11月号
秋色に染まる相楽園&トアロード特集
秋に重要文化財を巡るなら日本庭園の紅葉も楽しめる「相楽園」がおすすめ。
園内のカフェ「相楽園パーラー」で休憩後は、ぜひトアロードへ寄り道を。季節の限定メニューや商品が揃うお店で、充実の秋の休日を満喫!
神戸が誇る都市型公園「相楽園」の魅力を世界に発信!
2030年にインバウンドの年間の訪日客を6000万人に目標を掲げる日本。神戸市の都市型公園「相楽園」でも文化財の解説を多言語で行うという取り組みが進んでいます。
日本の文化財保護法に基づく登録記念物の第1号となった名勝。相楽園の一番の見どころは、回遊して鑑賞ができる日本式の庭園。大きな池を囲むように、「園路(えんろ)」という道が設けられ散歩ができる。池の周りを歩くと、自然石を使った敷石、水のせせらぎや滝など、奥深い山や谷を想像させる風景を見ることができる。園内には、小寺厩舎、旧ハッサム住宅、船屋形の3つの国指定の重要文化財を有する。


JR・阪神元町駅、市営地下鉄県庁前駅から緩やかな坂を上ると、ほどなく総ケヤキ造の重厚な正門が見えてくる。神戸市の都市公園で唯一の和風庭園「相楽園」。元神戸市長の小寺謙吉氏の先代・小寺泰次郎氏の本邸に営まれ、明治末期に完成し、1941(昭和16)年から神戸市所有となった。
正門をくぐり、丹念に手入れされた松や蘇鉄を愛でながら進み、樹齢500年といわれる神戸市民の木「クスノキ」の大木に目を見張る。さらに進むと見えてくるのが、重要文化財「旧小寺家厩舎」。謙吉氏が河合浩蔵に設計を依頼し、建築した厩舎で、外観の至る所に意匠が凝らされている。1階の馬車を入れる車庫、2階の厩務員宿舎など内部は通常一般公開されていないが、建物前にある看板の「360度バーチャルツアー」QRコード(デジタルコンテンツ)をスマホで読み込むと、館内を隈なく歩くように見学できる。厩舎に隣接する和洋折衷の建物は重要文化財「旧ハッサム住宅」。英国人貿易商・ハッサム氏の住居で、1961(昭和36)年に神戸市が寄贈を受け、63年、移築された。明治時代に建てられた異人館の特徴が随所に見られる。1階の廊下と各部屋、2階のプライベート空間、裏手の使用人部屋をバーチャルツアーで歩いてみよう。
池泉回遊式日本庭園は、山や川から湧き出た水が時には滝を流れ落ち、海へと向かう縮景。流れに沿って散策すると、まちの喧騒を忘れさせてくれる。池のほとりに保存されている重要文化財「船屋形」は約300年前に建造され、姫路藩主が川遊びに使用した遊覧船。屋形部分だけが陸上に揚げられ、現存する川御座船としては国内唯一。神戸市によって1980(昭和55)年、移築された。通常非公開だがバーチャルツアーで絢爛豪華な内部を体感できる。
デジタルコンテンツは他にも、縁のある人物が登場してマンガ調にガイドしてくれる「デジタルアニメーション」やアニメキャラクターが名勝、相楽園をガイドする「ARバーチャルガイド」、文化財の位置や基本情報が確認できる「GPS連動デジタルマップ」がある。
初夏は新緑、秋は紅葉、春には園内一円に植えられたツツジが見事な花を付け、都心のオアシス「相楽園」は一年中、訪れる人たちの目を楽しませてくれている。
1. 旧小寺家厩舎(重要文化財)
1910年頃に建てられ今に残る。馬車の車庫と厩舎、厩務員宿舎の機能を兼ね備えた珍しい建物。赤い煉瓦と白い石材のコントラストが美しい。


2. 旧ハッサム住宅(重要文化財)
コロニアル様式の洋館。1階は迎賓機能、2階は居住空間を主体とし、当時の暮らしぶりを感じ取れる。瓦屋根と化粧煉瓦積の煙突が特徴的。


3. 船屋形(重要文化財)
300年ほど前、姫路藩主が川の遊覧に使っていた川御座船の居室部分を移築。金箔を施した金具や漆塗りで繊細、かつ華麗な造り。内部は非公開。



相楽園
神戸市中央区中山手5-3-1
相楽園日本庭園
TEL.078-351-5155
入園 9:00~17:00(入園は16:30まで)
休園 毎週木曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
入園料 大人300円
船屋形、旧小寺家厩舎は通常外観見学のみ
※11月には旧ハッサム住宅内部、船屋形外観の限定公開や、お茶室「浣心亭」での茶席など、催しも開催予定。詳しくはHPをチェック!
https://sorakuen.com/
秋色に染まる相楽園&トアロード特集












