2月号
活きの良い旬の魚を心ゆくまで/日本料理 かじき
グルメ, 和食, 日本酒・洋酒・ワイン
経木に墨で書かれた品書きは、旬の魚の名が並ぶ四季折々の味ごよみ。板場では親子二代の料理人が黙々と包丁を握り、活きの良い魚を捌く。
素材が新鮮であること。それがかじきの掟。店主の兄弟が営む魚屋から、とびきりの素材を調達。西の魚河岸の代名詞、明石や淡路はもちろん、駒ヶ林、垂水など神戸の地魚も入荷、地の利を生かして新鮮な魚がやって来る。さらに、四国や九州をはじめ全国に美味い魚があらばそれを求めるが、鮮度には常に心を砕く。
ゆえにおすすめは、その日によって変わる。この日の一押しはおこぜのちり造り。見た目の厳ついおこぜも、盛りつければ白牡丹と咲く。その花弁のような身を、紅葉おろしに葱添えてあっさりポン酢でいただけば、噛むほどに心地よく上品な旨味が広がる。皮や肝、胃袋などもまた珍味。骨は最後に唐揚げや汁でと、徹頭徹尾美味いのだ。
定番のあなご丼も人気。粋な器に収まりきれないボリュームだ。淡路産のあなごを5時間じっくり蒸して、自家製の甘ダレをたっぷりと。大葉の薫りとわさびの刺激をアクセントに、ふんわりあなごの甘みが口いっぱいに広がる。ランチタイムにはいくらとあなごのW丼が狙い目。
創業四十余年、地元客に支持されるだけでなく、大阪や東京からも旬の地魚を求めて来る客もいるとか。凛とした黒塗りのカウンターで気の合う仲間と盃を傾けるも良し、個室で賓客をもてなすも良し。慶弔など仕出しも対応してくれる。食べたい魚や予算のリクエストにも応じてくれる心意気も嬉しい。
酒にはやっぱり、新鮮な魚が合う。それを舌で確認できる、真っ直ぐな料理がある。
日本料理 かじき
神戸市中央区下山手通3-15-10-1F
TEL.078-332-6029
[営]11:30~14:00
17:00~22:00(LO)
[休]不定休
JR・阪神元町駅下車徒歩約5分
地下鉄県庁前駅下車徒歩約4分