10月号
輝く女性Ⅲ Vol.4マツオインターナショナル株式会社
代表 松尾 憲久さん 松尾 里香さんご夫妻
インタビュアー・三好 万記子
人気料理サロン「ターブルドール」代表の三好万記子さんがホスト役となって、輝いている阪神間在住の女性にお話を伺うシリーズ。
おもてなし上手な三好さんとの対談から、どんなオイシイお話が飛び出すことでしょう。
今回、お話を伺ったのは…
マツオインターナショナル株式会社 代表 松尾 憲久さん 松尾 里香さんご夫妻
僕は左脳派で、彼女は右脳派
何より、彼女は面白いモノを見つける天才です。
本日は6月15日、大阪府箕面市船場東にオープンされた「about her.」にお邪魔してのインタビューです。マツオインターナショナルの創業60周年を記念し、物流センターだった倉庫をリノベーション。衣・食・住にまつわる様々な商品をキュレーションして、生活スタイルごと提案する複合ビルに。まさに松尾ご夫妻の暮らしに対する世界観を体感できる空間となっています。
…「about her.」のエントランスでは里香さんのアーティフィシャルフラワーがお出迎え、店内にもグリーンがいっぱいで癒されます。
憲久さん 「心地よく、豊かなライフスタイル」をテーマに、カフェや弊社アーティフィシャルフラワーブランド「FiORi」、世界の雑貨を扱うショップ、縫製ラボ、EC用撮影スタジオを併設した総合商業施設となっています。既製品のみならず、例えば、生地から選んで仕上げる洋服のオーダーや洋服のリメイク、お名前など好きな文字を刺繍できるタオル、額やパッケージにこだわったフラワーアレンジメントの販売ほか、植物やソーイングのワークショップも随時開催。単なるショップの概念を超えた〝ラボ”拠点をめざしています。
里香さん 糸1本からこだわった生地、そして生地から作るお洋服…という具合に、モノづくりの裏側を見てもらって、オーダーメイドやリメイクの楽しさに開眼してもらえればいいなと考えています。三好先生にディレクションをお願いしたカフェのメニューもビルのコンセプトに合わせて、手作り・美容・健康にこだわって考案いただきました。手作りマスタードを塗ったバゲットに自家製コンビーフや鶏肉の白味噌漬けなどをトッピングしたタルティーヌ、手作りのコーラなど、楽しいメニューが山盛りです。
…千里中央駅から車で10分ほどの立地ですが、他にはない商品ばかりで、スタッフさんもイケメン(笑)、何より空気感がいいですね。足を運びたくなります。
憲久さん ここ「箕面船場」という場所は昭和45年の大阪万博に合わせて整備された「大阪船場繊維卸商団地」に近接していて、大阪の船場にあった繊維卸業社が移転してきた歴史があります。当ビルも元々はピンクグレーの絨毯にシャンデリアという昭和な佇まいでダークスーツの社員が黙々と働くオフィスだったのですが(笑)、アパレル業界としてどうなのか?ということで全面改装。グリーンを取り入れ、スーツ&スニーカー、Tシャツなど自由な服装にすることで、雰囲気や社員の士気が変わりました。おかげさまで同じようなグリーンのあるオフィスに改装したいというオファーも数社からいただいているんですよ。
…確かに今日の憲久さんのスーツ&スニーカーもカッコイイ。働き方改革でビジネスカジュアルを実現するには空間や環境を変えることも大事ですね。グリーン関係は里香さんが監修されているとか。里香さんがフラワービジネスを始められたきっかけは?
里香さん 3歳の頃から生け花を習っていて、生花アレンジメントの仕事をしていましたが、結婚して三人の子供ができてからは子育てに専念していたんです。ところが主人が某百貨店さんからライフスタイルショップの企画を打診され、私も手伝うことになりました。
憲久さん 僕は結婚後も彼女は仕事を続けるものだと思っていたんです。結婚式の引き出物に手作りフラワーリースを250個も手作りするほど凝り性でしたから。それで生花を置けない百貨店内のインショップを打診されたとき、彼女のリースを思い出したわけです。
里香さん 造花は未知の世界でしたし、最初は手探りで材料も百貨店で購入していたぐらいです。グリーン&ホワイトの造花アレンジを店に出すと即売切れになって。それで生花から方向チェンジしてアーティフィシャルフラワーのサロンを始め、お花を使ったバッグや傘などの雑貨や文具も製作するようになりました。今は材料を海外からコンテナで仕入れるまでビジネスとして成長し、かつて百貨店で買っていたのが嘘のようです(笑)。
憲久さん 造花といえばカラフルな花束が主流だった時代、庭から摘んできたようなナチュラルなアレンジが斬新だったのでしょう。当時、西武百貨店の社長だった和田繁明氏がうちの商品を見て絶賛してくださり、「お花のある店」を2001年頃から全国で次々とオープンすることになりました。ちょうど私自身も洋服から生活全般へと視野が広がっていった時期でもありましたし、夫婦で力をあわせてビジネス展開していこうと考えました。
…お二人は普段の“暮らし”をとても大切にされていますよね。何度かホームパーティにもお招きいただきましたが、ご自宅の内装やインテリアもとても素敵。暮らしの在り方や、ビジネスの構築・展開を考えるヒントは、ご夫妻の日々の暮らしから生まれてきているように思います。
