2022年
5月号
5月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|瓦編|Vol.4
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
乾燥・施釉
平尾工務店が使用している三州瓦を例に、瓦づくりについてご紹介しています。
成形された粘土はすぐに窯へ入れる訳ではありません。その前に乾燥室に入れ、約40時間かけてじっくりと乾燥させます。温度や湿度を管理しながらゆっくりと時間をかけて乾かすことで、ねじれや亀裂を防ぐとともに、完成後の瓦の強度を高めていきます。
乾燥が終わったものを素地といいますが、蒸発した水分の隙間を粘土が埋めているので、大きさは若干縮んでいます。もちろん、粘土のようにぐにゃりと変形することはありません。
ここから先は釉薬瓦(陶器瓦)といぶし瓦で工程が一部異なります。釉薬瓦は一般的な食器などと同じようにうわぐすりをかけてから焼成し、表面をガラス状の皮膜でコーティング。製品の色もさまざまです。いぶし瓦とは焼成後に燻化し、まさにいぶし銀の美しい仕上がりになります。
釉薬瓦は施釉工程へと進みます(いぶし瓦にはこの工程はありません)。素地をハンガー式ベルトコンベアに吊るし、まずは水を霧状に吹きつけ、釉薬の馴染みを良くします。続いて釉薬を表面にかけて、しばらく乾燥させます。滝のようにうわぐすりを流して、ムラのないよう均等にかけるのがポイントです。この後、製品によってはスプレーでうわぐすりをかけることもあります。
釉薬は製品の色にあわせて調合しますが、含まれる金属成分が窯の中で酸化することで発色するので、釉薬の色と製品の色は異なります。
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