5月号
NIKKE 1896|雲を羽織る着心地 品質と品格が違う極上テキスタイル
男は敷居を跨げば七人の敵あり。ビジネスマンが日々身に纏う背広は、闘いのための服でもある。本物の男が本物の背広を着れば、それは真田軍の赤備え甲冑のように、士気を高め精神を研ぎ澄ます。
「ファッション業界の黒子」が、満を持して表舞台に立つ。昨年で創業120年を迎え、かつては軍服の生地を担い、さまざまなアパレルメーカーに多様な生地を供給してきたニッケ。そのクオリティは、品質重視のヨーロッパの方で高い評価を得ている。それならば本物がわかる神戸の人々に直接届けたい。そんな思いで昨年初夏にオープンしたのがこのNIKKE1896だ。
生地は原料の羊毛はおろか、羊からして違う。ニッケは30年以上前からニュージーランドで羊の改良と環境共生型牧畜に着手。その努力が実り、全羊毛のわずか4%と稀少で品薄状態というニュージーランドメリノの中でも、人生ならぬ羊生で最初に刈った最上級の羊毛を安定的に確保。繊維が細く清らかで白さが際立ち、クリンプとよばれる縮れも繊細でふわりと軽くやわらかい、雲のような毛だ。
そんなスーパーファインメリノを糸に撚っていくが、超極細の糸にできるのはニッケの技術力が成せる業。さらにオリジナルの色合いで染める。
織りもまたニッケの腕の魅せどころだ。イギリス生地はしっかりとした張り感を、イタリア生地はしなやかなドレープ性を重視するのに対し、ニッケの生地は縦糸と横糸の込み数のバランスが良く、少しトロンとした「落ち感」があって、ストレッチ性もありシワがつきにくい。このテイストをもつニッケの生地を武器に著名なデザイナーは世界へ打って出たという。
極上の羊毛と高い織り技術が融合して生まれた生地~MAFはさらりとなめらかな肌触りで、従来の毛織物イメージを軽く破壊。しかもしっとりと感じるが、これは良い布の証だという。光沢もシルクのようだ。
そんな極上の生地でカスタムとなれば、着ていることを忘れるくらい快適な着心地。もちろんスタイルやディテールも自分好みに。しかも、希望すれば生地まで自由にデザインすることができる。そんなお店は世界でここくらいではないか。だから必ずやお気に入りの一着になるだろう。
TPOに合わせ、大切なビジネスシーンに最適なエグゼクティブラインや、歴史ある生地を現代のフィルターに通し新たに設計したビンテージラインなど4つのラインとレディーススーツのほか、今年からはより楽しく新しい商品も展開。ウールのデニムジャケットなど、これまでの常識にないアイテムも品質は折り紙付きだ。
究極のジャパンメイドを羽織る悦び。神戸の男は他人と「ちょっと違う」さりげないお洒落を好むというが、MAFの背広は品質が「かなり違う」のでご注意を。
NIKKE1896 神戸店
神戸市中央区明石町47番地
ニッケ神戸ビル2F
078-335-1520
営業時間 日〜木曜日 10:00〜19:00
金・土曜 11:00〜20:00
定休日 毎週水曜日
http://www.nikke1896.jp/