切なのは奉仕・貢献の気持ち
─入居者や家族の意見も反映されるのですか。
迫田 意見箱を設置するだけでなく、年に4~6回、家族と施設長を交えて懇談会を開催し、そこでご希望を伺って常に改善するように努めています。食事などはよくご希望を反映させていただいています。玄関前の聖観音菩薩像も、入居者の要望で設立したものです。みなさん手を合わせるだけでなく、コミュニケーションの場にもなっています。
─スタッフの資質や専門知識も大切ですよね。
迫田 スタッフは月に1、2回の勉強会を開催するだけでなく、外部の講習会などにも積極的に参加して介護の質を向上させています。また、事故防止についてもヒヤリハット事例を報告し、スタッフ間で情報の共有をおこなっています。しかし、何より奉仕の気持ちが大切です。気持ちがあれば相手に通じます。
─医療機関との連携体制はいかがですか。
迫田 地域の6つの医療機関と地域医療連携契約を締結して、緊急時の対応はもちろん、普段もドクターに往診に来ていただいています。また、施設長、副施設長、管理責任者が看護師の資格を有しています。施設長はベテランの看護師で、入居者の性格まで把握して細かいところまで対応してくれています。
─全国には多くの有料老人ホームはありますが、横のつながりはありますか。
迫田 社団法人全国有料老人ホーム協会に入会し、フォーラムや講習会などに参加しています。情報や意見の交換を通じて、施設の向上に役立てています。
─今後はどのようにしていきたいとお考えですか。
迫田 やはり、グループホームを充実させていきたいですね。現在2施設で24室ですが、これでは到底、今後認知症が進んだ方の対応ができなくなります。ご家族はグループホームであれ有料老人ホームであれ施設へ預けさえすれば一件落着ですが、運営側からすればこの両者は全く違います。24時間態勢ですから手間も違いますし、スタッフの数も必要です。それでも今後需要が増えてきますので、施設側が追いついていけるようにしないといけません。地域貢献の視点からもこのエリアの中で受け皿となるグループホームは必要ですが、介護保険の関係で行政からの認可が下りず、現在、グループホームそよかぜが須磨区では最後の認可になっています。ぜひ行政のご理解をいただきたいと思います。
また、今も白川中学校の生徒をトライやるウィークの一環で受け入れていますが、もっと地域交流を進めていきたいですね。認可がおりていませんが、幼稚園を併設し、ここで職員の子どもも預かって、園児を入居者のおじいちゃん・おばあちゃんと交流させたらどうかと考えています。私が会長を務めている中学生の硬式野球クラブでは、子どもたちが地域清掃などの社会奉仕活動もおこなっていますが、お年寄りを大切にする気持ちを育むよう、入居者のみなさまとの交流も検討しています。
(株)ケー・エス・メディカル
代表取締役 迫田 孝二さん
大阪の商社(安宅産業)を経て、株式会社ケー・エス・メディカルを設立。現在、全日本少年硬式野球連盟副理事長。神戸ハーバーロータリークラブ会員。神戸須磨クラブ会長。