1月号
自然に囲まれて研究開発を
神戸ハイテクパーク工業会
神戸サイエンスパーク工業会 会長
長谷川 真治さん
西神南ニュータウンに隣接する「神戸サイエンスパーク」とそのすぐ東に位置する「神戸ハイテクパーク」には研究開発型、先進技術型の企業が集積。豊かな自然環境と住環境に調和する工業団地が広がっている。
企業間の連携と地域、行政との交流
―どういった業種が何社入っていますか。
長谷川 神戸ハイテクパーク・サイエンスパーク工業会には、昨年11月末時点で44社が加入しています。業種では薬品・医療関係及び精密機器、エレクトロニクス関連など先端技術産業に属する企業が主に進出しています。大手では検査機器・検査試薬メーカーのシスメックスさん、一昨年に創立95周年を迎えた皆さんよくご存じのビオフェルミン製薬さんなどです。
―「工業会」といってもクリーンなイメージですね。
長谷川 煙を排出するような業種ではない上に、クリーン度を競うような企業が多く加入していますので、自然環境をそのまま維持していこうと努力しています。神戸市では先端医療に力を入れていることもあり、誘致企業に医療関係が多いように思います。
―この場所の魅力は、自然環境とアクセスの良さですか。
長谷川 当工業会を周回する市バスの起点は市営地下鉄西神南駅で、周辺には緑あふれる自然環境の中にニュータウンが広がり、住環境としても素晴らしい所です。市バスの沿道には、2013年度、生徒数日本一になった井吹東小学校があります。この西神南、近隣の学園都市に憧れて住宅を購入する人が多いと聞いています。
―2つの工業会の中での横のつながりは。
長谷川 会員企業間のコミュニケーションを図っています。毎年、事業所見学会を実施し、一昨年は神戸新聞総合印刷さんを見学させていただきました。新聞は毎日お届けするものですから、自家発電設備や井戸を事業所内に置き、万が一の災害に備えて24時間体制で対応されているそうです。昨年はシスメックスさんを見学させていただきました。広大な敷地の60%が緑地で、託児所、茶室、ユニークな瞑想スぺ―スなどもあり、社員、来客に対する〝おもてなし〟の社風を強く感じました。
―地域との交流は。
長谷川 自治体主催の総合防災訓練や、工業会主催の最も大きなイベント「夏まつり」があります。毎年12月には井吹台総合防災訓練に参加し、小学校グラウンドで炊き出しをして300人近くの地域の皆さんに喜んでいただいています。毎年8月後半の金曜日に開催する夏まつりは地域住民の皆さんとの交流はもちろん、工業会内の交流、また区長さんはじめ、行政の方もご招待しますので、行政との交流という意味もあります。流通科学大学の和太鼓やブラスバンドの生演奏、神戸高等技術専門学院の工作教室などは好評のアトラクションです。会員企業さんがボランティアで運営する模擬店が15店舗。神戸トヨペットさんが担当するたこ焼きは、年々技術を磨き、改善を進め人気商品になっています。トヨタさんの企業姿勢と同じですね(笑)。
―企業と行政を結ぶ役割は。
長谷川 西区区民まちづくり会議や西区安全会議への定期的な参加などで、防災活動に積極的に取り組んでいます。昨年は、西消防署と当工業会共催で、ファイヤーディフェンス(FD)カードの説明会を実施しました。FDカードとは、工場内にある危険物や発火しやすいものなどのレイアウトを書いて提出し、万が一火災が発生した場合には消火活動に役立てていただくものです。また、パーク内で働く人の利便性をさらに高めるために、一昨年は神戸市交通局と話し合い、市バスの増便をお願いしました。
悲願の工業会館建設でさらなる発展を!
―見学者も多いと思いますが、反応は。
長谷川 海外から来られた方からは、秋は銀杏の紅葉が素晴らしくてアメリカのボストンのようだという声をいただいています。初夏はツツジが見事です。企業イメージを大切にされる会社が多く、植栽や建物にも自然との調和を感じます。最近ハイテクパーク内に神戸工場を開設された石原ケミカルさんも、とても良い建物を建てておられます。
―まだ空いている敷地があるそうですが。
長谷川 2つのパークの中でもより住宅地に接近しているサイエンスパークは、環境にやさしい研究開発型、先端技術型の工場施設がフィットすると思いますね。すぐ横がハイテクパークですので、企業間の連携で新しい技術開発が期待できます。またポーアイ2期の医療産業都市との連携も可能で、研究開発拠点として良いロケーションにある工業団地だと言えます。
―会長としては今後どのようにしてきたいですか。
長谷川 他の工業団地と連携していかにクラスターとしての力を発揮するかが今後の課題だと思っています。ほかのクラスター見学なども神戸市さんや各区に設定していただいていますので、そういった中で新しい企業さんとの接点が生まれ、共同で新しい技術や製品開発の創出につなげていけるのではないでしょうか。
―今年の抱負をお願いします。
長谷川 当工業会の中長期的課題が工業会館の建設です。以前から計画していたのですが震災で頓挫し、現在は神戸新聞さんのご厚意に甘え、建屋内に事務所を置かせていただいています。工業会館建設に関しては、一昨年から関係者の理解を得られるよう活動を行い、当工業会発展のためにぜひ実現したいと考えています。会長として一歩でも着実に前進できるよう努める所存です。
―今後ますますの発展に期待しています。ありがとうございました。