2016年
2月号

Power of music(音楽の力) 第2回

カテゴリ:音楽・舞踏

フランツ・シューベルト
歌曲集 『冬の旅』 絶望と希望の狭間で

上松 明代

 オーストリアの作曲家シューベルトは、様々な分野の楽曲を残したが、やはり一番評価されるのは「歌曲」であろう。冒頭から話は逸れるが、神戸北野異人館にウィーン・オーストリアの家がある。主にモーツァルトをテーマにした物が展示されているが、当時の舞踏会衣装も飾られていてそれらが非常にノスタルジックで凄味があって・・。見に行かれる価値有りです。さて話は戻り。
 シューベルトと言えば、多くの方が音楽の授業で鑑賞した歌曲『魔王』を思い出されるのではないだろうか。『魔王』の登場は音楽に文学性を導入した始まりで、後のロマン派に影響を及ぼす学術的に重要な歌曲だ。この曲に登場する悪魔に憑かれた息子の「お父さん、お父さん!魔王のささやき声が聞こえる!」という鬼気迫る歌詞と、馬に乗り森の中を疾走する父親とのやりとりが緊張感溢れるハーモニーで劇的に表徴されている。
 さて第二回音楽の力、歌曲集『冬の旅』。ドイツの詩人W・ミュラーの詩に曲をつけた二十四の歌曲。シューベルトがこの歌曲を書き始めた1827年頃、体調は悪化し、友人たちとも会えず暗い日々を過ごしていた。詩の中の青年は恋に破れ、失意の中あてどない旅を続ける。孤独と病魔に怯え、絶望と少しの希望の狭間で揺れるシューベルトは詩の中の青年に自分を重ね合わせ曲を書いたのかもしれない。美しいハーモニーだけでない儚いメロディーは、風前の灯火の前でさえ、彼の狂おしいほど純粋な音楽への情熱を感じないではいられない。  
 この歌曲集の中では『菩提樹』が有名だが、最後の曲『辻音楽師』を是非聴いて頂きたい。ライアー回しの老人の様子が空虚に響く和音で表現されている。その詩と音楽の世界感が最期のシューベルトの姿と重なるのは私だけだろうか。翌年、三十一年という短い生涯の幕を閉じた。

うえまつ・あきよ(フルート奏者・作曲家)

武蔵野音楽大学卒業。在学中にハンガリーの「音楽」と「民族」に魅了され、卒業後ハンガリー国立リスト音楽院へ留学。31歳で知的好奇心から兵庫教育大学大学院で作曲を学ぶ。演奏活動と同時にバイタリティー溢れる作曲活動も展開中。六甲在住。音楽に対する想いは烈火の如く!
オフィシャルサイトhttp://akiyouematsu.com

〈2016年2月号〉
神戸南京町、この一皿
2016南京町春節祭
<特集 ー扉ー>神戸空港開港10周年に未来の神戸を思い描く
神戸空港のさらなる利便性の向上にむけて
神戸空港活用で地方創生を!
西の拠点・神戸空港から独自のネットワークづくりを
飛行機の速さと安さをいかせる使い勝手のよい空港
神戸空港を国際都市神戸にふさわしい国際空港に!
早くて安い!神戸空港から ひとっ飛び!!
スムーズ&コンパクトな 茨城空港
~茨城、陶芸女子旅リポート~
2016年 2月16日 神戸空港開港10周年に未来の神戸を思い描く ①
2016年 2月16日 神戸空港開港10周年に未来の神戸を思い描く ②
2016年 2月16日 神戸空港開港10周年に未来の神戸を思い描く ③
連載コラム「第二のプレイボール」|Vol.12 「野球に専念できる環境づくりを目…
企業経営をデザインする(5)|健康で、明るく、楽しい食文化を提供
キラキラ☆な人生を願う、イマドキ女子大生の学びの場 大阪学院大学「ステキ☆塾」で…
Power of music(音楽の力) 第2回
The Rotary Club of Kobe West 国際ロータリー第268…
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第五十七回
神戸のカクシボタン 第二十六回「港町のランドマーク兵庫大仏」
草葉達也の神戸物語
神戸鉄人伝 第74回 声楽家・神戸親和女子大学学長 山本 裕之
兵庫ゆかりの伝説浮世絵 第二十四回
触媒のうた(60) ―宮崎修二朗翁の話をもとに―