11月号
神大病院の魅力はココだ!Vol.60|神戸大学医学部附属病院 総合内科 岡野 光真先生に聞きました。
2009年、神大病院に開設された「総合内科」。どんな先生方がおられ、どのような患者さんの診断・治療が行われているのでしょうか。岡野光真先生にお話を伺いました。
―総合内科の役割とは?
体のさまざまな臓器や疾患を幅広く診るのが総合内科です。クリニックや病院で診断がつかない場合や、どの診療科を受診すればよいのか分からない患者さんを、大学病院として受け入れる窓口の一つになっています。また、一次・二次の内科救急診療にも24時間365日体制で対応しています。大学病院には複数の疾患を抱えた患者さんも多く、そうした方の急な体調不良に対応し、入院診療も行っています。
―患者さんを専門診療科へと引き継ぐところまでを担当するのですか。
診断や治療について、各専門診療科の先生方に相談できるのが大学病院の強みです。専門的な精査や治療が必要な場合は、専門診療科へ引き継ぎます。一方で、痛み、めまい、浮腫など、特定の診療科に当てはまりにくい症状や、特に 高齢の方では複数の疾患を抱えていることも多くあります。そのような場合には、専門診療科と連携しながら、総合内科で診療を続けることもあります。
―どのように治療を続けるのですか。
診断がはっきりしない場合でも、漢方薬を含めた投薬や、生活習慣・運動についてのアドバイスなど、症状に応じてさまざまな方法を取り入れながら診療を続けます。経過をみていく中で新たな症状や所見が現れ、診断や治療につながることもあります。また、複数の診療科から処方された薬が症状に影響していることもあり、処方した先生と相談しながら見直すこともあります。症状が落ち着けば、地域のかかりつけの先生に診療をお願いするなど、地域と連携しながら診療しています。
―何でも診られる総合内科医が集まっておられるということですか。
一人ひとりが何でも診られるというより、さまざまな専門性や経験を持つ医師が集まっています。例えば、坂口一彦先生は糖尿病、乙井一典先生は循環器を専門とされています。また、総合内科・総合診療を専門とするエキスパートや、それぞれ得意な分野を持つ若い先生方が診療に携わっており、さらに各専門内科からの応援医師にも支えられています。総合内科で経験を積んだ後に、それぞれの専門診療科へ進む先生もいます。いろいろな背景を持つ医師が、得意分野を生かして相談しながら、幅広く患者さんを診られるのが当院総合内科の特徴だと思います。
―岡野先生の場合は?
私は循環器を専門とし、大学院では血栓症の基礎研究に取り組みました。大学院を終えた後は、もう一度幅広く臨床を経験したいという思いがありました。循環器だけでなく、いろいろな疾患を診られるようになりたいと考えて総合内科を選びました。乙井先生が静脈血栓症の専門外来をされていたことも、総合内科を選んだ理由の一つです。
―静脈血栓症とはどんな疾患ですか。
主に脚の静脈に血栓ができる病気で、脚の腫れや痛み、だるさなどの症状が現れることがあります。血栓の一部が肺に流れると、肺塞栓症を起こすこともあります。大学病院では、手術や入院をきっかけに見つかる血栓症のほか、がんに伴う血栓症を診る機会も多くあります。特にがんと血栓症には深い関係があることが分かっており、がん治療を担当する先生方と連携しながら診療しています。
―診断がつかない症状の裏に、実は重大な疾患が隠れていたということもあるのですか。
症状だけでは診断が難しくても、経過をみながら検査を進めたり、専門分野の先生方に相談したりする中で、原因となる疾患が分かることがあります。例えば、繰り返す発熱の原因を調べる中で、自己炎症性疾患である「家族性地中海熱」の診断につながることもあります。大学病院では遺伝子診療部に相談できることも強みの一つだと思います。
―「全人医療を実践する」とはどういうことですか。
どんな患者さんのどんな症状に対しても、まずはできる限り対応するという姿勢が総合内科には求められると思います。そのため、病気のことだけでなく、ご家族のことや社会的・経済的な背景も含めて考えながら診療することを大切にしています。もちろん各専門診療科の先生方も患者さん全体をみながら日々診療されています。ただ、限られた診療時間の中では、専門領域以外の困りごとまですべて相談するのは難しいこともあると思います。私自身、循環器内科の外来も担当していますが、例えば「胸が痛い」と受診された患者さんが、「足がしびれる」「皮膚が荒れる」といった別の症状までは、なかなか相談しづらいこともあるのではないかと感じます。総合内科の外来では、患者さんがいろいろなことを話してくださいます。私たちもすべての症状に対応できるわけではありませんので、分からないことは正直にお伝えし、必要に応じて専門の先生に相談したり紹介したりしながら、患者さん全体をみていくことを心掛けています。
―神大病院総合内科の魅力は?
例えば血栓症外来では、「なぜ血栓ができたのか」と調べていく中で、背景にがんや自己免疫疾患などの病気が見つかることもまれにあります。目の前の症状や病気だけでなく、その背景まで考えながら診療できることは、総合内科の魅力の一つだと思います。また、分からないことがあれば、さまざまな専門性を持つ医師が集まる総合内科の中で相談できることも、神大病院ならではの強みだと感じています。
岡野先生にしつもん
Q.岡野先生はなぜ医学の道を志されたのですか。
A.子どものころに手術で入院した経験があり、白衣を着たお医者さんに「カッコいいなあ」という漠然とした憧れがありました。進路を考える中で、自然と医学の道を選びました。
Q.内科の中でも、循環器を専門にされたのはなぜですか。
A.学生のころから循環器に興味があり、心臓の生理学を学ぶことも面白いと感じていました。研修医時代はがん診療に少し苦手意識もあり、循環器内科では急性期から回復して元気になる患者さんを診られることにも魅力を感じ、循環器を専門にしました。その後、総合内科でがんの患者さんと接する機会が増え、がん診療にも興味を持つようになりました。現在は、がんやその治療に伴う心臓・血管の病気を診る「腫瘍循環器学」にも関心を持って取り組んでいます。
Q.患者さんと接するにあたって心掛けておられることは?
A.医学の専門的な話は、患者さんにとっては難しく、分かりにくいことも多いと思います。できるだけ分かりやすく、大事なことは繰り返してお話しするようにしています。それでも、こちらが伝えたいことの半分も伝え切れていないかもしれない、ということは常に意識しています。
Q.学生さんや後進の先生を指導するにあたって心掛けておられることは?
A.教育熱心な先生方に囲まれて働いているので、自分も教育についてもっと学んでいきたいと感じています。いろいろな学生さんや若い先生方がいて、進みたい道もそれぞれです。一人ひとりの個性ややりたいことを見ながら、それぞれの良さを伸ばせるような指導ができたらと思っています。私自身、若いころは早く知識や技術を身につけなければと焦っていました。今も新しいことを学んでいるので、学ぶことに年齢はあまり関係ないのかなと思っています。
Q.岡野先生ご自身の健康法やストレス解消法は?
A.医学の専門的な話は、患者さんにとっては難しく、分かりにくいことも多いと思います。できるだけ分かりやすく、大事なことは繰り返してお話しするようにしています。それでも、こちらが伝えたいことの半分も伝え切れていないかもしれない、ということは常に意識しています。












