2019年
9月号
対談ホスト役の三好万記子さん(写真左)とマダム・チェリー(写真右)。お二人の出会いは、あるパーティで。会場が「ラ・スリーズ」、三好先生が料理のケータリングを担当

輝く女性Ⅲ Vol.3
マダム・チェリーこと、福安 千恵子さん

カテゴリ:文化人, 芦屋

インタビュアー・三好 万記子

人気料理サロン「ターブルドール」代表の三好万記子さんがホスト役となって、輝いている阪神間在住の女性にお話を伺うシリーズ。
おもてなし上手な三好さんとの対談から、どんなオイシイお話が飛び出すことでしょう。

今回、お話を伺ったのは…

マダム・チェリーこと、福安 千恵子さん

簡単なのよ。自分にとって好きか嫌いか。
好きならば、似合う。嫌だなと思うものは絶対、似合わないから。

マダム・チェリーの愛称で、その素敵な歳の重ね方にファンが多い芦屋のカフェ「ラ・スリーズ」オーナー。シフォンケーキが評判のカフェでは、マダムがトレードマークである美しいグレイヘアに赤い口紅で優雅におもてなし。毎日楽しくお洒落してイキイキと働くマダムに憧れて、お店に通うお客様も多数。モデルとしても活躍するマダム初の著書が6月に刊行され、さらに人気がヒートアップしています。

…実はマダムのことはカフェをオープンされる前から存じあげていたんです。知る人ぞ知る隠れ家カフェから瞬く間に人気店となり、今年で創業19年を迎えられるとか。ずっとシフォンケーキ一筋というのもすごいですね。
シフォンケーキしかできないのよ(笑)。専業主婦から50代でカフェオーナーとなって、この店のなかで、私も幸せで、お客様にも幸せをお届けできることは何だろうと考えて、得意とするシフォンケーキと、あとは私が元気で変わらずに接客することを守り続けてきました。

…ご自身は変わらずにおられるのに、取り巻く周りの環境がどんどん変わっていますね。
私自身が一番、驚いています。モデルになることも、本を出すことも、考えてもみなかったこと。ご縁というのはすごいですね。友人がSNSに載せた写真をアパレルブランド「レジィーナロマンティコ」のオーナーデザイナー角野元美社長がご覧になって、モデルになってほしいとご連絡をいただきました。お店に足を運んでいただき、熱意のこもったお手紙までくださって。3回目にいらしたときに、「12月に撮影があるんですけれど…」と切り出されて日程を伺うと偶然、私の70歳の誕生日だったんです。これは「やらなきゃだめよ」という神様のお告げかもしれない、運命のようなものを感じて、お引受けすることを決心しました。以来、同ブランドのモデルとしてカタログやファッションショーにも出演させてもらっています。

…宝塚音楽学校卒業後、モデルとして活躍されて、また70歳でモデルに。ある意味、モデルは天職?
いえ、その逆、人前で何かをするのが苦手なシャイな性格だったんです。舞台に立って振りで皆と左右の足が違う。上がってしまって振りを忘れる、では困るじゃない。舞台で迷惑をかけるのではなく、モデルなら楽しくできるんじゃないかしらと考えたのです。ファッションショーは、大好きなお洋服が綺麗に見えることに集中するのがお仕事。モデルの道を選んだことで、私でも人前に出てやれることがあるんだと、ようやく思えるようになったんです。

…6月に出された著書では、カラフルな色を取り入れ、アクセサリーは大ぶりなものを重ねづけ、ドレスアップだけでなく、ジーンズ姿もカッコいい。年を重ねた今だからこそ似合うマダムのおしゃれの法則と実践のヒントが惜しみなく綴られていますね。
法則というよりも感覚という方が正しいかも。そのときに着たい服を着る。簡単なのよ。自分にとって好きか嫌いかが全て。好きならば似合う。嫌だなと思うものは絶対に似合わないから。自分のことを一番よくわかっているのは、他の誰でもない自分でしょ。だから流行やお仕着せの情報に振り回されず、自分がどうありたいかを考える。ジーンズをはくようになったのも、数年前からね。ジーンズとジャケットをあわせるのがいいなと気付いたの。ファッションだけでなく、日々の暮らしでも好きなものにこだわります。例えば、おみおつけとお漬物の簡単な朝食でも自分のお気に入りの器を使う。テーブルには好きな器を並べたいの。インテリアもそう。家の中には好きなものをおきたい。そうして自分のお気に入りを揃えていくと、自然とテイストが合って組み合わせが楽しめるようになるんです。

