2016年
2月号
スカイマークは、保有するすべての運航機材をB737型機に統一している

西の拠点・神戸空港から独自のネットワークづくりを

カテゴリ:経済人

スカイマーク株式会社 代表取締役社長 市江 正彦 さん

神戸をはじめ国内9空港に空のネットワークを結ぶスカイマークにとっての神戸空港について、市江社長にお聞きした。

お客様に「乗っていただく」という気持ちを忘れずに

―昨年9月に社長に就任されましたが、どんな思いをお持ちでしたか。

市江 日本の航空業界に新規参入し新風を吹き込んだ会社の中でも、スカイマークは実力的には別格な存在です。民事再生に伴う上場廃止により皆様には大変ご迷惑をおかけしたわけですが、大型機材の問題が解決さえすれば会社の再建は難しいことではないと思っていたところ、思いもよらず私が社長に就任することになりました。社員にとっては、金融機関からやってきた落下傘のようなものだったと思います。しかし社長を務めるからには社員の期待に応え、そして何よりお客様に満足していただけるサービスを提供し、現在就航している9空港の地域のお役に立たなくてはならないと考えます。再建が終了しても私の仕事は終わりではないと思っていて、最初の挨拶でも「将来に向けて会社が成長していけるまで皆さんと一緒に働かせてほしい」と社員に話をしました。

―業績はかなり好調のようですね。

市江 たくさんのお客様にご利用いただきありがたいことです。民事再生に伴い路線は縮小することにはなりましたが、いずれは戻したいという思いは持っています。

―〝ちょうどいい〟航空会社であり続けるために必要なことは。

市江 ちょうどいいというのは「よいものをお手頃な価格で提供する」ということです。ただし、お客様に「乗っていただく」という気持ちは忘れてはいけないと思っています。機内サービスやお手荷物のお手伝いなど一切しません、という姿勢では、お客様の反感を買ってしまいます。大手航空会社さんのようなビジネス・ファーストクラスといったサービスは考えていませんが、電話やカウンターでの応対、機内でのサービスも大手航空会社さんと遜色のないものにしていきたいと考えています。

―ANAとの連携のメリットは。

市江 人材を現在15名派遣していただいていることです。主に整備、営業部門、客室乗務員の訓練といった部門でお手伝いいただいています。また、コードシェアで季節や曜日による空席をANAさんの営業力でカバーしていただいたり、また燃料の共同調達など、今後まだまだ協力いただけることはたくさんあると思っています。

大手航空会社にはないネットワークづくりに欠かせない神戸空港

―スカイマークにとって神戸空港の位置づけは。

市江 スカイマークにとっては羽田に次いで重要な空港であり、西の拠点です。大手航空会社さんとは違うネットワークを持つスカイマークにとって、神戸を拠点にさせていただいているのはありがたいことです。将来像を考えても神戸は戦略的にますます重要になってくると思っています。

―大手とは違うネットワークとは。

市江 鹿児島、長崎、茨城など地方空港と神戸を結ぶのはスカイマークだけです。茨城空港も神戸と同じように地元の茨城県や栃木県の方にとってはとても便利な空港です。神戸を代表する企業さんの工場もあり、一日2便のスカイマーク便の需要も高いものと考えています。観光名所もいろいろありますから、神戸市と茨城県が協力してもっとPRされるといいと思いますね。

―関西の3空港連携という方針もありますが、どうお考えですか。

市江 神戸空港はコンパクトでよい空港です。いろいろと経緯があり現在は制約がありますが、海上空港ですから長時間運用も可能ですし、何といっても交通の利便性が高いですね。関西国際空港も一時期難航されていましたが、LCCのお陰で今は満杯の状況です。今後は、伊丹、関西、神戸の3つを使い分け、地元のご理解をいただきながら神戸空港の利用枠も広げていければ、関西全体にとっていいことではないでしょうか。

―新幹線などライバルへの対抗策は。

市江 運用時間延長が可能になれば、羽田を夜10時発で神戸に11時着。時間がかかる地上交通ではできないことですから、仕事や個人利用どちらのお客様にとっても嬉しいことでしょうね。空港からバス便がつながっていると飛行機はとても便利ですから、他社さんの便も含め、神戸空港を利用いただくお客様が増えてバスを走らせることができれば目的地近くまで直行でき、もっと楽になります。もちろんポートライナーも便利ですが、陸上交通との連携がさらに進めば利用いただけるエリアが拡大するのではないでしょうか。

効率のよい運航で地域の役に立てる航空会社に

―法人契約など新しい取り組みも進めておられるようですね。

市江 営業担当が頑張っています。ただし、ビジネスでの利用を伸ばすためには欠航や遅れがあってはならないことです。スカイマークは予備機を持っていますのである程度は対応できますが、最悪の場合でも他社便に振り替えるなどの対応で信頼を得ることが必要だと思っています。空港は観光やコンベンションなどのサービス業にとってはもちろん、産業にとっても大事です。医療やアパレル企業が立地しているのも空港が近いからという理由もあります。今後は自治体だけでなく、企業や商工会議所、地元商店街などとの連携も進めていくことも必要でしょうね。

―かなり思い切った価格設定もありますね。

市江 価格設定にはいろいろなタイプがありますが、スカイマークの場合は搭乗日直前になっても安いというのが特徴です。機材をB737に統一して26機保有している効率のよい会社だからできることです。

―今後のチャレンジについて。

市江 安全第一・定時運航で価格は安く、を今後も徹底していきます。効率がよいというメリットをいかして、撤退した路線の復活も含め新たな就航先を考え、他にはない路線を持つ航空会社を目指し、さらにその地域の産業や観光などの活性化の役に立てる航空会社を目指したいと考えています。

―航空業界、そして神戸のためにもスカイマークの発展に期待しています。本日はありがとうございました。

スカイマークは、保有するすべての運航機材をB737型機に統一している


神戸空港は、スカイマークにとって西の拠点となっている


廉価でのサービス提供に徹しつつ、大手航空会社に遜色のない対応やサービスを目指している


神戸空港を離発着する約7割がスカイマークの航空機


神戸空港内で一際目立つ格納庫


「地域の産業や観光などの活性化の役に立てる航空会社を目指したい」と市江社長



市江 正彦(いちえ まさひこ)

1960年生まれ。1982年に東京大学法学部を卒業後、日本開発銀行入行。同銀行企画部副長、日本政策投資銀行投資企画部長兼グロース・クロスボーダー投資グループ長、常務執行役員を経て、2015年9月にスカイマーク株式会社代表取締役社長に就任

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