2018年
4月号
北野にあった洋館は「旧ハンター住宅」として王子公園に移築されている。重要文化財

英国と神戸 Vol.10 北野を愛したE・H・ハンター

カテゴリ:神戸

 北野坂の西側に、「ハンター坂」と呼ばれる通りがある。かつてこの坂の北側に、英国商人E・H・ハンターの洋館があったことに由来している。
 1843年にアイルランドで生まれたハンターは、アジアに憧れ、22歳で来日した。ペリー来航後、安政6年(1859)に開港していた横浜港で、ハンターは雑貨やマッチの輸入商であった英国人、キルビーと出会い、商社員としてその実務を助けた。慶応3年(1867)の兵庫開港にあたり、キルビーが新境地として神戸に向かうと、ハンターもこれに同行し大阪に移住、小野浜にできた造船所に入った。ここで、薬問屋・平野常助の娘、愛子と知り合い、結婚。長男の龍太郎はじめ5子に恵まれた。
 その後、明治7年(1874)に神戸でE・H・ハンター商会を、明治14年(1881)には大阪で大阪鉄工所を創設する。船舶のみならず、陸用機関機器、橋梁の製作も手がけた。三菱造船、川崎造船と並ぶ日本三大造船所に成長した大阪鉄工所は、後に日立造船へと発展することになる。この他、煉瓦や肥料、煙草、精米、損害保険など次々に事業を起こし、「範多財閥」を形成した。
 事業を成功させたハンターは、北野天満神社の周辺一帯3000坪の土地を手に入れ、北野の地に自らの“理想郷”をつくった。広大な敷地内に立派な日本家屋を建て、桜を眺めながら晩年を過ごしたのである。
 ハンターは、日本家屋建築の少し後に、同敷地内に瀟洒な洋館を移築しているが、こちらは昭和38年に王子公園に移築され「旧ハンター住宅」として国の重要文化財に指定されている。
 大正6年(1917)75歳で死去したハンターは、神戸の再度山修法ヶ原外国人墓地に、妻の愛子とともに静かに眠る。その名前は、「ハンター坂」という名前とともに人々の記憶に刻まれている。

北野にあった洋館は「旧ハンター住宅」として王子公園に移築されている。重要文化財

E・H・ハンター(1843-1917)

かつてハンター坂の北側に、ハンターの洋館があった

北野坂の西側に、「ハンター坂」と呼ばれる通りがある

神戸に現存する異人館で最大規模。重要文化財

JAGUAR/LAND ROVER Presents

〈2018年4月号〉
メルセデス・ベンツで旅するドイツ in KOBE Vol.9
北野ガーデン|神戸の粋な店
かけがえのない生命(いのち)をジュエリーで表現 『ギメルの四季』Vol.7(2)…
ファンタジー・ディレクター 小山 進の考えたこと Vol.1
鍵と壺が想いをカタチに|夢先案内会社 FANTASY DIRECTOR|デコレー…
商人? 新聞人? 数寄者? 茶人? 村山龍平の横顔
「御影」と「中之島」、2つの美の殿堂 香雪美術館
御影の名士たちが愛した伝統の欧風料理|御影の暮らしを語る
御影の“お茶会”をなごやかに彩った銘菓の数々|御影の暮らしを語る
豊かな自然に囲まれた境内には、今日も参拝客が絶えない|御影の暮らしを語る
連載 神戸秘話 ⑯ 神戸とオリーブと小妖精と父 久坂葉子と父 川崎芳熊
明石海峡大橋、今春で開通20周年!
淡路島に遺る、丹下健三建築
ひゃ~!神戸~茨城空港は約75分 歓声がこだまする 絶景、春の茨城・栃木へ飛行機…
伝統の和菓子を受け継ぎ、夙川の変遷と共に歩んだ80年|阪急夙川の昔と今
どこに居ても、どこで暮らしても、帰りたくなるのは「寿町」|夙川「寿町」を語る
Verre de Fougère(ベール・ド・フージェール)|本物のアンティーク…
淡路島ならではの体験をしよう|明石海峡大橋20周年 淡路の旅[淡路市編]
歴史ロマンに誘われて|明石海峡大橋20周年 淡路の旅[洲本市編]
雄大な自然あふれる淡路島|明石海峡大橋20周年 淡路の旅[南あわじ市編]
おしゃれカワイイ メニューが誕生「春咲くdish」淡路島サクラマスのメニュー
神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール 関西初!「バイキンひみつ基…
連載コラム 「続・第二のプレイボール」 |Vol.2
神戸のカクシボタン 第五十二回 自分だけの贅沢な時間
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第八十二回
harmony(はーもにぃ) Vol.2 平穏死のすすめ
ウガンダにゴリラを訪ねて Vol.6
住人の環境に対する意識の高さが、夙川の街の礎となった|阪急夙川の昔と今
未来永劫生き続ける清閑な住宅地「寿町」|阪急夙川の昔と今
音楽のあるまち♬7 映画と音楽には深い関わりがある
神戸鉄人伝 第100回 兵庫県知事 井戸 敏三 (いど としぞう)さん
兵庫ゆかりの伝説浮世絵 第五十回
連載エッセイ/喫茶店の書斎から ㉓ イワシのトレトレ
「有馬ます池」がより楽しみやすくリニューアル!|有馬歳時記
英国と神戸 Vol.10 北野を愛したE・H・ハンター