1月号
[News]「シルクロードから日本へ −ヘジャブの内側−」 シリン・ネザマフィさんが講演
デザイナー・藤本ハルミさんが主催する「感動をあなたに…」は、おしゃれを楽しむ皆さんが集い、幅広いジャンルで活躍する方々による講演会が行われる。11月2日に神戸ポートピアホテルで開催された会には、イラン出身のシリン・ネザマフィさんが講演。
シリンさんは、1979年、首都・テヘラン生まれ。高校卒業後に文部科学省国費留学生として来日、神戸大学工学部に入学し、大学院に進む。修了後はパナソニックに入社、現在はドバイ支社で勤務している。日本に在住中、日本語で書いた小説『白い紙/サラム』が第108回文學界新人賞を受賞。『白い紙』は第141回芥川賞候補に、2010年には『拍動』が第143回芥川賞候補となる快挙をなしとげた。
シリンさんが生まれた翌年にイラン・イラク戦争が勃発、8歳のとき終戦。住まいは戦場から遠かったものの、庭に爆弾の破片が落ちていたこともあったとか。イランはイスラム共和制を布いているため、女性はベールをかぶる「ヘジャブ」が義務づけられ、女子高校生時代は服や持ち物のチェックが大変きびしかったという。マイケル・ジャクソンのカセットテープをこっそり持ち込んだ逸話や、パーティーのため眉毛を細くした友達がわざと眉を太く描いて登校してきた話などを披露、きびしい中でも青春を謳歌したようすに、会場の雰囲気もなごやかに。「青い芝生の上で彼氏とおしゃべりしたい」という夢を描いて日本に留学したが、日本の男性はシャイで夢が散ったという笑い話も。
しかし現代イランはずっと自由になり、ヒジャブの規制も弱まり男性と遊んだりする女の子も増え、帰国するたびに「逆カルチャーショックを受ける」とか。「時代が変化し、どの宗教、どの国であっても女性が求めることが似てきた。今の若い子は、ちがう国の人でもすぐに話が合って、仲良くなれると思う。女性の社会進出によって、結婚しない女性が増えたり、少子化など、イランも日本と似たような社会問題が起きている。イランでは人口の50%が若者であるにも関わらず少子化が進んでいる。同じ問題を抱えて話し合えば、きっと解決方法を協力して見つけ出せるのでは」と、シリンさんは話した。彼女は、外務省動画チャンネルでナビゲーターをつとめたこともある。