8月号

ベトナム元気X躍動するアジア 第32回|CLMV訪問 ―4か国の最新動向―
CLMVとは。アセアン諸国における後発国カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムの頭文字だが、最近はあまり使用されなくなった。これらを包括した分析や政府支援が希薄になったからであろう。各国の独自の発展や、中国の経済的影響の拡大などが背景にある。7月初旬から、岡山学院大学・岡山短期大学の理事として各国訪問の機会があった。今回は、それらの最新の特徴や印象を訪問の順に紹介してみたい。
文・ 上田義朗
ベトナム 堅調な個人消費と拡大する公共投資
親しいベトナム人経営者はいつも「景気は良くない」と言うが、旺盛な個人消費と政府による公共インフラ投資によって全体として高い経済成長率が維持されている。
ハノイのロッテマート内の水族館は子ども連れのお客で活況であり、市内では道路拡張工事が進行中。かつて外国人が多数であったダエウ(大宇)ホテルの宿泊はベトナム人が多くなった。日本料理店のベトナム(ニャチャン)産ウニは珍味であった。

ハノイ以内の道路拡張工事が開始

SUSHI HOKKAIDO SACHIのベトナム産ウニ
ラオス 5か国と連結する国
首都ビエンチャンにバス停が設置され、市営バスが運行している。中国・雲南省からの高速鉄道の運行は、観光やビジネスの利便性を高め、将来はタイのバンコクまで延伸予定である。市内では大型建物が増えたが、少し郊外では依然として水田が広がりをみせている。
ラオスを代表していたラオプラザホテル周辺は閑散としていた。賑わいの中心がメコン川沿いの中国街などに移行したのだろう。ラオス経済の重鎮・鈴木基義先生によれば、中国またはベトナムまたはタイに「プラス」した人件費の安価なラオスの優位性を活かした企業進出が望ましい。

ビエンチャン市内のバス停
カンボジア 期待される巨大新国際空港
カンボジアの新しい国際空港は昨年9月に開業。その巨大さに圧倒された。世界からの直行便の就航で経済発展が期待されている。プノンペン市内まで整備された道路で40分ほど。ナガワールドホテル2では中国人ギャンブラーが多数。欧米のスマートなカジノという印象はない。
王立プノンペン大学内の「カンボジア日本協力センター」では日本語を教えているが、その受講生は激減。留学や就労では韓国人気が急上昇。中国も人気ある。一方、国境周辺に目を向けると、タイとの紛争は終息せず、依然として国境は封鎖中と言われるが、かなりタイ製品は流入している。

テチョ国際空港の正面
ミャンマー 平穏で活気ある親日の国
複数の日本人から「ミャンマー訪問は大丈夫?」という心配を頂戴したが、空港やヤンゴン市内では人々の日常生活が平穏に営まれている。もっとも市内の歩行者は軍事政権前よりも少ないことは事実のようである。またタイ国境付近の一部は「危険地帯」と言われている。
もっとも民主化勢力も健在であり、現状は「国内の分断」が正確な表現かもしれない。ミャンマーは豊富な天然資源と人材が健在であり、留学生や研修生の保護者からは一般に「日本は安全で安心な信頼できる国」とみなされている。政治的安定と平和のための日本の役割が期待される。

この付近でカメラマン長井健司氏が殺害された(合掌)
円安は日本留学の好機か?
円安によって日本で就労する場合、母国への送金は減額だが、留学の場合は母国からの学費や諸経費が割安になる。ただし対米ドルに対する「円安」であり、総じて各国も「自国通貨安」である。さらなる国別の統計的な検討が求められる。
■上田義朗(うえだ よしあき)
流通科学大学名誉教授
岡山学院大学・岡山短期大学理事
日本ベトナム経済交流センター日本代表
外国人材雇用適性化推進協会(ASEO)代表理事
合同会社TET代表社員・CEO












