8月号
Power of music(音楽の力) 第20回
オーケストラも熱い!
『交響曲の聞き方伝授し〼』
上松 明代
先月は吹奏楽について熱く書きましたが、今月はオーケストラについて熱く語ります。季節も夏真っ盛り!
前回も記したように、吹奏楽とオーケストラの違いは、弦楽器を含むか否か。しかし音色の特徴は大きい。弦楽器が加わると、音に深みが生まれ、音楽に奥行きをもたらす。音楽の印象が激変する。音大に入学する管打楽器専攻の学生の多くが、中高の吹奏楽部出身。その彼らが初めて、大学のオーケストラの授業で、弦楽器も加わったサウンドの中に身を置くと、その音色の深さに、「おお――!」感動と驚きを体験することとなる。
数多く存在するオーケストラ曲(交響曲)の中で、おそらく最も有名な曲は、ベートーベンの『交響曲第5番《運命》』(運命と名打つのは日本だけ)ではないだろうか。いや、正確に言えば有名なのは第1楽章の一部だけ。ジャジャジャジャーン。よく「交響曲を聞く(楽しむ)コツはありますか?」と質問される。ズバリ、コツは!?気になる曲を何度も繰り返し聞くこと。CMの刷り込みと同じ。ジャジャジャーン、の次も聞く。第1楽章だけではなく全楽章聞いてみる。聞きなれないと、全楽章トータル30分以上ある交響曲を聞くのは正直しんどい。しかし、めげずに聞いているとやがて「あ、ここのメロディー好きだな。」「ここの盛り上がりがワクワクする。」など、様々なことを感じられるようになる。そうなるとしめたものだ。自分はどの楽器の音色が好きか、どんな曲調(作曲家や時代)を好むのか、だんだんわかってくる。そうすると他のオケ曲も聴きたくなる。そしてクラシック音楽の扉が開かれ、世界が広がる。
さてここで朗報。神戸で活動中のオーケストラと言えば「アンサンブル神戸」。先日、練習に立ち会わせて頂きましたが、指揮者である矢野正浩さんを中心に、和気藹々とした雰囲気で、そのことが創り出す音楽に投影されているのがよくわかる。9月2日、松方ホールにて開催される定期演奏会に、音のシャワーを浴びに足を運んでみて。詳細は『アンサンブル神戸』HPにて。生演奏に勝るものはない。
上松明代(フルート奏者・作曲家)
武蔵野音楽大学卒業。ハンガリー国立リスト音楽院で2年間学ぶ。「時代を読み」「社会を知り」「テクノロジーを取り入れること」を念頭に、作曲・編曲を始め、ショートムービー制作も実験的に行う。六甲在住。趣味は読書、銭湯、現代アート。YouTubeにてオリジナル曲など公開中。オフィス Tempo.F 代表。
オフィシャルサイト http://akiyouematsu.com