憲久さん 自宅のインテリア選びには当社が洋服やライフスタイルを提案する際にテーマとする、“和洋の融合”や“匠の技”というものも意識しています。ホームパーティは妻がすべて監修します。私は数値的な分析は得意なのですが、発想が男性的というか左脳派で、彼女は感情表現豊かな右脳派、互いに補えあえる関係だと思います。「about her.」オープン時も彼女の提案で、アパレルや雑貨に加え、手織りのキリムを取り扱ってみたり、柴田あゆみさんの切り絵展示会を企画したり…。僕はキリムに切り絵(!?)と思ったけれど、実際に店舗に置いてみると空間がワクワクと輝き出すんですね。また海外に買い付けに行ったときも彼女は色々なことに興味を持って、面白いモノを見つけてくる。私のロジックと彼女の固定観念にとらわれないセンスで、ビジネス課題をブレイクスルーしています。
里香さん コウモリランとか、パッと見た時に皆さんが?と思うものに心が惹かれるんです(笑)。商品はもちろん、ラッピングや複数の商品の意外な組み合わせも面白がって試しています。主人が自由にやってみればと背中を押してくれるので、私はもちろん当社の社員達も個々の力を発揮できていると思います。元サッカー選手やパティシエのスタッフが今はまったく違う職種で頑張っている面白い会社です。ビジネスとしてうまくいけば続けていく、しかしそれに固執せずに、時代やトレンドに合わせて進化させるという感じで、皆で仕事を楽しんでいます。
…松尾ご夫妻は、どこかロイヤルファミリー的な匂いがします。人やモノという小さな単位ではなく、もっと大きな視野をもって、平等で、皆の幸せを願っているような。高貴で伝統を大事にしながらも、絶えず前進しようとする、開かれた新しい王室(笑)。今後も〝日本のモノづくり”の機能を活かしたビジネスを展開され、世界中に日本の暮らしのファンを増やしていってほしいと思います。
三好さんからの質問コーナー
Q.ハマっているグルメや気になるお店はありますか。
A.「マジェスティック・ヨセミテ・ホテル」です。故スティーブ・ジョブズ氏が結婚式を挙げたことでも有名なホテルに宿泊して、海外のマダムの大人の夜の過ごし方に感動しました。昼間は周囲の美しい森や滝、ハイキングなどを楽しみ、ディナーではドレスアップし、華やかに。
昼と夜の表情をガラリと変えるのも素敵な演出と気づかされました。
Happy News
9月12日(木)、松尾憲久さんが2019年度「第17回グッドエイジャー賞」を受賞されました。いい年を取る生き方を先駆的に実践している人を表彰する同賞の受賞者は、俳優の伊東四朗さんや歌手の小林幸子さんなど錚々たる顔ぶれ。
豊かに活きいきと積極的にこれからの人生を楽しもうとするかっこいい松尾さんに、私たちもついていきます!!
マツオインターナショナル株式会社 代表取締役社長 松尾 憲久
79年東京大学経済学部卒業。父が創業したテキスタイルメーカーを基点に、80年代後半よりレディスアパレルを立ち上げ、98年に小売店「センソユニコ」を展開、03年フラワーアレンジメント事業、05年生活雑貨事業にも本格参入。11年には新潟に機業場「匠の夢」を設立。現在、「ライフスタイル提案型ショップ」として日本全国の百貨店、SC、路面店、パリ、ミラノ、上海などの海外を含め、約350店舗を運営。松尾産業株式会社、株式会社匠の夢の2社の関連会社社長を兼任。
お花を取り入れたライフスタイルブランド FiORi 主宰 松尾 里香
花を取り入れたライフスタイルを提案するアーティフィシャルフラワーブランド「FiORi(フィオリ)」主宰。和洋の素材の融合、洗練されたデザインで、“造花”とは一線を画す、アーティフィシャルフラワー界の新分野を確立。自宅に工房を併設し、アーティフィシャルフラワーのアレンジメントから花をテーマにしたバッグやステーショナリーまで幅広いラインナップを製作。ご主人の会社のマネージャーとして海外にも度々同行し、様々なものを目利きして輸入。「about her.」を運営する松尾産業株式会社 取締役を務める。
ライフスタイルを豊かにする複合施設
「about her.」6月15日オープン!!
「心地よく、豊かなライフスタイル」をテーマに衣・食・住を提案する複合ビル。建物内には、アートギャラリーやアパレル、輸入雑貨、造花、生花、植栽などの販売ブースほか、ガラス張りの窓から生地のカットの様子を眺めたり、生地を選んで洋服をオーダーしたり、モノづくりの楽しさを自ら体験できるコンテンツが満載。カフェの看板メニューは、フランス式オープンサンド「タルティーヌ」。色とりどりのフィリングが美しい。
about her.
大阪府箕面市船場東2-6-55
三好 万記子(みよし まきこ)
株式会社ターブルドール 代表取締役
神戸女学院大学卒。パリに3年間滞在中、フランス料理を学ぶ。ル・コルドン・ブルーにて料理ディプロマ、リッツ・エスコフィエにてお菓子ディプロマを修得。帰国後、西宮市・夙川にて料理サロン「Table d’or」主宰。また出張料理人としてケータリングも展開、料理はもちろんディスプレイを含むトータルコーディネートに定評あり。企業へのメニュー開発、レシピ提供など、「食」を幅広くプロデュース。二児の母。