2015年
3月号

フェリーさんふらわあで行く「ふぐと石仏のまち」臼杵への旅

カテゴリ:観光

薄く引けない臼杵ふぐ

 ここで育った魚は恵まれている。豊後水道は瀬戸内海と太平洋の境界ゆえ2つの海の水が混じるため、餌となるプランクトンが多いだけでなく、激しい潮流に身をもまれる。まさにグルメとスポーツを両方たしなむ、セレブな魚たちなのだ。
 中でも第一席は、とらふぐ。臼杵は人口4万人足らずの小さな街だが、ふぐを扱う店はなんと約40店舗もある。ふぐは地元の人たちが大切に育んできた食文化であるが、その美味と手ごろな価格ゆえ、全国から多くの人々が訪ねるという。
 ふぐ刺しは器が透けるくらい身が薄いのが一般的だが、ここは違う。「臼杵」なのに「薄き」といかないのには訳がある。一般的には、1~2日寝かせるが、臼杵市では新鮮なうちに調理するため、身が活きており、薄く引けないのだ。しかし、この厚さが良い。やわらかさの中に弾力のある歯ごたえがたまらない。噛むほどに脂と旨味が滲み出て、名産のかぼすをふんだんに使ったポン酢が甘みを引き立てる。フレッシュで臭みなどない。
 素材が良いから、どんな料理に仕立てても美味。唐揚げはぶつ切りにした骨のエキス。鍋や茶碗蒸しは出汁の滋味。皮はコリコリ。七変化するふぐの味わいに魅了される。
ふぐは冬の味覚というイメージだが、臼杵のふぐは年中味わえる。でも、せっかくなら脂がのった11月~3月の時期がオススメだ。

石仏のヒストリーはミステリー

 臼杵に来たならここを訪ねずして帰るべからず。臼杵石仏は臼杵のシンボルであり、日本ではじめて国宝に指定された磨崖仏だ。
 石仏は市街から車で15分ほどの静かな山里に佇んでいるが、4つの石仏群に60余体、うち59体が国宝という壮大なスケールだ。石仏が彫られたのは平安時代後期から鎌倉期といわれるが、いつ、誰が、何のために仏を刻んだのかははっきりとわかっておらず、謎に包まれている。
 中でも古園石仏の大日如来像はひときわ大きく、おだやかな表情。ほんのりと彩色が残るが、湿気のある時期はそれが鮮やかになるというから不思議だ。少し伏し目がちだが、これはお寺の仏像と同じく「丈六」という基準に忠実で、座って拝むと目線が合うようになっている。
 西方浄土から光を照らすように、東を向いた13体の荘厳な仏像の前には祈りの煙が絶えないが、よく見ると線香には「良縁祈願」や「家内安全」などの文字が。大日如来像は全ての願いを受け入れる仏様であるが、太古の地震で頭部が落ちたものの平成5年の補修で首が繋がったことで、リストラ除け祈願も増えたそうだ。ちなみに祈祷用紙に願いを書けば、特別祈願法要で奉納してくれる。
 山王山石仏からホキ石仏群にかけては、人間の誕生から極楽浄土までのストーリーを刻んでいるといわれている。阿蘇の火山灰が固まった凝灰岩ゆえに風化が著しい場所もあるが、その有り難さは心に迫るものがある。
 石仏群の東側には、かつて広大な伽藍があったとされる。今は公園になっており、春は芝桜、夏は蓮が綺麗だそうだ。また、ボランティアガイドさんのお話も興味深い。訪ねた際にはぜひ耳を傾けよう。
 石仏参りのおみやげには、ほんのり生姜の風味が効いた臼杵煎餅が欠かせない。駐車場前の後藤製菓石仏会館では、煎餅に刷毛で生姜糖を塗る手づくり体験も楽しめる。

