2018年
4月号

神戸鉄人伝 第100回 兵庫県知事 井戸 敏三 (いど としぞう)さん

カテゴリ:絵画

剪画・文
とみさわかよの

兵庫県知事
井戸 敏三 (いど としぞう)さん

 北は日本海、南は瀬戸内海・太平洋を臨む兵庫県。150年前に兵庫県が誕生し、その後全国に類のない広域複合県となったのは、開港した神戸港を支えるためでした。以後兵庫県は日本における国際貿易拠点だけではなく、国際文化の交流拠点としても重要な役割を果たし、発展を遂げます。近年は阪神・淡路大震災からの復興にあたって芸術文化の力を大きく評価し、話題を呼びました。県政150周年を迎える本年、井戸敏三兵庫県知事にお話をうかがいました。

―知事ご自身の故郷でもある兵庫県を、どんなところとお考えでしょう?
 兵庫県は摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の旧五国から成り、今も地域の特色がはっきりしています。それぞれに特有の風土と歴史、そして文化があるので、無理矢理ひとつの言葉で括るよりそれぞれの強みを生かし、互いに連携する方が兵庫らしいと言えるでしょう。

―日本近代化の先駆けとなり、今も各種産業の集積地である兵庫県ですが、一方で芸術文化に親しむ県民性があります。
 兵庫県は世界文化遺産の姫路城、日本六古窯の一つである丹波立杭焼を有し、また開港都市・神戸から流入した西洋文化の影響を受けたハイカラな文化も根付いており、具体美術協会などの前衛的な芸術団体が阪神間で産声を上げました。そんな中で、広く県民の間に芸術文化を楽しみ、また育む空気が醸されたのではないでしょうか。

―兵庫県は阪神・淡路大震災の後、兵庫県立美術館、兵庫県立芸術文化センターを設立するなど、芸術文化の振興に力を注ぎました。
 「創造的復興」の基盤として、全県的な芸術文化施策を推進したのは、芸術文化が傷ついた人々の心を癒やし、復興に向けた意欲を生み出す大きな原動力となることを改めて認識したからです。被災地を立て直すには、人々の心にもエネルギーが必要です。芸術は被災者の「立ち上がろう」とする心を鼓舞し、支えてくれました。

―芸術の作り手は、むしろ自身の非力さを感じながら、それでも何かせずにおれなくて活動しました。それがなぜ、被災者の支えになったのでしょう?
 芸術家の方々は、何らかの心の発露として、表現活動をするのでしょう。そうして生み出された芸術が、大多数である受けとめる側の心に響く。被災者が「もうだめだ」と諦めに支配されていた時に、「大丈夫、復興できるよ」と背中を押してくれた、それが芸術の力だと思います。これからも「芸術文化立県ひょうご」の実現を目指し、様々な施策を推進していきます。

―兵庫県は美術や音楽だけでなく、いけばなを始め様々な伝統文化や古典芸能の普及にも力を入れています。この取り組みについて教えてください。
 自国の文化を知り、次世代に伝えることはとても大切です。兵庫県は伝統文化体験フェスティバルのほか伝統文化研修館でも青少年のための事業を実施しており、また児童・生徒が学校の授業や部活動で伝統文化を体験できるよう、専門家の派遣などを行っています。伝統文化や古典を知るには、本物に触れるのが一番です。私自身、中学生の時に課外学習で野村万作氏(人間国宝)の舞台を観て、理解したわけではなくとも日本文化の奥深さを感じたのを覚えています。

―県政150周年の節目に、県民へのメッセージをお願いいたします。
 これまでの150年は成長の時代でしたが、これからは成熟の時代です。活力に満ちた兵庫県であり続けるために、人口減少や少子高齢化に適応しながら、新たな価値観や多様な生き方、働き方に対応できる地域を創り上げていかなくてはなりません。この節目を単なるお祝いではなく、私たちの豊かな未来のスタート地点にしようではありませんか。            (2018年2月8日取材)

右肩上がりではない時代にあって、芸術文化の支援に惜しみなく力を尽くしてくださる井戸知事。五期目の舵取り、よろしくお願いいたします!

「皆さんも記念の年に、ぜひいろいろな行事を開催してください」と井戸知事。「そして一緒に、兵庫県の未来を創っていきましょう」

とみさわ かよの

神戸のまちとそこに生きる人々を剪画(切り絵)で描き続けている。平成25年度神戸市文化奨励賞、平成25年度半どんの会及川記念芸術文化奨励賞受賞。神戸市出身・在住。日本剪画協会会員・認定講師、神戸芸術文化会議会員、神戸新聞文化センター講師。

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