…なるほど、私も食器やインテリアには好き嫌いがあります。でも、洋服は好き嫌いよりも自分に似合うものを選ばなくてはいけないのかな、と思っていました。好きをルールに突き進んでもいいんですね。

…お話をさせていただいていて、あるパーティを思い出しました。ケータリングのお仕事中、マダムから労いのお声をいただいたんです。
裏方として、きめ細かく的確に動いていらっしゃるのがすごいなと。出来上がった華やかな料理ばかりが話題になるけれど、実はその人の想いや感性や努力があって、はじめてケータリングというお仕事がなりたっている。先ほどお話した角野社長もそうね。お仕事に心を持っておられる、そこに惚れて一緒にお仕事をしたいなと思いました。

…華やかで美しいマダムですが、実は心の内側を見ておられる。モノゴトの本質を大事にされるかどうかが重要で、そこで人とのつながりが生まれているんですね。
その方の本質に触れて良さがわかれば、ずっとお付き合いを続けていきたいと思う。人と人とのつながりとはそういうことだと思います。人間には隠せない本質の部分があるでしょう。それを素直に見せあえる人がいるのはお互いに幸せなこと。歳を重ねた今は自分に無理をせず、相手のことを思い合える方々とお付き合いできれば幸せだと思っています。

…私の周りはマダムのことが好きな人ばかり。フランスで尊敬の念をこめマダムと呼ばれるような大人の女性に、日本ではなかなか出会う機会がありません。そんな女性が関西、それも地元・芦屋にいらっしゃることが私たちの誇りです。「やっぱり芦屋だよね」と再認識される、憧れの芦屋のマダムとして、人生の素敵な過ごし方の情報発信をしてくださること、そしてますます輝く人生を送られるであろうマダムをお手本に私も頑張らなくてはいけませんね。

対談ホスト役の三好万記子さん(写真左)とマダム・チェリー(写真右)。お二人の出会いは、あるパーティで。会場が「ラ・スリーズ」、三好先生が料理のケータリングを担当

三好さんからの質問コーナー

Q.ハマっているグルメや気になるお店はありますか。
A.お寿司は「勇すし」、イタリアンは「オステリア・オ・ジラソーレ」、中華は「施家菜」とほぼ定番で決まっていて、あまりヨソ見はしない主義。そんな私が珍しく新しいお店でハマったのがグランフロント大阪にある甘味処の「ばさら梅々庵」のかき氷です。『黒蜜きな粉金時』の濃厚な黒蜜と優しい香りのきな粉のバランスが絶妙なんです。


マダム・チェリーこと、 福安 千恵子

1946年、神戸生まれ。ロシア人の父と日本人の母を持つ。宝塚音楽学校を卒業後、モデルとして活躍。24才で結婚、専業主婦を経て、2001年に阪急芦屋川の住宅街にカフェ「ラ・スリーズ」をオープン。友人がFacebookに投稿した写真を見たファッションブランド「レジィーナロマンティコ」のオーナーデザイナーからブランドのミューズとして請われ、70歳でモデルとして復帰。6月に初の著書『マダム・チェリーの「人生が楽しくなるおしゃれ」』を刊行。


三好 万記子(みよし まきこ)

株式会社ターブルドール 代表取締役
神戸女学院大学卒。パリに3年間滞在中、フランス料理を学ぶ。ル・コルドン・ブルーにて料理ディプロマ、リッツ・エスコフィエにてお菓子ディプロマを修得。帰国後、西宮市・夙川にて料理サロン「Table d’or」主宰。また出張料理人としてケータリングも展開、料理はもちろんディスプレイを含むトータルコーディネートに定評あり。企業へのメニュー開発、レシピ提供など、「食」を幅広くプロデュース。二児の母。