3月号
女性の輝くパワーが集う女性会
藤浪芳子さん〈神戸総会実行委員長〉
神戸商工会議所女性会で2008~2012年まで2期4年間会長をつとめた藤浪芳子さんは、昨年10月2日・3日に開催された、全国商工会議所女性会連合会の神戸総会で、実行委員長として尽力した。全国からお客様を迎え、兵庫県内の会員たちとともに運営した総会を振り返るとともに、女性たちへのメッセージをいただいた。
兵庫県内全体で力を合わせた神戸総会
―大会を振り返っていががですか。
第46回目となった女性会全国大会ですが、兵庫県内で行われるのは今回が初めてのことでした。ですから私は当初から、開催される場所は神戸ですが、兵庫県内の女性会全体で協力して運営しようと皆さんに申し上げました。
実行委員会は16の商工会議所女性会で構成され、規模も大小ありますから、最初は温度差がありましたが、私はどうしても県内全体で一緒に、皆さんが同じ権利と資格を持ってお迎えしたかった。お話し合いを重ねて、最後は同じ気持ちで、それぞれのまちの観光や産業を公平にPRしましょうと一致団結しました。
まず前回の宮城大会で、次回の開催地が紹介されるのですが、その際に県内全女性会のまちのキャッチフレーズを発表しました。神戸大会当日の物産展では兵庫県内のたくさんの地方の物産を並べ、それぞれの女性会の活動をパネルにして展示しました。当日は全国の参加者の方へのお土産がありまして、たつの市のおそうめん、西脇市の播州織の扇子、そして私も愛用しているのですが加古川で作られているシルク入りのレッグウォーマー、灘五郷のお酒、以上の4つの特産品をお配りしました。兵庫県は広いですから、さまざまな産業があります。そんな県内の多様な地方の魅力が発信できたのではないかと思います。当日配布のパンフレットや紙袋に印刷されているデザインも、兵庫県花・のじぎくとともに県内各地の観光地や名産品を入れ込みました。
―神戸総会は、震災後20年を迎える年に開催されました。
震災20年の節目の神戸で全国大会を開催したいというのは私の願いでした。また、前年の開催地が東日本大震災で被害を受けられた仙台で、開催が決定したのは4年前でしたから、まだ震災が起きる前だったのですが、そこから引き継いで神戸で開催された、というのも大きな意義があったと思います。兵庫県全体で運営することと、震災から20年が過ぎて、復興した神戸にお迎えし、同じく辛い目に遭われた東北の皆さんにエールの気持ちをお贈りするということ、この2つが今回の大会で強くこだわった部分です。
全国から集まった会員たちが交流する懇親会は会場が2つに分かれていたのですが、ひとつの会場は東北地方の会員と兵庫県の会員が集い、もうひとつはそれ以外の地域の会員が集うという分け方をしました。震災に遭った地域同士で、そこでしか話せないことを話したり、アドバイスし合ったり、有意義な交流ができたのではないでしょうか。
―当日は1500人を超える方が神戸に集いましたが、参加された方のご感想はいかがでしたか。
皆さんに喜んでいただけました。「女性のちからを感じた!」という男性のお客様からのお声もありました。ぜひ成功させたいという我々の熱意を感じていただき、神戸の経済界からもたくさんのご協賛をいただきまして、大変嬉しく思っております。
女性の力が世の中をもっと良いものに
―会長を4年間つとめられた藤浪さんですが、女性会の活動の中で印象に残っていることは。
総会に井戸知事をお呼びして、講演していただくだけでなく、全会員との質疑応答の時間を設けたことがありました。会員が行政の方とお会いしてお話しする機会を作りたいと思ったからです。積極的な質問が多数出て、知事はそれぞれに即答でお答えになっていました。
「輝いて」と題したフォーラムでは、桐島洋子さんをお呼びして基調講演をいただき、その後、子育てをテーマにベトナム人と幼稚園の園長先生などとともにパネルディスカッションを行ないました。女性会だからできる学びの場を作りたいと、目的を持っていろいろな事業を行いました。
―藤浪さんにとって、女性会とは。
女性経営者は孤独なものです。女性の経営者はご自身が起業された方以外は、お父様やご主人が亡くなって事業を継がれた方など、ほとんど準備ができないまま突然経営者に就任せざるをえなかった方がほとんどです。私が父から現在の事業を継いだ頃は、女性が仕事なんて、女性に何ができる、といった時代でしたから、私自身もそれはそれは苦労しました。女性会ではそんな苦労を持った女性たちが集まっていますから、悩みを話し合い、連帯感が生まれ、自分もがんばろうという気持ちになる、そんな場所です。神戸は特に輝いている女性が多いですから、元気や勇気をもらいます。
困難は、乗り越えられたら自分の大きな力になります。乗り越えられなければ力量は変わらないのです。困難や苦労を乗り越えたときに初めて、次へ向かう考えが生まれます。女性経営者の方には、女性会で交流し、さまざまなことを見聞きすることによって、勇気をもらい、困難を乗り越える力を得ていただきたいです。
現在、女性の活躍ということが政界や経済界で言われていますが、優しさや笑顔、細やかな心遣いなど、女性にしかできないこともあります。そんな女性の特性を世の中に反映させることで、世の中がもっと良いものになっていくのではないかとも思っています。
全国商工会議所 女性会連合会神戸総会
第46回全国商工会議所女性会神戸総会を、10月2日~4日に開催。「限りない可能性を求めて ~兵庫・神戸から~」をテーマに、全国の商工会議所女性会のメンバーが神戸に集った。全国総会が神戸で開催されるのは初めて。
10月2日、神戸ポートピアホールで行われた総会では、全国商工会議所女性会連合会の山崎登美子会長、日本商工会議所の三村明夫会頭、神戸総会実行委員会の藤浪芳子委員長、神戸商工会議所の大橋忠晴会頭のあいさつの後、井戸敏三兵庫県知事、久元喜造神戸市長、経済産業省近畿経済産業局の関総一郎局長があいさつ。
記念講演会では、静岡県立大学グローバル地域センター特任教授、特定非営利活動法人・国際変動研究所理事長で、軍事アナリストの小川和久さんが「日本の危機管理は万全か」と題し講演した。
藤浪芳子(ふじなみ よしこ)
昭和精機株式会社代表取締役社長
姫路市生まれ。1981年昭和精機代表取締役社長に就任。
神戸経済同友会副代表幹事、兵庫県行財政構造改革審議会委員、財務局財務行政モニタ−、兵庫教育大学経営協議会委員、兵庫県信用保証協会監事など公職多数。2009年神戸市産業功労者、2012年関西財界セミナ−賞「輝く女性賞」、日刊工業新聞「女性経営者賞」、2013年兵庫県功労者表彰など受賞。2011年『明日へ繋ぐ』出版。