初めてでも懐かしい城下町

 臼杵城を築いたのは、キリシタン大名として知られる大友宗麟。ここを居城とした後に九州探題に任ぜられ、臼杵は九州の「都」として発展、その繁栄ぶりはイエズス会の宣教師たちによりローマにまで伝わった。関ヶ原の合戦後は美濃から稲葉氏が入封、明治維新までこの地を治めた。
丘の上の臼杵城趾を仰ぐ街並みは、城下町特有の迷路のような小径に、古くからの社寺や町家が立ち並ぶ。二王座歴史の道や稲葉家下屋敷など、しっとりとした風情の街は歩いていて楽しい。廃寺や蔵を改修したギャラリーのほか、武家屋敷を活用したカフェ、宗麟の時代の修道院を模した「サーラ・デ・うすき」や観光交流プラザなど、気軽に休憩できるスペースが多く、自分のペースで散策できる。そして何より、街の人たちが何気なくあいさつを交わしてくれる、心温まる街だ。
臼杵は醤油の街でもあり、質・量とも九州一だ。城下町に佇むカニ醤油は1600年創業の九州最古の味噌・醤油屋さん。昔ながらのお醤油のみならず、「ジェームス・ポンズ」などユニークな商品はお土産にも好適だ。味噌造り体験もできるので、旅の思い出にいかがだろう。(要予約・TEL.0792-63-1177)
臼杵醤油の代表格、フンドーキンの工場にある高さ・直径とも9mの世界一大きい木樽も必見だ。仕込まれる量はなんと540㎘。この中で3年かけてじっくり熟成させる。最新鋭の醤油づくりの見学も面白い。
ほかにも餌にかぼすを加えた「かぼすブリ」、お釜を借りるくらいご飯がすすむという地魚の「かまがり」など、名物には枚挙に暇がない。温泉、石橋、鍾乳洞、吉四六さんの里などなど、書き切れないほどの魅力を持つ臼杵へ、この春はさんふらわあに乗って訪ねよう!

「山庵」ではふぐ刺しに鍋、寿司、唐揚げ、茶碗蒸しとふぐを満喫できる会席コースが、さんふらわあの半券提示でなんと3000円!(税サ別・要予約)山庵(やまなん)TEL.0972-63-8899


神秘的な臼杵の石仏。日本を代表する石仏群だ


後藤製菓石仏会館では工場見学もお気軽に。
煎餅づくり体験は要予約(平日のみ・300円)。後藤製菓TEL.0972-65-3555


昔ながらの表情を残す二王座歴史の道


臼杵では3月22日(日)まで「うすき雛めぐり」を開催中。
街の随所でかわいい紙のお雛様「うすき雛」が飾られている


これが世界一の木樽。ヒバ材でできている。工場見学は平日のみ(無料・要予約)フンドーキン醤油総務課 TEL.0972-63-2111


〈2015年3月号〉
特集 ー扉 “春色”あわじ島の旅
美菜恋来屋(みなこいこいや) オープン
映画「種まく旅人 くにうみの郷」
「御食国」淡路の島グルメ
桜鯛の棲み家は淡路島
美味凝縮!淡路のたこ
沼島の“はも”は神の賜物
淡路島3年とらふぐ 南あわじが生んだ奇跡の味
珠玉なる淡路たまねぎ
島の宝珠 なるとオレンジ
心たきしめる淡路の香
淡路の伝統芸能を未来へつなぐ 淡路人形芝居
五斗長垣内(ごっさかいと)遺跡 弥生時代後期の建物跡や出土品が多数発見
伊弉諾神宮 夜間特別ライトアップ!
「神様の結うとおり」35柱モニュメント完成 伊弉諾神宮~濱神社を結ぶ
淡路カントリーガーデン 家族の思い出を育むレジャーランド施設!
兵庫ディオーネ 女子プロ野球チームがホームを淡路島に!
淡路島観光マップ
あわじ三市ガイド
ウェスティンホテル淡路 開業15周年を迎え、館内リニューアル!
春酔 灘の酒 —酒特集扉
灘の酒蔵めぐり
灘五郷の酒蔵がそれぞれ個性を生かし、 協力し合う
日本酒を醸造することは、日本文化を醸造することです
Brew Pub STARBOARD
すっぽんと和食のお店 料庵 有とみ
兵庫医科大学 健康医学クリニックで安心を
女性の輝くパワーが集う女性会
神戸 桜の名所とお花見弁当
フェリーさんふらわあで行く「ふぐと石仏のまち」臼杵への旅
観る人の心の模様がキャンバスにストーリーを紡ぐ 青栁紀幸の世界
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第四十七回
フランク・ロイド・ライト その思想と建築を今に Vol.8
Report KOBE 早駒運輸・神戸シーバスが「阪神・淡路大震災から20年 チ…
神戸のカクシボタン 第十五回
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神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん) 第63回
第十三回 兵庫ゆかりの伝説浮世絵
触媒のうた 49