2016年
12月号
12月号
神戸のカクシボタン 第三十六回 身体に優しい中華料理で癒される
写真/文 岡 力
今年の夏に仕事を介して行った一軒のお店。そこで食べた牛肉麺(ニュウロウメン)と呼ばれる料理に心が奪われた。
「花隈劉家荘」は、1987年に南京町で創業した老舗の中華料理店である。厨房で寡黙に調理をするのは店主の劉震龍さん。震災翌年に花隈へ移転し、味にうるさい地元のお客様を相手に料理を提供している。
お店の形態は、焼鶏、餃子、春巻きを主体とする北京料理。しかしご両親の出生地である台湾料理の要素も柔軟に取り入れている。台湾ではポピュラーな家庭料理である牛肉麺。まずは、クコ、八角、シナモン、陳皮などの生薬8種がパックに入った「牛肉香包」で牛すね肉をじっくり煮込む。スープは、鶏ガラと豚骨をベースにした薄味仕立て。細麺はスープとの絡みも良く、すすると口の中がしっとりする。トッピングには、青梗菜、白菜、そして台湾料理に欠かせないトマトを使用。香り高くさっぱりとした味わいは、やみつきになる美味しさである。
「本格的な味は、日本人の口にあわないのでいろいろ工夫しています。あっさり、体に優しい味付けを心掛けています」と語る劉さん。料理同様、価格も優しい設定となっている。まさに一年を締めるにふさわしい医食同源といえる逸品である。
今年一年のご愛読ありがとうございます。皆さま、よいお年をお迎えください。
■花隈劉家荘
神戸市中央区元町3丁目17-5
TEL.078-333-4102
営業時間 11:30~14:00 17:30~21:00
定休日 月曜夜・火曜
■岡力(おか りき)コラムニスト
ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「のぞき見 雑記帳」(大阪日日新聞)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)