2022年
11月号
11月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|畳編|Vol.3
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
い草の栽培~育苗と株分け
今回は畳表の材料、い草の栽培について、日本最大の産地の熊本県を例にご紹介します。
前回お伝えしたように、い草はイネ目イグサ科イグサ属のイグサという植物です。種から育てると栽培に時間がかかり、なおかつ個体差が大きくなってしまうので、生産現場では株分けにより株を増やし、それを育てて苗にしていきます。
一般的に株分けは2回、育苗は畑と水田の2段階でおこなわれます。まず、年末から正月にかけての時期に、畑の苗床に株を植え付けますが、寒い時期ですので場合によっては防風対策を施します。また、温かくなると雑草が生えてくるので、除草作業が欠かせません。
畑で育て分けつさせた苗は8月になると掘り起こし、水田の苗床へ植え替えます。この際、最初の株分けの作業がおこなわれます。大きな株を10本程度の株に小分けしていくのですが、これが地道な手仕事。株は根っこ同士がしっかりと絡まっていてほどくに一苦労で、力の必要な作業です。
株分けした株はすぐさま、手作業または植付機で水田の苗床に植え付けます。砂質土壌で水はけが良く、い草の連作がおこなわれていない水田が好適です。一度水を貯め、土を落ち着かせてから植え付けていきます。湛水など高温障害対策も大切です。暑い時期ですので、作業する農家さんは大変ですよね。
水田で育てた苗は晩秋から初冬にかけて掘り起こし、本田へ移植することになります。次回は本田への植え付けから収穫までをご紹介します。
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