7月号
ぶらり私のKOBE散歩 Vol.2
「エゴに溺れて耽美に走るマダムキキの歩き方」
エコール・ド・パリの時代に伝説と呼ばれた多彩な女優「モンパルナスのキキ」。彼女のように自由で多彩な人々とアートが集まる場「Mme KIKI マダムキキのお店」のオーナー・徳本賀世子さん(KAYOKINA)に、お気に入りのお店をめぐっていただきました。
イタリア語で“でたらめ”を意味する「デリランテ」でたらめに陽気な一軒目
その日、一杯目を飲んだお店は「デリランテ」。オーナーの春名良則さんは他にも「にはとりや」など飲食店を手がけており、この「デリランテ」は路地裏の酒場をイメージしたとか。店長が市場で仕入れてきた新鮮な食材で作る、炭火焼きとオーブン料理はイタリアンあり、和風ありの彩りあるおいしさ。季節の果物を漬け込んだサングリアなども人気で、「飲むのも食べるのもおいしい!」お店です。
炭焼きとオーブン デリランテ
TEL.078-321-6656
神戸市中央区北長狭通2-9-5
17:00~翌1:00
「グラン・ミカエラ・イ・ダゴ」で神戸のラテンな夜が燃えていきます
ハンター坂をあがって「グラン・ミカエラ・イ・ダゴ」へ。全国的にも珍しい南米チリ料理のお店で、神戸で創業して今年で38年、今は二代目のクリスティアン・メリリャン一色さんがオーナー。クリスティアンさんは、ヴィッセル神戸の専属通訳をつとめたこともあるなどサッカー界にも深い関わりがあり、ペレやマラドーナら歴代有名サッカー選手も訪れている。チリの名物「エンパナーダ」や魚介料理など、日本の食材を取り入れた伝統的なチリ料理を味わうことができる。
グラン・ミカエラ・イ・ダゴ
TEL.078-241-0367
神戸市中央区中山手通2-13-8 エール中山手2階
17:30~24:00 火曜休
ワインと出会って爆発する食材「obiobi」
炭火焼きとワインのお店「obiobi」のオーナーシェフ・菅徹さんとも旧知の仲だが、「最近このお店は人気で予約がとれないんです」と徳本さん。ソムリエ資格を持つ菅さんが、イタリア、チリ、ニュージーランドのワインなどリーズナブルでカジュアルなワインを取り揃え、それに合う料理を提案。炭火焼きは菅さんのインスピレーションが作り出すオリジナルソースで、また毎日仕入れる旬の魚介を使った和風料理なども。お客様は「しっかり召し上がりながら飲む方が多い」という。新しいおいしさと出会うときめき感がある。
炭火焼とワイン obiobi
TEL.078-325-0606
神戸市中央区下山手通2-17-13
18:00~翌2:00 日曜休
「榎忠×マダムキキ」というショック 夕暮れのアトリエで
さて「Mme KIKIマダムキキのお店」。ライトグレーを基調にしたスタイリッシュな店内は、彫刻家・名和晃平さんとSANDWICHの建築チームが内装を手がけた。そして徳本さんはお店の中に、現代アーティスト・榎忠さんの作品を置きたいと考えている。その打ち合わせのため、西区の忠さんのアトリエを訪れた。徳本さんが以前出した著書が縁で出会った二人、一昨年、忠さんの伝説のバー「ローズ・チュウ」を再現した際には、徳本さんはチーママとなった。
これまで数多くの刺激的なパフォーマンスや作品を発表し、人々を驚かせてきた忠さん。これからは?と尋ねると「現代という時代や、美術界を見て次にどんな作品に取り組むか、じっくり見つめるための“遊びの時期”」と答えてくれた。「マダムキキ」において榎忠作品がどう存在感を放つのか、これからのふたりの活動も含めて、神戸にまたひとつ楽しみな事件が増える。
artとsweets Mme KIKIマダムキキのお店
TEL.078-271-8501
神戸市中央区布引町2-1-9
(新神戸サンホテル1階)
今回のKOBE散歩MAP
徳本賀世子 Kayoko Tokumoto
株式会社SAKAGO代表取締役社長、「Mme KIKI マダムキキのお店」オーナー、仔羊同好会(Associazione di Amatori di Agnello)会長。著書に『KOBEが素敵な117の理由』ほか。