4月号
ウガンダにゴリラを訪ねて Vol.6
【アフリカ出発からBwindiまで】④
文・中村 しのぶ
なかむらクリニック(小児科)
動物園の延長で野生動物を見たい、から始まった旅、人間の利益と自然保護の競合に向き合い自分に何ができるかという思いとの葛藤に苦しむのではと危惧していました。何もできない私を置き去りにして人間優先の現実はどんどん進んでいきます。この20年、毛皮や象牙は買うまいと決めていましたがその意を一層強くしました。ディズニーランドのジャングルクルーズを大きく超えて神様の創った博物館、片時も目を離せない船旅でした。
明朝夜明け前からサバンナの野生動物を見ながらのドライブ、マウンテンゴリラの住むブウィンディ国立公園に向かいます。ロッジに電灯はあるのですが、自家発電でとても中高年の眼力でパッキングできる明るさではなく、洞窟探検用の頭に固定できる懐中電灯の助けを借りての作業です。ウガンダは赤道直下ですが平均標高1100mで気温は13度から25度、夜は少し肌寒いですが9月の日本よりずっと快適です。この気温のせいか、あたりに蚊はほとんどいません。道中遠くの赤ちゃんを含む象の隊列など見ながらの約8時間のドライブです。
道端にはアカシヤの木、そして初めて見るパピルスが茂っています。東アフリカで人類が始まったとのことですが、この草で記録を残す文化が開化したのです。HamletやPaulといて、驚かされるのは彼らの視力です。草原の遠くに双眼鏡で私が見つけた黒い隆起、あれ、象じゃない?に対し肉眼で1.5キロくらい先の物体?あれは岩と即答されてしまいます。夕刻ブウィンディの村に到着しました。
翌日はロッジの周りの森を散策。
野生のゴリラや他の動物、そしてコンゴ側からのゲリラがいる可能性もあり、観光客は兵士、ガイドと一緒でないと出歩いてはいけないきまりです。シカや様々な小鳥、猿に出会いました。トレイルの小さな水たまりで様々な色かたちの蝶が押し合いへし合い水を飲んでいます。私たちよりガイドやポーターが色めきたったのは野生のチンパンジーの親子でした。生態系の調査は常になされているそうですが、これまでこの森にチンパンジーは居ることにはなっていなかったようで早速どこかに報告していました。
いよいよ明日はゴリラトラッキング、この幸運が明日も続きますように―――