7月号
カワムラの"神戸ビーフ"への思い Vol. 09
最高の素材だからこそ
手を抜かずていねいに
正真正銘の神戸ビーフを提供することで、その名声と信頼を培ってきたカワムラは、その中でも品評会の最優秀賞など、長年の目利きで肉質を選び抜いている。結果的に仕入れているのは、絹のようにきめが細かい未経産(仔牛を産んでいない)の雌牛がほとんどだ。
稀少で価格も高い至高のビーフ。ならばそのまま焼けば旨いだろう、というのは早計。極上の素材だからこそ、細心の準備と繊細な調理が必要なのだ。
仕入れたビーフは最低でも1ヶ月ほど熟成させる。この間タンパク質がアミノ酸に分解され、旨味や風味が増していく。熟成と劣化は紙一重ゆえ、プロの知識と経験は欠かせない。カワムラではさらに、静電エネルギー作用により氷結温度でも凍結させず、衛生的に鮮度を保った上で熟成させる特殊な冷蔵装置、氷感庫を使用。最新鋭の機器を用いることで、より安全な熟成をおこなっている。
トリミングもていねいに。余分な脂身をカットし赤身の生肉にするだけでなく、細かい筋や血管を手仕事で取り除く。手間がかかるが、食感を大きく左右するため妥協は許されない。
焼く時も丹念に。鉄板の温度は190℃前後だが、これを見極めるのも熟練の技。手際よく両面を焼いてしばし休ませ、余熱で中まで熱を通しレアでも霜降りの脂が自然と口で溶ける状態に。神戸ビーフはあっさりとした脂の不飽和脂肪酸を豊富に含んでいる。この融点が低いので、焼き時間は気温や肉の状態で調整。カットした後に全面を焼かないのがカワムラ流。切り口のルビーカラーが食欲をそそる。
鉄板焼というシンプルな調理法だからこそ、実は奥が深く誤魔化しがきかない。カワムラは確かな技で、神戸ビーフを慈しむように調理している。
ビフテキのカワムラ 三宮本店
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