9月号
青年部を有馬の「憧れの存在」に|有馬歳時記
インタビュー 有馬温泉青年部 新リーダー 岩田一紀さん
─現在の青年部はどのような状況ですか。
岩田 現在17名が青年部に所属しています。一時期30人くらいキープしていたのですが激減しました。今はちょうど世代交代の時期で、戦後間もなく生まれた世代の子ども世代になろうとしています。今の各旅館の社長たちは戦後間もなく生まれた世代ですが、ものすごく強い人たちが多くて気の持ちようが違います。
一方で若手は外に出た者も多く、海外での経験があったり、ひとつの仕事を終えて有馬に帰ってきたり、みんなそれぞれ武器を持っています。僕自身は武器を持っていないので、メンバー一人ひとりの長所を集めて、元気な親世代に負けず、スピード感を持って有馬を盛り上げていきたいですね。
─有馬の知名度を上げる戦略はありますか。
岩田 とにかく「有馬」というネームバリューを維持していかなければいけません。ほかの温泉地もがんばっていますので、廃れていってしまう可能性もあります。かといって、流行を追い求めてもそんなに長く続きません。ですから定番的に、お菓子でいえば「ポッキー」や「小枝」のように何年も愛されるようにならなければいけないと思います。
─お菓子の例えが出ましたが、岩田さんはかつてコンビニの店長をされていたとか。
岩田 はい(笑)。その後、不動産の仕事をするようになりましたが、不動産業界は厳しかったですね。ストイックに売上げを追い求める世界で、ノルマもきつくて…。自社の利益を守るため、近所に同業者があったら激しく敵対したものです。そんな世界にいたもので、有馬に帰ってきたら同業者どうしみんな仲良しなのでビックリしましたよ(笑)。
でも逆に、自分のところさえ良ければそれでいいという発想は、有馬では通用しないということがわかりました。いまの時代、各旅館のネームバリューでの集客には限界があります。ですからまず「有馬温泉に行きたい」というお客様を増やすことが大切で、そこに私は熱い思いを持っています。どの旅館に泊まるかに関しては各旅館の企業努力の部分だと思いますが、まずは有馬に来ていただくことが重要です。
─イベントなど具体的な集客のプランはありますか。
岩田 イベントでお客さんをよぶことは難しいと思います。しかし、小さなイベントでも、いつも来てもいろいろなことに取り組んでいて、お客様に元気があるんだと感じていただけるようにしたいですね。情報発信も世の中に浸透していくようなスタイルで展開できればと思います。市販されているティッシュの箱に「有馬温泉」と広告を入れるのもひとつの発想です。人間は2千5百回見た物は死ぬまで忘れないといいますし、好感を持っていただけるので、敢えていまの時代「刷り込み」も有効だと思うのです。そんな提案を青年部で積極的にしていきたいですね。
─青年部をどのように運営していきたいですか。
岩田 任期は1年と短いですが、青年部には長い歴史があり、歴代のリーダーが積み重ねたものもあります。それを踏まえ、新しくて継続的な新しい有馬温泉の売り方をしていきたいと思います。
また、青年部は未熟者の集まりでもあります。部員どうしでお互いを伸ばし成長しあえればいいですね。私がリーダーになってメンバーが4人増えましたが、青年部が有馬の中で憧れの存在になれば、もっとメンバーが増えると思います。そのためにも勉強し、コミュニケーションを活発にして情報を共有したい。その第一歩として、身近な有馬の先輩に話を聞く会の開催も検討しています。メンバーは仲も良く、有馬を盛り上げるという目的も一緒ですので、一致団結できるでしょう。昔から「頼まれごとは試されごと」と言います。リーダーを引き受けた以上、自分のカラーも出しつつ、プラス思考でがんばっていきたいですね。
岩田一紀さん
有馬温泉青年部 新リーダー